化粧品業界の今と美容ケアの今後

近頃更新頻度がとみに落ちてしまっているのですが、それは私自身が美容ケアのあり方や化粧品の選び方に迷ってしまっているから。2年以上という長期に渡るコロナ禍を経て、さらには、とても21世紀のこととは思えないような不条理な暴悪があり……今なお罪なき人びとが苦しんでいるという、とんでもない時代です。

エステやスキンケアのような美容的ケアって、豊かさが前提なんですよね。

だから、古代から中世はごく一部の社会的地位の高い人や、経済的に豊かな人しかなじみがなかったわけです。

日本では、いわゆる美容ケアの原型のようなものが庶民にまで広がったのは、江戸時代中期だと言われています。江戸時代は、ご存じのとおり約三百年間という長きにわたって戦乱のない、世界的に見ても稀な平穏な時代です。多少の事件や災禍はあっても、豊かな社会があったからこそ庶民もそういうものに手をだす事ができたのですよね。

いつの時代のどの国でも無くなることはないものの、社会や時代によってごく一部の人のために存在するものか、広く庶民にまで親しまれるものか変化する左右するという点では、芸術分野と同じ要素があるのかもしれません。

今はそのベースとなる社会が急激に変わりつつあるし、先の方向も見えにくい。

いったい、これからの世の中で美容ケアというのものは、どんな人たちにどんな風に必要とされるのでしょうね。

今とても悩んでいます。

私は今の職……フリーのエステティシャンになって今年で17年目なのですが、この間ずっと化粧品は科学的観点で、お肌に本当に必要なケアを行えるものを扱ってきました。だからこのブログのタイトルは『皮膚科学の視点でスキンケアを考える』なのですが、こうなってくるともはやこういう考え方自体が時代に合ってきていないように思えます。これもやはり豊かな社会が前提の考え方です。

化粧品業界も今は本当に大変です。コロナによって人と会うことや関わることが制限され、そのうえマスク生活ですから、スキンケアやメーキャップの必要性そのものが低下してしまいました。

業績が悪化しているうえに、化粧品に使われる原材料の高騰や、海外のロックダウンの影響などによって容器類が入ってこなかったり、いろいろあるようです。長く化粧品・エステ業界の末席に身を置いて生きていますが、製品の製造終了、ブランドの統廃合など業界の動きはこれまで見たことがないくらいめまぐるしい。

今に、もしかすると「化粧品を選ぶ」ということ自体ができなくなる……とまではいかなくても、選択肢はこれまでの豊かな時代よりもずっと乏しくなるかもしれない。まあ、そもそもニーズが低下しているし、そういうものにお金や時間をかけられない人も増えてくるのだから、広い意味で「淘汰」といえばそれまでかもしれませんけれど、ね。帰趨がそうならそれで、構わないんですけれど。

ぐだぐだ言っていますが、今はまだこの業界に身を置いている訳です。なので、悩んでいるだけではどうしようもないので、いろいろ、あれこれ考えて動きだしてはいます。

その一環で、これまでとは少し違った視点で化粧品を見つめ、掘り起こし、試用していたのですがその影響ですっかり肌が荒れてしまいました。

エステティシャンになったばかりの頃もものすごい種類の化粧品を試しましたが、あの時は20代だったから無茶な試用にも耐えられたんだよなあ……と、ちょっと白目を剥いてしまいます。

まあ、たとえ生物学的には衰えていても今の40代の自分の方がしっくりきているし、好きですけれどね。

そんなこんなで(すごい乱暴な総括……)化粧品や美容ケアのことについて、「こんなことを知りたい」「こんなことが気になっている」なんてことがありましたら、ぜひお教えください。

ブログにコメントいただいても嬉しいですし、クローズドの方がよければ個人的にメールいただいたり、リアル店舗のお客様はお会いした際にでも、何でもお声かけてもらえると嬉しいです。

