増コスト0で今すぐできる、肌の乾燥対策

湿度が下がってきましたね。

私の住まう札幌はすでに室内は40%台がデフォルトです。

対策なしだと30%台を見かけることも……オソロシイ。

定期的に拝見させていただいているクライアントにも、顕著に乾燥傾向が見られるようになってきました。

今日はコスト増ゼロ、何も買い足さず、手持ちのスキンケアアイテムを変えずにできる肌の乾燥ケアをご紹介したいと思います。

使っている化粧品を全体的に増量する

お使いの化粧水や美容液、クリームの使用量を増やすという超カンタンな技です。

簡単ではありますが、実はそれが有効な背景がちゃんとあります。

消費者が毎日のスキンケアに使用しているスキンケア化粧品の量は、メーカーが想定している量の1/2から1/3程度に留まっているというデータがあります。

つまり、メーカーが推奨している量よりも実際は遥かに少ないことが多いのですよね。

私は長年サロンを運営しており、10年以上のお付き合いをいただいているクライアントも少なくありませんが、そのような美意識が高く、スキンケアにも関心が高い方たちでさえ定期的にお声がけさせていただかないと、いつの間にか使用量が大分推奨量よりも減ってしまっています。

かくいう私もそうです。

分かっていても、日々の忙しさに流されて……または、節約意識が高じて、つい使用量を控えめにしてしまうのが人心というものだと思います。

それで問題がないのなら別に悪いことでないと思いますが、肌のコンディションが気になってきたら使用量が減っていないか確認してみてくださいね。

ところで、化粧品のパッケージの裏書には「適量使用する」と書いてあることが多いですが、この適量とは一体どのぐらいでしょうか。

製品と使う人の顔の大きさによって多少違いますが、

化粧水=500円玉大

美容液=さくらんぼ大

クリーム=パール粒大2つ、またはさくらんぼ大

だいたいこのぐらいを1回分の使用量の目安にしておくと良いと思います。

このぐらいで使っていくと、化粧品の減り具合はどうなっていくかというと……

タンク式のクリームであれば最も一般的な容量は30gですが、30gは1か月で使いきるくらいです。

化粧水はテクスチャー(質感)によってずいぶん違いますし、容量も製品による幅がかなりあります。よく見る容器容量としては100ml~220mlくらいかと思います。大体1か月あたり120ml程度使うと1回500円玉大くらいになるでしょう。

ちなみに、使用量を増やす際は美容液とクリームを特に意識すると有効です。

心情的にも行程的にも増やしやすいのは化粧水だと思うのですが、化粧水は90%以上がただの水なので増やしたところでちょっとふやけやすくなるだけです。

それに対し、美容液やクリームは基材に対する美容訴求成分の含有量が多くなっているので、肌に働きかける力が強いです。

手持ちのクリームでパックをする

近ごろはホームケアのパックとしてはシートパックが主流ですが、シートパックはパックのなかでは「手軽である」「扱いやすい」という利便性の観点ではメリットが目立ちますが、スキンケア効果からはエタノールの含有量が高いことや、シートに薄い不織布が採用されていることが多いなどデメリットやリスクが目立ちます。

今も昔も保湿ケアとして最高のパックは「石膏パック」です。

ただ、石膏パックはホームケアとして重要な「手軽さ・やりやすさ」という要素をすべて投げ捨ててしまっています。

また、誤って直接肌につけてしまうとトラブルを起こすなど扱いが難しいため、今やエステサロンでも避けられることが少なくありません。業務用パック剤の主流もジェル、クリームになっています。

そこで私はお手持ちのクリームによる、クリームパックをご提案したいと思います。

いつもスキンケアに使っているクリームを2倍~3倍程度、お顔に塗ったくります。

そしてその、ぬらぬらな状態のまま寝るだけという超簡単なケアです。

さらに効果を増すなら、塗ったくったあと、口と鼻の部分を避けてラップで覆い、7~8分程度放置します。ラップは包帯状にはさみで切り、横向きにフェイスラインを引き上げるようにして貼り付けると良いです。リフトアップ効果も望めます。

翌朝はいつもどおり洗顔をし、スキンケアをするだけでOKです。

簡単です。何も買い足す必要はありません。

でもびっくりするぐらい効果があります。

いくつか注意する点を上げるとすれば、

クリームに保湿成分が含まれていること、抗老化成分である高濃度のレチノールやメラニン還元効果のあるハイドロキノンなど、まぶたの上に塗るには適していない成分を含んでいないこと、などを確認しましょう。

一般流通品を使用している場合はそんなに気にする必要はないと思いますが、業務用メーカーの製品などを使用しているとクリームはけっこうその作りが多彩です。購入元に確認してください。

あと些末なことですが、ぬらぬらで眠ると枕やその周辺を汚すことは必至なので、枕にはぜひフェイスタオルを1枚敷いてください。

あと、大事なことですが、クリームをたっぷり塗るというのはけっこう勇気が要ります。

トーストにいつもの倍バターを塗るのと同じか、それ以上に勇気が要ります。

これは、エステなんだ。

ただの日常のスキンケアじゃない。セルフエステだ。

そういう強い意志をもって己を奮い立たせ、怯まず、ぬっらぬら、テッカテカに光るぐらい塗ってください。

高級クリームを使用している場合は心が折れやすいと思いますので、パック用に安価なクリームを用意すると心理的負担が少ないかもしれませんね。こういうご時世なので余計なストレスは抱えずに済む手段を採用して欲しいと思います。勇気の無駄遣いはいけません。

買い足さず、何も変えずに今すぐできる肌の乾燥ケア まとめ

美容液、クリームの使用量を増やす

お休みの前日など週1回程度、手持ちのクリームでパックをして寝る

いずれも簡単でありながら、職歴10年超のエステティシャンが自信を持ってお勧めできるアプローチです。

ぜひお試しくださいね。

コロナ禍を経た昨今のスキンケア事情

ずいぶんおカタイ表題になってしまったのですが、久々の更新1発目はこれから行きたいと思います。

何を考えるにせよ、何の話をするにせよ、やはりまずは大きな枠を捉えておくことが重要だと思いますので。

2023年現在のスキンケア事情 ざっくり結論

時間がない人、文章読むのが苦手な人向けに結論を簡単に。

効果を重視したスキンケアの考え方と製品は第三世代へと移行中
油分でフタ(第一世代)
足りないものを補う(第ニ世代)
自分の細胞を賦活する(第三世代)→今ココ

娯楽性の高いスキンケアは下火
香りや感触を楽しむタイプのスキンケアアイテムは減り、実用性に重点を置いた製品が増えている。

価格と性能が比例しないのは変わらず。しかし、安くて効果の高い化粧品は存在しない
高い化粧品が必ずしもパフォーマンス(性能)に優れているわけではないが、安くてスキンケア効果の高い化粧品が存在しないのも変わらない事実。それは、美容成分には「原価」があるため。ここで言う、値段が安いの定義はおおむね千円台。

順に少し詳しく書いていきます。

最新スキンケアの考え方は「自分の細胞を活性化する」

かつて社会的地位が高い人や経済的に裕福だった人たちだけのものだった「スキンケア」が、庶民にまで広がったのは江戸時代だと考えられています。それから数百年を経て、近代スキンケアが広まったのは今から4,50年前。

肌に良い作用をもたらすことを目的に作られたスキンケア化粧品の考え方は、いったいどのように変わってきているのでしょうか。

第一世代 油分でフタをして水分を逃さない

肌の水分を油分でフタをすることによって守る、逃さないという考え方でつくられた化粧品が最初です。油分はオリーブ油やホホバ油などの植物性の他、動物性由来のスクワラン、酸化に強い鉱物油など様々なものが使われてきました。

ところが皮膚科学が発展するにつれて、油分は肌の保湿にあまり重要でないことが分かってきました。油分が肌の水分を守るために担っている役割は全体の2,3%ほど。多くは、自前の皮脂で十分であることが分かりました。

こうして、肌を健やかに美しく守るためのスキンケアは次の時代に突入します。

第二世代 足りないものを補う、有用なものを足す

肌の水分を守っているのは主に角質細胞間脂質。今やすっかり名前も機能もその重要性も定着した「セラミド」がスターです。角質細胞間脂質の他には天然保湿因子であるアミノ酸、尿素など。そして主に真皮で重要な役割を果たしているコラーゲン。このあたりはすべて保湿剤です。

そして、コロナ禍以前──2020年頃まではこのあたりが機能性の高い化粧品の主要成分でした。

足りないものや、肌にとって有用な成分を補う、足すという考え方が主流でした。この流れに重なるようにして次の流れが起こってきていました。

第三世代 自分の細胞を活性化する

足りないものや有効な成分を補うという考え方には、限界がありました。

例えば、コラーゲンは真皮で肌の土台を担っている大事な成分ですが、化粧品成分のコラーゲンは分子が大きく、真皮まで到達することはできません。また、人のコラーゲンと化粧品成分のコラーゲンはつくりが異なるため、同化することはありません。

そこで登場したのが、自分の細胞を活性化する「細胞賦活」という考え方です。

十年ほど前から美容商材の展示会や、一部の先鋭的な科学的化粧品を作っているメーカーではその種の製品が見られましたが、コロナ禍以前までは大変に高価な製品が多数でした。

美容成分の濃度が高くなるクリーム、美容液でだいたい1万円台後半から3万円台。なかには30gと標準的な容量のクリームで6万円、8万円というものもありました。

それがコロナを経た現在は、1万円未満……中には5千円台で濃度は高くないもののそういった成分を含み、なおかつパフォーマンス的にもある程度の満足を得られる製品が出てきています。

娯楽性の高い化粧品の流行は下火

コロナ禍以前……私の感覚的にはだいたい2018年頃から、スキンケア化粧品の動向は二極化の様相をていしていました。

実用性VS.娯楽性です。

突然ですが、この記事をお読みの皆さまは何を基準に化粧水や美容液を選んでいますか?

お値段? それとも、化粧品そのものの感触? 塗ったあとの肌の感触?

ベタツキがないかどうか? 匂いが好みかどうか?

多くの方が、今あげた要素を総合的に判断して結論を出しているのではないでしょうか。

女性の場合は物事の判断基準が「感情」の人が多いので、その過程や要素はうまく言語化はできないけれど「好き」か「嫌い」──それを、「合う」「合わない」と表現されるのかもしれません。

肌の傾向はそれぞれ異なりますが、肌のつくりや仕組みは皆一緒です。それを明らかにし、それを踏まえたアプローチを行うのが皮膚科学だと思います。科学に基づいたアプローチは当然成果をあげます。その考え方にない化粧品が「娯楽性の高い化粧品」です。

香りやテクスチャーの心地よさや品の良さなどに重きを置いているものがあれば、自然派、地域密着など独自の思想に基づいて作られた化粧品があります。

この辺りの化粧品は、コロナを経て一気に勢いがなくなったようです。

社会全体で経済状況が悪化したので消費者のニーズもより実用的に、実務的なものに変化した結果かもしれません。

高い化粧品が必ずしも良い訳ではない。ただし、安くていい化粧品も存在しない

スキンケア化粧品の値段とスキンケア効果は比例しません。お値段が高いからといって、必ずしもスキンケア効果が高いとは言えないのです。

ただし、値段が高い化粧品の中には実際にとんでもないスキンケア効果を発揮する製品もあります。

しかし、逆にお値段が安くていい化粧品も決して存在しません。

これも悲しいことに事実で昔から変わりません。

ここでいう「お値段が安い化粧品」の定義とは、千五百円以下の製品のことです。

フリーのエステティシャンとして、科学的視点で15年以上に渡って数千点の化粧品を見て、手にとってきましたが、少し前ならば千円以下、今のように物価高の状況では千五百円以下の化粧品は、化粧水であってもスキンケア効果を期待するのは厳しい、というのが私の結論です。

化粧品の美容成分には原価というものがあります。たとえば、セラミドの中でも主に保湿に関わっていると考えられているセラミドⅡは非常に高価な成分です。千円台の化粧品にも表示上は入っていることがありますが、実際に使ってみるとその存在を全く感じません。

濃度が薄すぎるのです。美容成分はそれなりの濃度がないと体感できるくらいの効果を発揮しません。

それなりの濃度とは、目的とする効果によって異なりますが、最低1%以上です。3%ほどだと大抵しっかり存在を感じますし、5%以上は逆にリスクの心配をする必要が増えてくるかと思います。

そのため、保湿を目的としてセラミドⅡを含む製品を探し、予算を加味して千五百円の美容液を購入するよりは、合成できるようになって安価になったヒアルロン酸を高濃度に含む同じ価格の美容液を使った方が総合的なスキンケア効果は高くなる……といったようなことが、現実ではよく起こります。

ここが化粧品選びを難しくするひとつの理由かと思います。

長年、たくさんの方のスキンケア化粧品選びのご相談にのってきましたが、誰もが皆さんおっしゃいます。

安くていいのを教えて欲しい、と。

私もできるのならそうして差し上げたいと思います。ただでさえ、先の見えない世の中です。

ただ、なかなかそうはいかない事情があるというのは事実です。

2023年現在のスキンケア事情まとめ

コロナ禍を経て、スキンケア化粧品の傾向は大きく変わっていこうとしています。

これからは、自分の細胞を賦活する「第三世代」のスキンケアアイテムに注目したいところです。

とはいえ、スキンケアは必ずしも美肌づくりのために行わなければならないものではありません。

朝、自分にスイッチを入れるために。

夜はリラックスのために。

忙しい現代人が気持ちの切り替えをする時間のおトモでもあります。

ご自身の美容観をもって、適切なアイテムを選んでくださいね。

日焼け止めと紫外線対策のほんとうのところ

紫外線の強い季節です。

お砂場遊びの大好きなうちのチビ(2歳)も健康の観点から紫外線対策をしていますが、手の甲だけはノーガードなのでかなり黒くなってきました。

あ、この赤くなったりせず、いつの間にか黒くなっている現象を「サンタン」といい、主に紫外線A波によって引き起こされます。

ちなみに海やプールに行ったときによく体験する、赤くなってヒリヒリする日焼けは「サンバーン」といい、紫外線B波が主犯です。

紫外線A波への防御指数がPAで、紫外線B波への防御指数がSPFです。

そんな、知ってるようでよく知らない紫外線や日焼け止めのアレコレを今日は分かりやすくまとめていきます。

過去にも似たような記事はいっぱいあるんですが、関心事の高い事柄だと思うので気にせずまとめていきます。

日焼け止め関連の検索でかなりご訪問いただいているようですので。

8/3追記:この記事の内容をさらっとまとめた動画(約2分)を作りました
時間のない方、文字を読むのが苦手な方は動画もいかがでしょうか

UVカット効果の高い日焼け止めは肌に悪いの?