ちなみに、こんな生業で、こんなことを言っている私は、休日は髪ぼさぼさ、すっぴんで部屋着がデフォルト。しかも、できればそのまま一歩も外に出たくないです。

仕事柄、もしくはアラフォーの社会人として人様に不快な思いをさせないよう、仕事のときはなるべく外見を整えるように心掛けていますが、本来的には自分の外見に興味は薄く、人様からどう見られるか、ということに関心は薄いです。それよりも本を読んだり、分析したり、考えをまとめたりすることの方が自分にはよほど重要なので。

一般にイメージされるようなエステティシャンとはちょっと違っているかもしれません。だからこそ、どんな些細なことでも気兼ねなく、おしゃっていただければ思います。

なんかエステティシャンって美意識高そう(笑)じゃないですか。確かに、実際そういう人も多いんですけれど……自分は全然違うので、ものすごい基本的なこととか、初歩的なこともご質問いただいたりすると嬉しいし、面白いです。

最後に宣伝入れておきましょうか。

科学的視点で化粧品をお選びしています。
業務用メーカー製品を優先的にご紹介しているので、お値段のわりに高いスキンケア効果が得られると長年、たくさんの方にご愛用いただいています。

恥ずかしがり屋さんや、お忙しいあなたにはセット商品がおすすめ。

ざらつき、くすみ、吹きでものができにくい土台肌をつくる、クレンジングと洗顔のセット。

根拠ある有用性の高いスキンケアに興味が出てきたときは、まずはこちらのセットを。
化粧水、美容液、クリームがセットになっており、約2ヶ月お使いいただけます。

オンラインショップでは、この他にもニキビケアセットや、きほんの抗老化ケアセットなどさまざま商品を取り揃えています。

また、カウンセリング後は、個別にクレンジングだけ、洗顔だけ、美容液などもご購入いただけます。

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amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式(有料記事/100円,2018年夏UP)

amazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め(有料記事/220円,2021年夏UP)

期間限定で無料公開しています。

12月26日までです。

ここでも市販の製品についてかなり詳しく書いているのですが、このふたつの記事はたくさんの製品の成分を見て、良さげなものはすべて実際に購入し、その手で試用していろいろ確かめたうえで書きました。

その一連の手順は、サロンでフェイシャルに使用する化粧品を探す時、

はたまた、ホームケアのためにお客様に合う化粧品をお探しするときとまったく同じ手法です。

手間とお金(はっきり書いちゃった。下世話ですみません)が大変かかるので、有料設定にしてあります。

amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式 の方は、主題は「10代から20代前半の」なんですけれど、皮膚科学発想のスキンケアの基本と、それに適した具体的なアイテム(クレンジング・洗顔・化粧水・クリーム)をご紹介しているので、その他の年代や男性の方にも応用しやすいと思います。

3年も前に書いたものなので、取り上げている製品で一部リニューアルしたり廃番になっている商品もあるのですが、リニューアル後の製品も成分はあまり変わっていない……むしろ少し良くなったことは確認済みです。

廃番になったのは、日焼け止めなので、それは今年書いたamazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め で補っていただけるのではないかと。

週末のお暇つぶしにいかがでしょうか。

3日間すべて予定ぎっしり、なんて方もいらっしゃるかもしれないし、今はいろんな働きかたやライフスタイルがあるので、お仕事の方もいらっしゃるでしょうし、仕事ではないけれどすべて空白……という方もいらっしゃるかもしれないですよね。

例の輩の情勢もありますし。

悲痛なニュースや事件も多く、まったく心を痛めるばかりですが……

こんなときだからこそてスキンケアなどという軽薄なものを真剣に突き詰めてみるのって、なんか、いいじゃないですか。

人間、現実逃避が必要なときだってありますもの。

amazonで買えるビタミンC誘導体配合化粧水 3種

ビタミンC誘導体は数ある美容成分のなかでも大変有効な働きを持つ成分です。成分原価も安いため、製品価格も手ごろなものになりやすく、年齢性別問わずぜひとも毎日のスキンケアで取り入れたい成分です。