必ずしも悪いわけではありません。

SPF値やPA値の高さそのものよりも、使われている紫外線防止剤の種類や成分組成によって、肌への負担の中身が変わってきます。

50+のような高SPF値の日焼け止めに使われている紫外線防止剤は紫外線吸収剤であることが多いです。紫外線吸収剤は皮膚のうえで化学変化を起こし、紫外線をカットするので化粧品の成分のなかでは負担が大きい方です。環境省の紫外線防止マニュアルでは「稀にアレルギーを起こすことがある」というマイルドな表現で注意喚起されています。現役ゴリゴリ、職歴16年のエステティシャン的には、「稀(まれ)」よりは、もうちょっと頻度高い印象です。

小さなお子さんや肌の基礎力が落ちてきている中年以降では、可能ならば避けた方が無難なのではないかな、と思います。プールや海、キャンプなどのたまのレジャーに使う分には多くの場合問題ないかと。肌荒れしやすい人はシーンを問わずに避けた方が良いかと思います。

紫外線吸収剤不使用のノンケミカルタイプの日焼け止めは、酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料で紫外線を反射します。酸化亜鉛や酸化チタンは、ファンデーション等にも使われる「粉」ですからアレルギーは起こしにくいのですが、粉であるため、皮脂を吸着しやすくなります。夏場は気温があがるため皮脂が出やすくなるので、多くの方にとってはありがたいことですが、皮脂が極端に少ない人では、これによって乾燥しやすくなることがあります。

また、酸化亜鉛や酸化チタンなどの紫外線散乱剤は「粉」なので、そのままでは密着度が低いため、シリコーン油などの撥水剤と一緒に使われます。密着度の高いノンケミカルタイプの日焼け止めは非常に日焼けしにくく、アレルギーを起こしにくい反面、とってもクレンジングしにくいです。クレンジングの際にごしごしこすりすぎたり、強すぎる洗浄力のクレンジングを繰り返し使うことで肌を傷めることがあります。

水性ジェルかクリームタイプのクレンジングをたっぷり使い、顔全体で40秒ほどかけてていねいにやさしくクレンジングすることで、それを防げます。(ちなみに、この方法では密着度の高い日焼け止めの落とし残しも起きにくいです)

日傘と帽子があれば、日焼け止め塗らなくていい?

美容の観点からは必要です。

紫外線は空から地上にまっすぐ降り注ぐものの他に、散乱光といって周囲の建物や自然物などで反射したものがあります。割合としてはこちらの方が多く、6割程度は散乱光といわれています。

日傘と帽子が直接的に威力を発揮するのは直射光ですから、たとえそれらを装備していてもお顔には日焼け止めを塗った方が、美容の観点からはよろしいかと思います。日傘と帽子は赤外線対策(熱中症予防)には有効なので、大事ですけれどね!

ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なの?

ウォータープルーフであること自体は、負担にはなりません。

耐水性や撥水性を付与する成分は、主にシリコーン油ですが、これ自体は大変一般的な成分で肌への刺激も問題にされていません。ただ、クレンジングしにくくなるので、落とすときにごしごしこすったり、オイルクレンジングなどの洗浄力が強く、さらさらした質感のクレンジングを日常的に使うと、それらが負担になることはあると思います。

詳しくはこちらもどうぞ↓
ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なのか?(過去記事)

化粧くずれしにくい 皮膚科学的夏のスキンケア

気温が高い日が増えてきましたね。

札幌でも室内の温度計が25℃以上という日を、すでに何度か見ました。

気温が高くなってくると、汗をかくだけでなく皮脂も出やすくなるので化粧崩れ、テカリが気になってきます。今日は科学的観点で、それらを予防・緩和するケアについてまとめていきます。

もはや完全に動画の時代だな、と思ったので不格好ながら今回のブログの内容を動画にしてみました。お時間がない方、文字読むの苦手な方、こちらはいかがでしょう。

※喋ります。音量注意してください。

くずれ・テカリを予防する夏のスキンケア結論

油分少なめ、保水成分たっぷりを意識する

ビタミンC誘導体を含む化粧水か美容液を取り入れる

解説していきます。

油分少なめ、保水成分たっぷりのスキンケアとは?

まず、前提として基本的なスキンケアのために用意するアイテムは、化粧水・美容液・クリームの3点です。科学的な観点からは、乳液ではなく絶対クリームがおすすめ。乳液とクリームには天と地ほどの埋められない違いがあります。

このうち、クリーム以外は油分やシリコーンオイルなどの油様成分を含んでいないものを選びます。

市販の化粧品は、てっとり早く肌に柔らかい質感をつくりだすために、それらの成分が含まれているものも少なくありませんが、自前の皮脂が増える夏場は化粧品に含む油分や油様成分が化粧崩れの一因になってしまいます。

油分は、お肌のうるおいを守るのにたった2~3%の役割しか担っていません。

参考:
皮膚科学発想の保湿スキンケア
お肌のうるおいってそもそも何のこと?

セラミドやセラミド様成分、ヒアルロン酸、リピジュア(ポリクオタリウム-51)などの機能性が高い保湿成分をたっぷり含む美容液、クリームを選びましょう。

ビタミンC誘導体を含む化粧水か美容液を使う

ビタミンCには有名な美白作用(しみそばかすを予防)の他、過酸化抑制、コラーゲンの産生促進などさまざまな美容効果があり、古くからエステや美容皮膚科領域で重用されています。

このうち、お家で肌で塗って得られる大事な効果のひとつが、「過剰な皮脂の抑制」です。

ビタミンC誘導体を含む化粧水や美容液を使うことで、さらっとした肌が続く効果を望めます。

重要なのは、ビタミンC(成分名アスコルビン酸)でなく、ビタミンC誘導体を含む化粧品を選ぶこと。VCは非常に安定性に欠ける成分で、アスコルビン酸ではただ塗るだけは美容効果は得られず、美容機器と併用することではじめてその効果を発揮します。

体内で酵素によって分解され、少しずつビタミンCとなり代謝されるなどの機序をもつ、誘導体の形になったものは塗るだけでもその効果を得られます。(医薬部外品指定成分です)

成分名は、アスコルビルMgなどアスコルビルほにゃらら または ほにゃららアスコルビルの形になったものです。

濃度がそれなりにないと働かないので、1%から5%くらいの化粧品がおすすめです。

***

基本的なスキンケアに必要なアイテムで「クリーム」を推していますが、クリーム、お使いでない方が多いと思います。

お使いでない理由は、質感が好きじゃない、価格が高いものが多い、などではないでしょうか。

お気持ちやご事情はリアル店舗でうかがってきたので、よく分かるのです。

シャバっとしたみずみずしい質感が好まれるようになって久しいですし、ますます美容ケアにかける費用は抑えたくなるでしょう。

ただ、年齢を重ねた肌……個人差はありますが、やはり35歳くらいからはクリーム抜きのスキンケアラインナップをつくるのは、なかなか難しいものがあります。

クリームは一番美容成分の濃度が高く、油に溶ける性質(油溶性)のものが多い美容成分を効率よく取り込めるアイテムです。ご予算の関係でとなると、どうしようもないのですが、スキンケアに効果を求めたい方は絶対に検討して欲しいと思います。

保湿に特化したクリームなら、お手頃価格でこちら↓とか、なかなか成分がいいですよ。

肌ラボ 極潤 ヒアルロンクリーム

ヒアルロン酸が主体なのですが、「アセチル化」といって肌に定着しやすい操作がされた上等なヒアルロン酸が入っています。ヒアルロン酸は単体だとセラミド(様)成分より体感的な保湿力は劣りますが、シリコーンオイルなどのエモリエント剤が主となった市販化粧品が多いなかでは、スキンケアに取り入れるとやはりなかなかいい変化と実感をもたらしてくれます。

原材料が安価なわりに、イイはたらきをしてくれるヒアルロン酸ですが、ネックはやっぱり「ぺったりした質感」ですね。スキンケア効果はさておき、好みはどうしても分かれそうなところです。

でも、今までクリームを使っていない方、乳液を使っている方は、だまされたと思ってまずはこの辺りのクリームから試してみていただきたいな、と思います。普段の自分の肌がどのぐらい乾いていたか、よく分かると思うんですよね。

化粧品業界の今と美容ケアの今後

近頃更新頻度がとみに落ちてしまっているのですが、それは私自身が美容ケアのあり方や化粧品の選び方に迷ってしまっているから。2年以上という長期に渡るコロナ禍を経て、さらには、とても21世紀のこととは思えないような不条理な暴悪があり……今なお罪なき人びとが苦しんでいるという、とんでもない時代です。