特に、先日皮膚科学発想の対にきび スキンケアでも書きましたが、にきびとうまく付き合っていくためには必須の成分です。

必要な成分が分かっていても、難しいのが製品選び。

今日は実際にビタミンC誘導体を含む化粧水3種を、低価格帯・中価格帯・高価格帯からそれぞれ1種類ずつピックアップして、配合されている成分やそのはたらきについて見ていきたいと思います。

シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローション

シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローション 120ml
8,800円

※2021年10月amazonでの価格

薬用表記があるとおり、医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。

【有効成分】L-アスコルビン酸2-グルコシド 【その他の成分】ローヤルゼリーエキス、酵母エキス(3)、ニンジンエキス、ユキノシタエキス、ボタンエキス、カッコンエキス、カンゾウフラボノイド、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、L-セリン、濃グリセリン、エタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、キサンタンガム、クエン酸、水酸化カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、精製水

ビタミンC誘導体の種類は L-アスコルビン酸2-グルコシド 。

酵素によって表皮や真皮でアスコルビン酸に分解されるという、VC誘導体のなかでは古典的なタイプ。

保湿剤は植物性の穏やかなものが中心。キサンタンガム(増粘剤)があるので液剤はとろっとしており、エタノールの含有量がけっこう高めなのでその揮発性によってスッと肌になじむ感じがあると思います。

成分を見るかぎりでは、ひと昔前の構成という感じです。

キサンタンガムやエタノールの件からいっても、スキンケア効果を重視した製品というよりは、スキンケアを楽しむための娯楽的要素が高いのではないかと思います。

価格は、相当数の製品を長年見て、実際に手に取ってきたエステティシャンの感性でいくと「ものすごく高い!」です。

このくらいの価格だと、もっと最新鋭のとんでもない成分が入った製品を使えるので、効果のあるスキンケアを実践するためというよりは、ブランドの思想やスキンケアの時間を楽しむための製品だと思います。

トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEX

トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEX 120ml
4,250円

※2021年10月現在amazonでの価格

薬用表記があるとおり、医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。

<有効成分> L-アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム(ビタミンC誘導体)、グリチルリチン酸モノアンモニウム(肌荒れ防止剤)

<その他の成分> 精製水、DL-アラニン(保湿)、異性化糖(保湿)、オウゴンエキス(整肌)、カモミラエキス(1)(整肌)、カンゾウフラボノイド(整肌)、グリシン亜鉛(整肌)、シロキクラゲ多糖体(保湿)、セイヨウナシ枝エキス(整肌)、ダイズエキス(整肌)、タイソウエキス(整肌)、党参抽出物加水分解液(整肌)、トリメチルグリシン(保湿)、ヒアルロン酸ナトリウム(2)(保湿)、ヒナギク花エキス(整肌)、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液(保湿)、ムラサキシキブ果実エキス(整肌)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(保湿)、ユキノシタエキス(整肌)、ローズマリーエキス(整肌)、ローズ水(芳香蒸留水)、濃グリセリン(保湿)、グリセリン(保湿)、ジグリセリン(保湿)、1,2-ヘキサンジオール(保湿)、1,2-ペンタンジオール(保湿)、1,3-ブチレングリコール(保湿)、クエン酸(pH調整)、クエン酸ナトリウム(pH調整)、乳酸ナトリウム液(保湿)、フェノキシエタノール(防腐)

公式サイトより https://www.tvert.jp/fs/tvert/219?ct_P6fd25c0eF87f6bF=11.1.365.40c3Oe1O676M958f.365.69l7u36ra0l9rhu7e1189e1h.39V6hCitea128i61OethO77V.null

VC誘導体の種類は医薬部外品表示成分名でL-アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、表示名はリン酸アスコルビルナトリウム。通称APS。

非常に新しいタイプの誘導体で、他のメーカーさんが使っているのを私は見たことがないです。体内で酵素で分解されてビタミンCとして代謝されるタイプだそうで、かなり安定度が高いんだそう。APPSとかVC-IPと比べてどうなんでしょう…誰か教えて……

こちらの製品、2019年時に研究段階では老人性色素斑――いわゆる、頬骨周辺にできる円形の”しみ”を薄くする効果が確認されたようです。濃度が6%で医薬部外品申請に通っているのようなので、一般的なVC誘導体が有効成分になっている医薬部外品のものの濃度は倍です。

VC誘導体の種類が先鋭的で濃度も高いせいか、保湿剤の類はやや控えめ。あまり強力に水を抱え込む性質のものが入っていないので、かなりサッパリした感じになるのではないかと。

ただ、この化粧水を使ったあとに美容液などで補給すればOKだし、科学的で高いスキンケア効果を狙ったすばらしい製品。

ただ、コスパの点でいくとちょっと高い、かな。

120mlボトルというのは、化粧水だと最小クラス。

ふつうに使っても1か月で間違いなくなくなりますし、お顔の大きさによっては一ヵ月持たない人もいます。首やデコルテにまで使うとちょっとびっくりするくらいの減りです。

他の成分も見るに、カテゴリーは完全に美白化粧品ですので、にきびケアのための化粧品として採用するにはちょっとコストがかかりすぎるだろうし、しみを薄くしたいのならやはりハイドロキノンに勝るものはないのではないかと。しみを薄くするのをあえてVC誘導体で狙う必然性もないような。

製品そのものはすごく良いと思うんですけれど、実際の活用では限定的になるような気がします。

メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ

メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ 170ml
870円

※2021年10月現在amazonでの価格

例によって医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。

全成分

【有効成分】 3-O-エチルアスコルビン酸(高浸透ビタミンC誘導体)、グリチルリチン酸ジカリウム 【その他の成分】アスコルビン酸(ビタミンC)、グレープフルーツエキス、レモンエキス、アルピニアカツマダイ種子エキス(アルピニアホワイト)、BG、濃グリセリン、DPG、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、パラベン、クエン酸ナトリウム水和物、無水クエン酸、キサンタンガム、エデト酸塩、香料

VC誘導体の種類は 3-O-エチルアスコルビン酸。通称ビタミンCエチル。安定性だけでなく即効性にも優れているという水溶性のビタミンC誘導体。古典的なタイプです。日焼けのあとに取り入れたい成分。

ちなみに、その他の成分にアスコルビン酸――純粋ビタミンCが入っています。たぶん、壊れています。ビタミンCはそのくらい不安定らしいので。

清々しいくらいに保湿剤が入っていません。

BG・グリセリン・DPGぐらい。いずれも吸湿性によって保湿するマイルドかつ古典的な保湿剤です。しかも、フルーツエキス後方の表示ってどういうことなんだ……

グレープフルーツエキスやレモンエキスってのは、肌を滑らかにしたり、引き締めるような作用がマイルドにあるのですが、そんなに量を入れられるもんじゃないので、その効果を製品で感じることは恐らくないと思います。ただなんか、入っているといい感じはしますよね。

メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ

”しっとり”

しっとり……だ、と?

しっとりの要素、どこ……?

キサンタンガム(増粘剤)か?

誘導体の種類が 3-O-エチルアスコルビン酸 、有効成分にグリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)があることからも、こちらは日焼け後の肌に使用することを想定した商品かな? と思います。

amazonで買えるビタミンC誘導体配合化粧水 まとめ

シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローションはスキンケアを楽しむタイプの製品

トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEXは科学的で先鋭的な美白化粧品。

メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプは日焼け後の肌にバシャバシャ使って楽しい化粧水。しっとりはたぶん液剤の質感!