エステやスキンケアのような美容的ケアって、豊かさが前提なんですよね。

だから、古代から中世はごく一部の社会的地位の高い人や、経済的に豊かな人しかなじみがなかったわけです。

日本では、いわゆる美容ケアの原型のようなものが庶民にまで広がったのは、江戸時代中期だと言われています。江戸時代は、ご存じのとおり約三百年間という長きにわたって戦乱のない、世界的に見ても稀な平穏な時代です。多少の事件や災禍はあっても、豊かな社会があったからこそ庶民もそういうものに手をだす事ができたのですよね。

いつの時代のどの国でも無くなることはないものの、社会や時代によってごく一部の人のために存在するものか、広く庶民にまで親しまれるものか変化する左右するという点では、芸術分野と同じ要素があるのかもしれません。

今はそのベースとなる社会が急激に変わりつつあるし、先の方向も見えにくい。

いったい、これからの世の中で美容ケアというのものは、どんな人たちにどんな風に必要とされるのでしょうね。

今とても悩んでいます。

私は今の職……フリーのエステティシャンになって今年で17年目なのですが、この間ずっと化粧品は科学的観点で、お肌に本当に必要なケアを行えるものを扱ってきました。だからこのブログのタイトルは『皮膚科学の視点でスキンケアを考える』なのですが、こうなってくるともはやこういう考え方自体が時代に合ってきていないように思えます。これもやはり豊かな社会が前提の考え方です。

化粧品業界も今は本当に大変です。コロナによって人と会うことや関わることが制限され、そのうえマスク生活ですから、スキンケアやメーキャップの必要性そのものが低下してしまいました。

業績が悪化しているうえに、化粧品に使われる原材料の高騰や、海外のロックダウンの影響などによって容器類が入ってこなかったり、いろいろあるようです。長く化粧品・エステ業界の末席に身を置いて生きていますが、製品の製造終了、ブランドの統廃合など業界の動きはこれまで見たことがないくらいめまぐるしい。

今に、もしかすると「化粧品を選ぶ」ということ自体ができなくなる……とまではいかなくても、選択肢はこれまでの豊かな時代よりもずっと乏しくなるかもしれない。まあ、そもそもニーズが低下しているし、そういうものにお金や時間をかけられない人も増えてくるのだから、広い意味で「淘汰」といえばそれまでかもしれませんけれど、ね。帰趨がそうならそれで、構わないんですけれど。

ぐだぐだ言っていますが、今はまだこの業界に身を置いている訳です。なので、悩んでいるだけではどうしようもないので、いろいろ、あれこれ考えて動きだしてはいます。

その一環で、これまでとは少し違った視点で化粧品を見つめ、掘り起こし、試用していたのですがその影響ですっかり肌が荒れてしまいました。

エステティシャンになったばかりの頃もものすごい種類の化粧品を試しましたが、あの時は20代だったから無茶な試用にも耐えられたんだよなあ……と、ちょっと白目を剥いてしまいます。

まあ、たとえ生物学的には衰えていても今の40代の自分の方がしっくりきているし、好きですけれどね。

そんなこんなで(すごい乱暴な総括……)化粧品や美容ケアのことについて、「こんなことを知りたい」「こんなことが気になっている」なんてことがありましたら、ぜひお教えください。

ブログにコメントいただいても嬉しいですし、クローズドの方がよければ個人的にメールいただいたり、リアル店舗のお客様はお会いした際にでも、何でもお声かけてもらえると嬉しいです。

ちなみに、こんな生業で、こんなことを言っている私は、休日は髪ぼさぼさ、すっぴんで部屋着がデフォルト。しかも、できればそのまま一歩も外に出たくないです。

仕事柄、もしくはアラフォーの社会人として人様に不快な思いをさせないよう、仕事のときはなるべく外見を整えるように心掛けていますが、本来的には自分の外見に興味は薄く、人様からどう見られるか、ということに関心は薄いです。それよりも本を読んだり、分析したり、考えをまとめたりすることの方が自分にはよほど重要なので。

一般にイメージされるようなエステティシャンとはちょっと違っているかもしれません。だからこそ、どんな些細なことでも気兼ねなく、おしゃっていただければ思います。

なんかエステティシャンって美意識高そう(笑)じゃないですか。確かに、実際そういう人も多いんですけれど……自分は全然違うので、ものすごい基本的なこととか、初歩的なこともご質問いただいたりすると嬉しいし、面白いです。

最後に宣伝入れておきましょうか。

科学的視点で化粧品をお選びしています。
業務用メーカー製品を優先的にご紹介しているので、お値段のわりに高いスキンケア効果が得られると長年、たくさんの方にご愛用いただいています。

恥ずかしがり屋さんや、お忙しいあなたにはセット商品がおすすめ。

ざらつき、くすみ、吹きでものができにくい土台肌をつくる、クレンジングと洗顔のセット。

根拠ある有用性の高いスキンケアに興味が出てきたときは、まずはこちらのセットを。
化粧水、美容液、クリームがセットになっており、約2ヶ月お使いいただけます。

オンラインショップでは、この他にもニキビケアセットや、きほんの抗老化ケアセットなどさまざま商品を取り揃えています。

また、カウンセリング後は、個別にクレンジングだけ、洗顔だけ、美容液などもご購入いただけます。

皮膚科学的観点のUV対策まとめ

紫外線が強い季節になってきました。

今年は2年ぶりに公的に規制や自粛を求められることのないGWということで、お出かけやレジャーなど計画している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

将来のしみやしわの予防という美容観点からはもちろん、皮膚がんの予防などの健康観点からも適度なUV対策は大事です。

UV(紫外線)対策は過去、かなりまとめてあるので、今日はそれをピックアップしてみたいと思います。

日焼け止めのSPF値とPA値について

SPF値はUV-B(紫外線B波)への対処性能のことで、国際的な指標。PA値はUV-A(紫外線A波)への対処性能のことで、日本独自の指標。

個人差はあるものの、SPF1=約20分間、やけどのような赤みと火照りを引き起こすサンバーンを防ぐという意味なので、日常使いではSPFは30程度、PAは++(ツープラス)から+++(スリープラス)ぐらいでOK。

参考過去記事:
美しい肌を守る日焼け止めの選び方③~SPF値とPA値の意味を知る~

科学的に肌に負担が少ないのはノンケミカル

日焼け止めに使われる紫外線防止剤には紫外線散乱剤と紫外線吸収剤がある。

アレルギーを起こしにくいのは、紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプ。ただし、散乱剤は酸化鉄や酸化亜鉛などのファンデーションの土台にもなっている”粉”なので、皮脂を吸着しやすい。使用感が好みに合わない場合はあるかもしれない。

参考過去記事:
美しい肌を守る日焼け止めの選び方① ~成分に着目する~

UV防止効果を重視するなら形状は”クリーム”推奨

日焼け止めのSPF値の測定は、1平方センチメートルあたり、2mgという規定量で行われている。これは、実際かなりの厚塗り。そのため、製品に表記されている紫外線カット効果を得ようと思ったら、感覚よりもそうとう厚塗りをしないといけない。

紫外線吸収剤タイプは、ジェルやスプレー、ローションにもできるが、そのようなテクスチャーの軽い形状だと、肌のうえに十分乗らないため「塗ったのに焼けた!」ということがよく起こる。

参考過去記事
美しい肌を守る日焼け止めの選び方② ~使いやすさに誘惑されない~

1500円以下で買える 優秀な日焼け止め

手間とお金がかかってしまったので、有料記事にしてしまいました。ごめんなさい。
ダウンロード版とWEB版があり、価格はどちらも220円です。

ダウンロード版はこちら
WEB版はこちら

昨年2021年公開記事ですが、今年も十分参考になると思います。

また、WEB版では冒頭部分、日焼け止めの成分等について詳しい解説が無料で読めます。

ご興味の向きはぜひ。

<ハンドクリーム>Neutrogena(ニュートロジーナ) ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム

近ごろずいぶんハンドクリーム、ハンドケア関連ワードで検索がかかっているようなので、またハンドクリームについて書いてみたいと思います。

手の乾燥と荒れ対策のまとめ記事はこちらからご覧いただけます

今日はamazonで現在(2022年4月)ベストセラー表示がついている「ニュートロジーナ ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用」を取り上げます。

ニュートロジーナ ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用

Neutrogena(ニュートロジーナ)ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用 50g
487円(2022年4月amazonでの価格)

ニュートロジーナ ハンドクリーム 超乾燥肌用の全成分

水、グリセリン、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、セテアリル硫酸Na、エチルヘキシルグリセリン、パルミチン酸、ステアリン酸、硫酸Na、トコフェロール

ニュートロジーナ ハンドクリームの成分解説とパフォーマンス

とてもシンプルな成分構成です。どっぷり美容ケアに浸かっていて、その道で16年飯を食っている人間からすると、「超乾燥肌用、だ…と……?」と思わざるをえないかんじ。

基材(化粧品の土台)に油性原料のセテアリルアルコール、それに保湿剤であるグリセリン。フェノキシエタノールは防腐剤で、製品中に含まれる量はごく微量。そのため以後の成分は気にしなくていいです。

肌のうるおいや改善に関与するような成分は、保湿剤であるグリセリンのみ。セテアリルアルコールはいろんなはたらきがありますが、この場合は滑らかな質感をつくりだす、コンディショニング剤かな、と。

このブログにたどりつくような、美容マニアの方ならとっくにご存じの成分だと思いますが、グリセリンはいわゆる、古典的ではたらきの穏やかな保湿剤です。また、水に流れやすい性質なので、手のような頻繁に洗うようなところ──ましてや今は、しょっちゅう洗ったり、アルコール消毒したりするような状況なので、あっという間に流れてしまうと思います。

恐らく、「超乾燥肌用」表記の担保になっているのは、グリセリンの純度と濃度。

純度99%以上のものは医薬品分野で使われるもの。濃度は明記されておらず「メーカー比」となっています。一般にいって、化粧品の高濃度とはだいたい3パーセント以上くらいから。

とはいえ、所詮グリセリンなんだよなぁ……と思ってしまいます。撥水剤も入ってないしね。顔ならまだしも……すぐ流れちゃうのよ。

まとめ

ニュートロジーナ ハンドクリームは、普段ハンドクリームをぬる習慣がなかった人が、入門的に使うといいハンドクリーム。高い機能性を求めて、ハンドクリームジプシーしているような玄人向けの商品ではないと思います。

このハンドクリームの保湿機能を最大限に引き出す使い方は、とにかく小まめにぬること。ぬりまくること、です。

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こういう、殺伐とした世の中なのであんまりネガティブなことは書きたくないし、考えたくないんですけれど。「超乾燥肌用」表記が私のハートを燃え上がらせてしまいました。めっちゃひどい手荒れに切実に悩んでいる人が買っちゃったらどうするんだよ、と。

販売側がつけるコピーは自由ですからね。最近は景品表示法や薬事法にひっかかっている広告が増えてきて、また風紀が引き締められはじめましたけれど。いい傾向だ。いいぞ、もっとやれ。

ただでさえ、あこぎな、胡散くさい業界なので、作る側も売る側も、そして私のような扱う人間も倫理と節度は大事だと思います。ちなみに、最近一部で話題になった医療機器、HIFU(ハイフ)については、本家ブログの方で触れました

手の乾燥と荒れ対策 まとめ

時世柄、時節柄、手と顔の乾燥がヤバイことになっている方が多いのではないかと思います。

ほんとうに効果のある対策や使うべき化粧品、ハンドクリームについてまとめていきます。

手指の乾燥、荒れ対策まとめ

本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?~皮膚科学の観点から~

肌荒れが起きる仕組みを分かりやすく

市販のハンドクリームの成分・実際の効果について

ユースキンA

パックスナチュロンハンドクリーム

手指の荒れと乾燥対策 3行まとめ

有効な対策は 物理的に守る・化粧品成分で守る・うるおい成分を与える

物理的に守るのは手袋、成分的に守るのはシリコーンオイルなどの撥水剤、与えるべきうるおい成分は1にセラミドやその類似成分、2に油分

残念ながら、流通しているハンドクリームに撥水剤とセラミド(類似成分)が両方含まれる、科学的な製品はほとんどない

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ほんとうに”効く”ハンドクリームは、残念ながらほとんど存在しません。

10年以上前から、たぶん累計で3百点以上のハンドクリームの成分を見ていますが、シリコーン油が十分に含まれており、セラミド(類似成分)も同時に含むという要素を満たし、なおかつ、その他の細かい条件(ややこしくなるので割愛します)も満たしており、わたしが皆さまに自信をもっておすすめしたいという製品は、たった2商品です。

化粧品はもともと、娯楽物としての側面も強いのですが、ハンドクリームが属するボディケア化粧品では特にその傾向が強いです。

顔はしみやしわ、乾燥、にきびなどがあるとけっこうストレスになるので、積極的にそこを何とかケアしようという発想の化粧品が存在するのでしょうが、ハンドケアは今まで化粧品業界も眼中外だったのかもしれません。

顔用の基礎化粧品を作っている会社が、ついでにボディケア用の商品も作っているというケースはありますが、逆はあまりないのもそれを暗に示しているように感じます。顔用化粧品とからだ用化粧品は同じ化粧品でもそれぞれテリトリーが違うのですよね。

コロナ禍によって、間接的にハンドケアのニーズが高まっているので、今後は少し情勢が変わっていくのかもしれません。

んじゃあ、今、実際に手荒れや乾燥に切実に困っている場合はどうしたらいいのかというと。

ひび割れや手荒れが発端となった湿疹などがある場合は、医薬品で治します。

そのうえで、水仕事のときはゴムやビニル製の手袋を着用、それ以外は現実的に可能な範囲で綿手袋をしたまま生活します。ポイントは、”現実的に可能な範囲”です。2歳の子どもにマスク着用させるか、などという想像力の欠如した話ではありません

ライフスタイル……具体的には、小さな子どもや介護の必要な方のお世話をしている方、手のかかるペットのお世話などをしている方は日中手袋をするのはほとんど無理だと思います。なので、そういう方は夜寝るときだけでも手袋をしておくと、それだけでも効果あります。寝ている最中に外れてしまうのはご愛嬌。

性能的にすぐれたハンドクリームはほとんど存在しないので、化粧品についてはフェイスケアの応用で対処します。

具体的にはハンドクリームは最低限しっかり撥水剤(シリコーン油)の含むものをチョイスし、ハンドクリームを塗る前に、セラミドやその類似成分をなるべく濃度高く含む美容液を塗ります。

そのうえからハンドクリームをぬればOKです。

美容液がなじみきる前に、ハンドクリームを塗ってしまってかまいません。セラミド系の成分は水溶性の成分ではないので…。

長いこと先が見えず、まったく、心もからだも懐もパッサパサに乾いてしまいそうですね。

せめて、懐や時間が許すかぎり、ご自身でご自分を十分に労わり、慈しんであげてほしいものです。

同居の方がいらっしゃる人は、感染リスクという点では一蓮托生のことが多いかと思いますので、親子やご夫婦、パートナー(性別によらず)、ご友人同士で塗りっこしてあげてもよいのではないでしょうか。

タッチセラピーというものが存在するように、人は他者のぬくもりを感じるだけでリラックスするものですから……

FANCL ファンケル エンリッチプラスシリーズ<しわ改善 医薬部外品>

何気なく点いていたテレビから流れてきたCMにはっとして、手を止めました。

医薬部外品で、「しわ改善」効果表記

有効成分は、ナイアシンアミドだ、と……?