こんな感じに個人的にはまとめたく思います。

いやー、改めて化粧品の懐の深さというか内包する小宇宙を感じました。

同じVC誘導体配合の化粧水というくくりでもこれほどの違いがあります。

価格的にも、成分的にも、コンセプトも。

これだから化粧品は面白いです。

皮膚科学発想の対にきび スキンケア

近ごろお客様のお子さんたちが大きくなってきて、中高生とか、大学生なんですよね。

あれ……おかしいな、この前まで幼稚園行っていたような?(真剣)とかうっかり思ってしまうのですが、15年も営業していれば、そりゃそうなんですよね。

その当たり前の事実におののく今日この頃なのです。

それはそうと、中高生や大学生のお坊ちゃん、お嬢さんたちを持つお母さま方のお肌の悩みといえばお子さんたちのニキビです。

大人にとってスキンケアは、娯楽でも義務でもなんでも個人の好きなように位置付けていいと思うんですけれど、若年層のニキビケアだけはちょっと毛色が違うと思います。

にきびがあることで人と対するのに気おくれしてしまったり、時にからかわれたり、ヘンテコなあだなや不名誉な通り名のきっかけになったり……大げさでなく、青年期の自己肯定感を損なう一因になりかねない。

たかがニキビごときで、多感な時期に余分に精神衛生を損なうなんて、そんな不幸は断じて許しません。

親は選べないけど(息子よコモン以下の親ですまない……)自分の人生を損なうリスクの内、コントロールできるものは積極的に潰していきたいものです。

直接的だろうと間接的だろうと、にきびによって心に傷を負うことを撲滅するのが、わたくしの使命の一つです。

今日はにきびが出来にくい肌、出来ても治りやすい肌、跡を残さない肌の作り方について書きます。

にきびはこうやってできる

1.角質が厚くなる

2.厚くなった角質によって毛穴がふさがれる

3.その中で、皮脂などの油分をエサに常在菌であるアクネ菌が異常繁殖する

にきび(大人の場合は吹き出もの)ができる原因は種々ありますが、順序は必ずこうです。

そのため、にきびを作りにくくするための最重要ポイントは角質を厚くしないこと。

そしてそのうえで、余計な油分を増やさない、皮脂が過剰ならコントロールすることが大切です。

必ず必要な成分は AHA・VC

角質を厚くしないことが最重要ポイントと書きましたが、実は角質が厚くなる原因は未だよく分かっていません。

肌の乾燥やホルモンバランス等のコンディションの他、ストレス、睡眠時間、食生活などの条件もあると言われています。また、もともと角質が厚くなりやすい人とそうでもない人もいるようです。

そのため、角質を厚くしないとは、厚くなることを予防するのではなく、厚くなったものを適切にケアする(薄くする)方が現実的です。

角質を分解する化粧品はいろいろありますが、やはりお勧めは肌を傷めにくい洗顔料タイプ。

特に、にきび予防のために使う場合は酵素ではなく、AHA(フルーツ酸、グリコール酸、乳酸など)を強くお勧めします。酵素は角質分解効果がマイルドなものが多く、十分な効果を得られないことがあります。フルーツ酸とグリコール酸が入っていて、濃度が3%から5%程度の、固形せっけんか泡で出てくるタイプの洗顔料がおすすめです。

そして、十分なピーリング効果のある洗顔料と同時に欠かせないのが、ビタミンCが入っている化粧水か美容液。

若いお嬢さんやお坊ちゃんなら手ごろなお値段になりやすい化粧水の方が使いやすいかもしれません。

VCが入っている化粧品を選ぶときに重要なのは、ビタミンCそのものでなく、ビタミンC誘導体が入っているものを選ぶことです。

VCには、代表的なシミや色素沈着を予防する作用の他、過酸化抑制や余計な皮脂を抑える作用もあります。このように、さまざまな美容作用を持ち、美容皮膚科やエステサロンでも必ず使われる大変優れた成分であるビタミンCですが、実はとんでもない致命的な弱点があります。

それは、安定性が悪いこと。

そのため、塗布するために使う化粧品に含まれるVCは安定性の増した誘導体の形でなければいけません。誘導体にもさまざまな種類がありますが、体内で酵素によって少しずつ分解されるタイプや、皮脂と混ざって浸透して分解されるタイプなどがあります。

できれば、油に溶ける性質の油溶性のVC誘導体が非常に安定性が高いので、それらを含む製品がベストです。

VC(成分名はアスコルビン酸)そのものしか含まない化粧水や美容液は、イオン導入等の美容機器と併用することではじめて意義のあるものなので避けます。

水を抱え込む性質の保湿剤が入った化粧品も用意しよう

二十代半ばくらいまでだと、肌の油分は当然、水分量もまだそこまで低下していないことが多いです。

そのため、さほど強力な保湿成分は必要ありませんが、角質をケアすると肌が少し乾燥しやすくなりますし、秋冬などはどうしても空気に水分が奪われますし、肌が乾燥することそのものが角質を厚くする原因のひとつなので、やはり保湿剤も用意した方が良いです。

大人の場合は、角質細胞間脂質を含むことが鉄則ですが、にきびケアのための保湿剤なら、ヒアルロン酸やコラーゲンなど水分を抱え込む性質の保湿剤でも良いかと思います。

ただ、やはりどの成分にも言えることですが、なるべく濃度が高いものがいいです。

ヒアルロン酸やコラーゲンは分子が大きい成分なので、加水分解されて分子が小さくなっているものや、アセチル基が導入されて水に強くなっているものだとさらに性能が良いです。

化粧品の形状は美容液やクリームが濃度が高くなりやすく、近頃はクリームであっても基材が水ベースのものが多いので、油分過剰にはなりにくいはずです。

皮膚科学発想の対にきびスキンケア まとめ

AHA(フルーツ酸とグリコール酸がベスト)を3%から5%程度含む固形せっけんか、フォームタイプの洗顔料とVC誘導体を含む化粧水か美容液、そして、ヒアルロン酸やコラーゲン等の水をたくさん抱え込む性質の保湿剤を含むクリームなどを用意します。

夜だけ洗顔料でまぶたの上をさけて顔全体を泡パックするように泡をひろげ、30秒ほど置いたのちすすぎ流します。

パックが面倒な人は、ちょっとていねいな洗顔ぐらいでもかまいません。それでも全然効果ある。AHA使うだけで全然違う。

その後、化粧水か美容液で十分VC誘導体をとりいれ、保湿剤で保湿します。

朝はぬるま湯で流すだけでもいいし、皮脂量が多い人はビオレでもunoでも牛乳せっけんでもなんでもかまいません。むしろ、皮膜形成剤が入っている洗顔料なら、牛乳せっけんの方がいいくらいだ。

どの界面活性剤でも必ず皮脂は落ちます。ぶっちゃけ、ぬるま湯だけでもけっこう落ちます。

このスキンケアを最低2か月は続けてみてください。

マジでにきび出来にくくなるし、出来てもすぐ無くなるから…… 跡も残らないから……

以上、ガチ勢エステティシャンがお送りする、ガチで効果のある対にきびスキンケアでございました。

にきびに人生狂わされる若者がいなくなりますように。

***

化粧品の選び方をお伝えするのは簡単なんですけれど、実際の難しいところは星の数ほどある化粧品から、それを見つけ出すことなんですよね。成分表示はあっても、実際に使ってみないと濃度とかは分かりにくいことが多いです。

濃度がきちんと書かれているのはメーカーさんの自信の証拠。あとは医薬部外品は効能を謳うときに対象の成分の濃度規定があるので、それも手がかりになります。

ちなみに、この書いたとおりの対にきびケアを実践するための基礎化粧品を私の方でもご紹介しているのですが、なんせお値段が安いとは言えないので、若い方にお勧めするのは忍びないです。