しわ改善効果を明記できる医薬部外品なんて、そうそうありません。

しかも有効成分はナイアシンアミド。

ナイアシンアミドは古くから化粧品や医薬部外品に使われている成分ですが、しわ改善効果で医薬部外品承認が通ったなんて、これまで聞いたことがありません。

これは、確認しなければ……!! 手に取らねば!!!

ということで、取り寄せました。

みなさん大好きメーカーさん、しかし、当ブログでは意外にもはじめて取り上げるFANCL(ファンケル)さんの話題の製品です。

ファンケル エンリッチプラス化粧液 しっとり

FANCL ファンケル エンリッチプラス化粧液 しっとり(医薬部外品)
30ml 1,870円(2022年Amazon,メーカー公式サイトで同価格)

エンリッチプラス化粧液の全成分

有効成分:
ナイアシンアミド

その他の成分:
精製水、濃グリセリン、BG、ジグリセリン、POE(26)グリセリル、ベタイン、ペンチレングリコール、加水分解コラーゲン液-4、コラーゲン・トリペプチド F、エクトイン、メマツヨイグサ抽出液、スイートピー花エキス、シソ葉エキス、DPG、植物性スクワラン、水添大豆リン脂質、グリセリンエチルヘキシルエーテル、キサンタンガム、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、水酸化K、イソステアリン酸フィトステリル、天然ビタミンE


ファンケル エンリッチプラス乳液 しっとり

FANCL ファンケル エンリッチプラス乳液Ⅱ しっとり(医薬部外品)
30ml 1,870円(2022年Amazon,メーカー公式サイトで同価格)

エンリッチプラス乳液Ⅱの全成分

有効成分:
ナイアシンアミド

その他の成分:
精製水、濃グリセリン、BG、イソノナン酸イソトリデシル、ジグリセリン、トリエチルヘキサン酸グリセリル、植物性スクワラン、ペンチレングリコール、ジメチコン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、ステアリン酸POEソルビタン、POE(26)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル、加水分解コラーゲン液-4、コラーゲン・トリペプチド F、エクトイン、メマツヨイグサ抽出液、スイートピー花エキス、シソ葉エキス、マカデミアナッツ油、パルミチン酸セチル、脂肪酸ジペンタエリスリチル-1、ベヘニルアルコール、ステアリン酸ソルビタン、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、グリセリンエチルヘキシルエーテル、カルボキシビニルポリマー、水添大豆リン脂質、ローズマリーエキス、水酸化K、天然ビタミンE、d-δ-トコフェロール

これは化粧品革命か? ~本題の前に~(お急ぎの方は飛ばしてね❤)

本題に入る前に恐縮なんですが、まずちょっとこの興奮をしたためていいでしょうか。我慢できない!

テレビCMを見た直後……いや、実際には見ている最中からスマホに右手を伸ばし、左手はすでに財布へと伸びていました。そして件の商品をトップバナーで見つけるやいなや、カートにIN! 購入手続き完了まで1分というところでしょうか。

そのぐらい、長年化粧品にどっぷり浸かって生きているマニアックエステティシャンにとって、

しわ改善効果表記 医薬部外品有効成分ナイアシンアミド はパワーワードだったのです。

実際、製品が届いてパッケージを見ても、

「すげえ! ホントに書いてある!!」(当たり前…)

と、心臓がバクバクしました。

こんなことでこれほど興奮して、胸を高鳴らせることができるのですから、まったく幸せな人生です。好奇心全振り人生。なお実務能力は……

さ、そんなどうでもいい前振りはさておき、成分と試用に際し感じたこと、総合的なパフォーマンスの考察などを書いてみます。

しわ改善の効果はどこのしわに効くの?

まず、「しわ」は大まかに分けると3種類あります。

小じわ・ちりめん小じわ
主に目じりにできる、細かいしわのこと。主な原因は肌の乾燥によるもの。肌の水分量の低下が顕著になる中年以降、特にできやすい。しわのなかでは比較的ケアがしやすく改善しやすいが、そのままにしておくと後述する「老化じわ」に移行していく。

表情じわ
主に額や口の周りなど、表情をつくるときに動く場所にできるしわのこと。主な原因は表情を動かすことそのものだが、加齢によって乾燥がすすんでいたり、真皮のコラーゲンや近接組織の劣化が進んでいると老化じわと相まって濃く、深くなり目立つ。

老化じわ
濃く、深い表情を動かさなくても目立つしわのこと。小じわや表情じわが移行する。主な原因は、肌の土台である真皮の組織劣化によっておきる……つまり、加齢が主要因。加齢以外では、紫外線A波も真皮細胞を傷つける。

このように、一口に「しわ」といっても種類があり、それぞれケア方法も対応する成分も違います。

特に老化じわについては、真皮の問題であることからホームケアでは対処がほとんど難しく、エステ領域でもできることは限られており、主に美容形成領域でした。これまでは

マジか! ナイアシンアミドは真皮のコラーゲンを増やす?!

では、件の製品、ファンケル エンリッチプラスシリーズの有効成分ナイアシンアミドは何のしわに効くということで医薬部外品承認が通ったのでしょうか。

すごく新しい話なので、手持ちの資料では調べようがなかったのですが、『化粧品成分オンライン』にとっても詳しく書いてありました。ありがたい!

コラーゲン減少改善による抗シワ・抗老化作用に関しては、2018年(推定)にナイアシンアミドが医薬部外品シワ改善有効成分として承認されましたが、2019年5月時点では作用メカニズムに関しては表皮と真皮の両方にアプローチとだけ記載されており、詳細なメカニズムは非公開とされています(文献11:2018)

https://cosmetic-ingredients.org/barrier-repair/niacinamide/

よく見たら、孫引きっぽいんですけれども……。

表皮と真皮の両方にアプローチということはつまり、小じわ・ちりめん小じわだけでなく、これまで化粧品塗布によるケアはほぼ不可能と考えられてきた老化じわにも効くということ。

しかしながら、その詳細なメカニズムは 非 公 開

さらには有用性のデータも非公表。

まあ、なんて秘密主義なんでしょう❤ もったいぶるなぁ。

そもそも、ナイアシンアミドという成分は冒頭でちらっと触れたとおり、ずっと特別な成分ではありませんでした。分類はコンディショニング剤といって、肌をすこやかに保つというふんわりした美容訴求効果。近年では、角質細胞間脂質の合成促進(保湿作用)、メラノソームの輸送阻害(美白作用)なども分かってきているそうですが、どれも実験室レベルの高濃度の話。臨床――製品レベルでは、他の成分のサポート的位置づけでした。そう、同じくさまざまな美容作用を合わせ持つプラセランタみたいな立ち位置です。

長年化粧品とキャッキャッウフフしてきた、マニアックエステティシャンも当然そのような認識で、施術の現場で重用したこともないですし、一般流通品に比べてシビアに結果の求められる業務用製品でもナイアシンアミドが全面に押し出された製品を知りません。

それが、急に裏Bossみたいに出張ってきたものだから、驚きと困惑しかありません。

鬼滅にたとえていうなら、これまで数度しか登場していないモブが急に出てきて「おれは無惨を倒せる。今までその力を隠してきた」って言いだしたようなもんです。もしくは、同じくモブが「わたし自分でも気づいてなかったけど、実は日の呼吸の使い手だったわ。エヘ」みたいなかんじ。

実際、その困惑は『化粧品オンライン』にも見て取れます。

シワ改善有効成分として承認されているため、その作用は有していると考えられますが、現時点では情報が少なく、シワ改善のメカニズムおよび有用性のデータも公開されていないため、抗シワ作用については保留とし、新たな情報がわかり次第追補します。

https://cosmetic-ingredients.org/barrier-repair/niacinamide/

この状態を、私たち消費者はどのようにとらえ、どのように判断すればよいのでしょうか。

製品の総合的なパフォーマンスは正直言って微妙(各方面に全力でごめんなさい)