大人の、自分で自分の責任を取れる人には自信を持ってお勧めいたしますけれど。

一応、リンク貼っておきましょうか。

毎週土曜更新を目標にして早々に脱落しました。

なんか、ネット、デジタル関係のトラブルが頻発しています。

光回線も開通日当日に急に落ちたし。本家ブログは急にAレコードの設定とやらが必要になって、しばらく落ちたままだったし。

昨日のドコモの通信障害も例外なく影響受けました。

デュアルSIMで2枚SIM入っているんですけど、どっちもドコモで、どっちも死んだという……。正式にはdocomo回線のMVNOですけど、なんにせよ昨日はスマフォーがただのヒンヤリした平べったい四角と化しておりました。

【成分考察とレポ】suisai(スイサイ) ビューティクリア パウダー<角質ケア洗顔料>

先日、秋のはじめにやっておきたいスキンケアという記事の内容のなかで、厚くなった角質をOFFする洗顔料について触れたのですが、実際に市販品を試用してみたのでマニアックエステティシャンの視線でレポと成分考察をしてみたいと思います。

suisaiビューティクリアパウダーの全成分と価格

suisai(スイサイ)ビューティクリアパウダー0.4g×32個
1,880円

※2021年9月amazonでの価格

全成分

タルク、ココイルイセチオン酸Na、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウリン酸K、ミリストイルグルタミン酸Na、カラギーナン、シルク、メチコン、イソステアリルアルコール、BHT、DPG、エチルグルコシド、乳酸、水酸化K、プロテアーゼ、ヒアルロン酸Na、リパーゼ、メチルパラベン

suisai(スイサイ)ビューティクリアパウダーの成分を考察

洗顔料タイプの角質ケア剤なので、皮脂やメイク汚れなどの油性汚れを落とすための洗浄剤(=界面活性剤)と角質を科学的に剥離するピーリング剤……この場合は酵素と酸が1種含まれています。

酵素はタンパク質分解酵素であるプロテアーゼ、脂肪分解酵素であるリパーゼが含まれています。このうち、余分な角質を分解する作用があるのはプロテアーゼ。リパーゼは皮脂を分解します。

酸は乳酸のみ。ピーリング作用のある酸の主役はフルーツ酸とグリコール酸。乳酸はおだやかな角質分解作用を持っています。

さて、それら角質分解作用のある成分はいったい製品中にどのくらい含まれているでしょうか。表示順を見てみます。

酸化防止剤であるBHTより後ろ、アルカリ剤・乳化剤である水酸化Kの前に乳酸、後方にプロテアーゼ。

「あれ、ちょっとしか入ってない……?」

そう思われますよね。しかし、角質ケア効果のある洗顔料の成分表示はだいたいこんなかんじです。

ご紹介用の化粧品として、グリコール酸15%、AHA+乳酸で5%の洗顔料を取り扱っているのですが(コレを書いている人は職歴10年超のフリーのエステティシャンで、リアル・ネットでの化粧品販売をしています)どちらの成分表示もこちらの市販品と同じく、ph調節剤などの製品安定剤の前後に成分名の表示があります。

実はこれが角質ケア効果のある洗顔料選びを難しくさせます。

化粧水や美容液と違って、成分を見るだけでは実際の性能や使用感が想像しにくいのです。

なので、良品を探し出すにはひとつひとつ手に取って実際に泡立て、使ってみるという地道かつ懐の痛む作業が必要になるのです。

ちょっと脱線しましたが―― こちらのsuisai ビューティクリアパウダーの成分を見た印象は……「マイルドそう」です。

界面活性剤も、酸の種類もすごーくマイルドなかんじ。プロテアーゼもあんま入っていなさそう。

ただの洗顔料ではなく、角質ケア効果のある洗顔料なので、それなりのパフォーマンスは欲しいところですが……実際に使ってみました。

使ってみたら やさしさに満ちていた……

界面活性剤の種類が示すとおりの、やわらかでやや粗めの泡。角質分解効果は、よく噛みしめないと実感できないくらいのやさしさでした。

製品に表記はなかったのですが、10数年のあいだに三桁の数の角質ケア洗顔料を試用、業務で日常的に戯れているエステティシャンの肌感覚としては、1%もないんじゃないだろうか、という感触でした。