そんないろんな意味でざわついた商品だったので、実際の製品を手に取ってみたんですけれども。

しわ改善効果とナイアシンアミドのことは、まあそういう事情なのでひとまず横に置いておいて……大前提として、ちょっと、その……言いにくいですけど……年齢化粧品としては、保湿力が足らないんですよね。

意を決して言います。

老化じわを改善する以前に、このツーステップでは基礎的な保湿力が足りないと思う。しわ改善が全面に押し出されているので、ターゲットは少なくとも35歳以上くらいからかなと思うのですが、私がこれまで拝見してきたその年齢層の方の平均的な肌状況を鑑みると、保湿力が足りない。

ナイアシンアミドに気を取られていて――というか、関心のすべてを持っていかれてしまって、わたしも実際に肌につけるまで他の成分を一切見なかったという愚かなことをしたんですが。

独特のきしみ感のある皮膜感に、懐かしい一般品の雰囲気を感じながら表示を見てみたのですが、

化粧液の方には複数のコラーゲン、乳液にはコラーゲンに加え、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)(合成セラミドと考えてもらっていいと思います)も表示が見られるんですが……足りない。

塗った直後はもちもちっとして、すごくうるおっているように感じると思うのですよ。乳液だけでなく、化粧液にもシリコーン油が入っているのでね。気持ちよくスキンケアできるし、手ざわりはよくなります。

だけど、正味のところの水分量を増やす成分がほとんど入っていないので、就寝前にぬって寝る前くらいまではもちもちしていても、朝になるとけっこうパサついているなんてことが起きると思う。

気持ちよく塗りひろげられて、もちもち、つるつるっとした手ざわりを作れるのって市販品のあり方としてはすごく正しいと思うんですが、機能性を謳っているというところを踏まえるとちょっともやッとするかんじはあります。

スキンケアを楽しむ、という点からは素晴らしい製品だと思います。

清潔感のある容器に価格にそぐわないていねいなパッケージングは、厳格な品質管理を思わせ、開封時にわくわくします。やはり、スキンケア効果を追求したブランドやレーベルにはない、スキンケアを楽しむための仕掛けがそこここにあります。

ただ、率直に貪欲に、しわ改善効果をはじめとした高いスキンケア効果を望むのなら、選択はこちらの製品でなくても良いようにマニアックエステティシャンは思います。

まとめ

ファンケルエンリッチプラスシリーズは、なんかすごく効きそうで、わくわくしながらスキンケアを楽しめる製品! 実際のしわ改善効果……特に真皮への作用については機序も有用性のデータも非公表・非公開のため、界隈をざわつかせています。

今後、追従するメーカーが増えてくれば、ナイアシンアミドのゆるぎない地位が確立するかもしれませんが、今のところはしわ改善効果については様子見でよさそう。

小じわに悩む人は、角質細胞間脂質やその類似成分を高濃度に含む美容液やクリームを使い、こってりしっかりした重めのテクスチャのクリームで油分も補います。

表情じわに悩む人は、基本の保湿ケアをおこないつつ、アルジルリン、シンエイク、ロイファシル(いずれも通称)あたりの美容成分を3%から5%くらい含む化粧品を使ってみましょう。お値段はいずれも高いよ!

また、この辺の抗老化剤に属する成分は濃度が高すぎると扱いが難しいので、気を付けてね。ネットでは簡単に手に入っちゃうけどね。

深い老化じわに悩む人は機序と安全性が確立されている、VCをおとなしく週2~3回ポレーションするか導入しましょう。導入の際はマイナスでね。美容機器を使うのなら、誘導体でなくアスコルビン酸でもかまいません。その方が濃度が高いものがお安く手に入るかも。でも最大20%ぐらいにしときましょう。VCも濃度が高いものは、肌にしみます。あっとつっぱります。しみたり、つっぱりするだけでそれ以上の悪さはしないけど……。

VCを真皮まで浸透させるとコラーゲンの産生に関与する酵素にはたらきかけ、真皮のコラーゲンを増やし、肌の土台からケアできます。

難しいことはよく分からないけど、きれいな肌で若々しくいたい人は、まずはやっぱり保湿ケアからはじめてくださいな。基本を確実に行うのはやっぱり大事。何事もそうですよね。

余談 FANCLというメーカーさんについて

すごい人気のあるメーカーさんだな、という印象です。それだけ使っている人も多いし、注目されているんですよね。

これを書いている人は職歴16年目のずっとフリーのエステティシャンで、化粧品のご相談も承っているのですが、この15年間で一貫してもっともお問合せと製品のご質問が多いです。

老舗ばかりの大手化粧品メーカーのなかでは珍しく、比較的新しい会社なんですよね。50年前のベンチャーと言っていいのかしら。

ファンケルさんといえば、”無添加”が代名詞。

ファンケルさんが創業された1970年代はまだパラベンやセタノールなどの旧表示指定成分の表示もありませんでした。当然、いろんな成分の規定濃度も定まっていなかったはず。そうなると、肌をきれいにするための化粧品を使っていても肌荒れしたり、アレルギーを起こしたりということが今よりずっと多かったでしょう。

なので、ファンケルさんは添加剤や防腐剤の”無添加”にこだわったのですよね。

それから約30年が経ち、化粧品の全成分表示が義務付けられたのは2001年のことです。

現在ではかつて防腐剤の主流だったパラベンもフェノキシエタノールにかわり、その他の添加剤も刺激が強いものは製品中における濃度が定められています。精製の技術も向上し、化粧品の成分が直接的な原因で肌荒れを起こすことは少なくなりました。(特定の成分にアレルギー反応を起こす人を除いて)

このように、現代では”無添加”は製品の組成上はさほど意義がなくなってきているかもしれません。

しかし、ファンケルさんが今も消費者の心を捉えて放さないのはそういう歴史があるからでしょうか。

ファンケルさんは清く正しい一般の方向けの化粧品をお作りなので、私のような輩はあまり縁がありません。エステの現場や効果を追求するシーンで使いたい化粧品とは世界観が違うのですよね。

直接的な接点はなくとも、いつでも存在はすごく大きく感じるし、化粧品業界に一石を投じた(今も投じた……ナイアシンアミド……)という点でも敬意を覚えるメーカーさんです。

***

毎週土曜更新目標なのですが、これまたすっと気配を消し、2週間くらい経っちゃってました。

嘆いてました。

オミクロン株の猛威というよりは――日々明らかになっていく”処し方”の情報を追っていました。

自分を奮い立たせるために、表出するときは怒りに変えるようにしているのですが、実際のところは嘆いています。

ここ数日でようやく回復して、解脱しました。この2年間の苦悩から。

どんな社会だって、生きていくしかないんだ……グスン と思いつつも、この機に子どもに恵まれていなければ、世俗から離れ、間違いなく山に籠っていたなと思います。

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック)美容液<美容液>

明けましておめでとうございます。

今年もぽつぽつと続けていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年の一発めは角質細胞間脂質ーー乾燥肌・敏感肌の救世主セラミド配合スキンケア化粧品についてです。

昨年から引きずって新しい年に持ち込むのはちょっと気持ち悪いかんじがありますが、保湿ケアはやはりスキンケアの基本ですし、時期的にもタイムリーですしね。

あと、意外と知られていないですが、たるみの一次的要因も乾燥です。

マスク生活が長くなりすぎていて、たるみによる老け顔に悩む方も増えていますものね。

いつどこでどなたの目に留まるか分からないので、困っている方のお力になれるよう、しっかりしたためておきたいと思います。

皮膚科学的に肌のうるおいとはなんなのか、どんな成分が有用なのかは下記にまとめました。

皮膚科学発想の保湿スキンケア

皮膚科学発送の保湿スキンケア〜実践編〜

長いのでテキスト君とあまり親しくない方は読みにくいと思います。

3行でまとめると……

敏感肌は乾燥肌が悪化した状態

うるおいは8割がセラミド、2割弱が天然保湿因子、2,3%が皮脂(油分)によって維持されている

スキンケアにセラミドを取り入れよう! だけど、実際の製品選びは難しいよ〜

ということです。

前置きが長くなりましたが、今回のセラミド配合化粧品を見ていきます。

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック)美容液

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック) 美容液 47ml
3,,054円(2022年1月amazonでの価格)

オルナオーガニック 美容液の全成分

水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、プラセンタエキス、ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、セラミドNP、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、サクシノイルアテロコラーゲン、アセチルヒアルロン酸Na、オレンジ果皮油、ラベンダー油、ティーツリー葉油、キハダ樹皮エキス、ヒメフウロエキス、ツボクサエキス、マンダリンオレンジ果皮エキス、ユキノシタエキス、オウゴン根エキス、イタドリ根エキス、ソメイヨシノ葉エキス、カミツレ花エキス、ノイバラ果実エキス、トウキンセンカ花エキス、カンゾウ根エキス、チャ葉エキス、アルテア根エキス、イザヨイバラエキス、ラベンダー花エキス、ボタンエキス、ローズマリー葉エキス、キュウリ果実エキス、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス、フユボダイジュ花エキス、ヤグルマギク花エキス、ローマカミツレ花エキス、ユズ果実エキス、オリーブ果実油、アルガニアスピノサ核油、シア脂、グリチルリチン酸2K、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、スクレロチウムガム、リン酸アスコルビルMg、アスコルビルグルコシド、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、PEG-60水添ヒマシ油、キサンタンガム、水酸化K、ヒアルロン酸クロスポリマーNa、カルボマー、フェノキシエタノール(amazon当該製品ページより引用)

オルナオーガニック 美容液の成分解説とパフォーマンス

基材である水につづき、BG、グリセリンと吸湿性により保湿するマイルドな保湿剤が続いています。ペンチレングリコールはグリセリン同等の保湿剤ですが、抗菌作用があるので防腐剤がフェノキシエタノールの時によく入っています。フェノキシエタノールはパラベンと比べると守備範囲がちと狭いそうですのでね。

ここまでは化粧水や美容液の定番の走り出しです。

次がプラセンタです。

プラセンタは美白、保湿、抗老化と美容作用を広範に持つ成分です。出はじめの頃は抗老化作用をもてはやされていたのですが、最近は美白化粧品やアンチエイジング化粧品のメインの成分は張れず、サブ的位置づけで主役の成分と抱き合わせで入っていることが多いです。芸能界でいうバーターみたいな。芸能界と違うのは、プラセンタの方が若手でなく、旬を過ぎた存在であることでしょうか。あ…なんか、悲哀が満ちてきた。やめましょう。

次にヒアルロン酸(2種)があり、ここで今回の主役セラミドNPが登場です。

NPはセラミド3のことで、主なはたらきはバリア機能の強化・維持。

その後はコラーゲン(3種!)がつづき、ヒアルロン酸の優等生アセチルヒアルロン酸があり、香料である精油が3種、そして怒涛の植物エキス群です。

成分表示からパフォーマンスを想像するのなら香料や製品安定剤の前まで見ます。それらは本当に微量で、以後に入っている成分はたとえスター級の美容訴求成分であってもとっても薄いので、残念ですが美容効果ということでは意味がないことが多いです。名称があるとなんかいい気はしますけれどね。気分は上がる。

こちらの製品の場合、成分表示の後方、増粘剤の手前に優秀な新しいタイプのVC誘導体の成分名称があるのですが、残念ながら微量すぎてVCのもつ美容効果の恩恵にはあずかれないと思います。VCはある程度の濃度がないと本当に働かないので。3%は欲しいです。

では、本題の保湿力のほどはどうでしょうか。

うーん…こちら、ちょっと難しいです。

成分表示に化粧品の常識をプラスして考えると、これまで取り上げてきた3,000円前後または以下の製品と同じで、たぶん…ペンチレングリコールまでがほとんどを占めていて、きっとセラミドはうっすいと思うんですよ。

だって、47mlで3,054円ですからね。安い。安すぎる。

ただちょっと引っかかるんですよね。

香料前までの成分名の羅列が妙にリアルというか。感覚的な話で申し訳ないんですけれど。

ちょっとプラセンタの位置が高すぎて気にはなるけど、ヒアルロン酸とコラーゲンのくだりはすごくリアル。こういう成分表示のお宝レベルの高機能性化粧品、実際に存在していて知っています。

メーカーさんがベンチャーっぽいのも引っかかります。

一般に、どの業界でもそうだと思いますが大きな会社が販売している商品には人件費や広告費などの経費がたくさん製品価格に入っているので、価格の割に性能は低くなりがちです。分かりやすい例を挙げると、家電とかね。最近ですと、日本メーカーのものよりも中国とか韓国のメーカーさんの方が安いですよね。人件費が主な要因だと思うんですが、今後は変わってきそうです。(いや、もう変わってきているかもしれないけど、その辺は明るくないので勘弁してください。よく知りもしないのに生意気いってすみません)

あと別の例だと、生命保険のライフネットさんとかもね。ライフネットさんの方がピッタリかも。

化粧品も同じです。大企業さんの製品はほら、テレビでバンバンCMとかやっていますでしょう? ああいう広告費とか、百貨店のブースの賃料とか、そこで働くスタッフさんの人件費とかが製品価格に乗っていますからやっぱりベンチャーの作る化粧品に比べると価格の割に美容成分はそうでもないことが多いです。

もっとも有名企業の化粧品を買う理由は性能が全てではないでしょうけれどね。性能とコストパフォーマンスを重視して選ぶなら大きなメーカーさんの化粧品は候補から外れるのは道理というものです。

ちょっと話逸れちゃっているので戻します。

そういう、成分表示そのものだけでなく、背景や長年多くの化粧品と戯れてきたマニアックエステティシャン(職歴16年)の勘を加味すると、あり得なくないような気がしてしまうんですよね〜。お宝の可能性があるんですよね〜

どうしようかな、買ってみようかな。

……

……と、ここまで考えてまた成分見直してみたんですけれど。

キサンタンガム

カルボマー

けっこう増粘剤入ってるね。

セラミド美容液には入っててもおかしくはないけど、ヒアルロン酸は粘度の高い成分だからヒアルロン酸の濃度がそれなりにあると増粘剤は入ってないことが多いのよね。シア脂も超微量とはいえ入ってるのにね。さらにマシマシ増粘しちゃうのか。

やっぱり薄いのかな。シャバシャバなのかな。

まとめ

オルナオーガニック美容液は、ふつうに考えたら保湿効果はそれほど高くなく、天然香料で気持ちよく優雅にスキンケアを楽しめる化粧品。だけど、もしかすると、ひょっとするとお宝美容液(お値段の割に性能・美容効果が高い)の可能性がないわけでもないかも?! 肌状態に余力と懐に余裕のある方は一度試しに買ってみても面白いかもしれないです。

余談 オーガニックは肌に良いのか?

美容効果という観点では別に良いことはありません!

商業的にはおおいに意味がありますけれどね。

オーガニックはざっくり言うと、決められた環境、条件で栽培された農作物ですが、化粧品成分の場合はそのまま口に入るわけでなく、そこから精製するのでその過程で残留農薬などはほとんど残らないそうです。そもそも一番分子が大きいまま残る植物エキスはそんなに高濃度に配合できるものでなく、製品に占める割合も少ないですしね。植物由来の薬剤にいたっては、農薬とかもう次元が違う話です。

だけど、「オーガニック」の文言に惹かれて製品を手にとる方の心理は、正味どうなのかってことは関係ないと思うのです。先の大企業の化粧品を購入される人と一緒でね。

化粧品の世界ーー特に日本の消費者が、化粧品選び・購入の際に重視しているのは「肌やからだへのやさしさ」「安全かどうか」なんだそうで、特に植物由来成分の好感度が高いそうです。そういう意味ではオーガニック表記は魅力的であり、売れやすい製品になるのではないでしょうか。