ちなみに、理想の濃度としては、酸や酵素の種類にもよるんですけれど最低3%くらい、しっかりした保湿効果のある美容液やクリームがお手元に用意してあるのなら5%は欲しいところです。1%ぐらいだと効果を感じずらいですし、逆に10%以上とかだと扱いが難しいので特別な事情がないかぎりおすすめしません。特にグリコール酸がピーリング剤の主となっているものは、効果が強いので一般の方がホームケアで扱うには難しいかもしれません。

それと、suisaiビューティクリアパウダーの場合、泡にコシがないのでパックしづらく、放置時間中にかなり垂れてきてしまうのもちょっとネックかもしれません。

洗顔料で角質ケアをするときには、しっかり泡立てて泡で顔全体をパックするように広げてからしばし放置する必要があります。ある程度の時間、酸や酵素が肌のうえにのっていないと角質を分解することができないのです。

まとめ

suisai(スイサイ)ビューティクリアパウダーは、角質ケア効果、洗浄力ともにおだやかなので、日常の洗顔に使うのがおすすめ。

よく見たら、1パック32個入り=朝か夜だけの使用なら1か月分なので、そういう使用を想定しているのかもしれません。個包タイプだったので、市販品のなかでは強めなのかなと勝手に思ってしまったんですけれども。タルクは吸湿しやすいので、単に湿気って固まってしまうのを防ぐためかも。

洗顔料としては問題ないのですが、角質ケア効果はガチ勢の製品たちに比べるとめちゃくちゃマイルドなので、あまり期待しない方が良いかもしれません。

このぐらいのコストをかけるのなら、フルーツ酸やグリコール酸などのピーリング成分をしっかり含む化粧品が使えてしまうので、真剣に角質ケアを考えている場合は別の製品を考えた方がよいと思います。

***

洗顔料でのマイルドなピーリングは、ぜひ日々のスキンケアにおすすめしたい手法です。

肌のためにいいことはいろいろあって、詳しくお知りになりたい方はこのへんとか、このへんを読んでいただくとありがたいんですけれども。

まあ、3行でまとめると

気持ちいい

効果がすぐに感じられる

その割に安い

ってことです。

お休みの日にうちでひとりでいられない方は、この急激な生活の変化が耐え難いのではないかと思います。

ピーリングソープと保湿効果の高いこってりクリームを用意して、お家でセルフエステなんて楽しんでみるのはいかがでしょうか。肌の調子があがると不思議と気分もあがります。

スキンケアは人からよく見られたいとか、人よりきれいでいたいとか、そういう目的でもいいんですけれど、休日や夜のスキンケアは自分を労わり、慈しむために、朝のスキンケアはスイッチを入れる気分転換のために活用することを引きこもりエステティシャンとしてはご提案したく存じます。

毎日のノルマやわずらわしい作業になってしまってはつまらないし負担ですが、ポイントを押さえるとなかなかに手軽なのに深い癒しのツールになると思います。


毎週金曜更新を目標に2ヵ月くらいやってきたのですが、目標破りが常習化しており、これはつまり、無理ということなのだと思います。

なんとなく、土曜ならいけそうな気がしてきたので来週から――いや、だめだ。来週は2回目のワクチン接種があるのでたぶん、きっと無理なので……いや、まてよ、予約投稿できたらイケるか?

えっと、まあ、その……そんなかんじです(どんなかんじだ)

科学に敬意と一定の信頼があるのでワクチンを接種することに屈託はありません。また、医学にはこれまでも大変お世話になっており、中年なのでこれからさらにお世話になると思います。だから、ある種の臨床試験のような側面があったとしても、微力ながら次世代のために役に立ちたいと思っています。