日焼け止めと紫外線対策のほんとうのところ

紫外線の強い季節です。

お砂場遊びの大好きなうちのチビ(2歳)も健康の観点から紫外線対策をしていますが、手の甲だけはノーガードなのでかなり黒くなってきました。

あ、この赤くなったりせず、いつの間にか黒くなっている現象を「サンタン」といい、主に紫外線A波によって引き起こされます。

ちなみに海やプールに行ったときによく体験する、赤くなってヒリヒリする日焼けは「サンバーン」といい、紫外線B波が主犯です。

紫外線A波への防御指数がPAで、紫外線B波への防御指数がSPFです。

そんな、知ってるようでよく知らない紫外線や日焼け止めのアレコレを今日は分かりやすくまとめていきます。

過去にも似たような記事はいっぱいあるんですが、関心事の高い事柄だと思うので気にせずまとめていきます。

日焼け止め関連の検索でかなりご訪問いただいているようですので。

8/3追記:この記事の内容をさらっとまとめた動画(約2分)を作りました
時間のない方、文字を読むのが苦手な方は動画もいかがでしょうか

UVカット効果の高い日焼け止めは肌に悪いの?

必ずしも悪いわけではありません。

SPF値やPA値の高さそのものよりも、使われている紫外線防止剤の種類や成分組成によって、肌への負担の中身が変わってきます。

50+のような高SPF値の日焼け止めに使われている紫外線防止剤は紫外線吸収剤であることが多いです。紫外線吸収剤は皮膚のうえで化学変化を起こし、紫外線をカットするので化粧品の成分のなかでは負担が大きい方です。環境省の紫外線防止マニュアルでは「稀にアレルギーを起こすことがある」というマイルドな表現で注意喚起されています。現役ゴリゴリ、職歴16年のエステティシャン的には、「稀(まれ)」よりは、もうちょっと頻度高い印象です。

小さなお子さんや肌の基礎力が落ちてきている中年以降では、可能ならば避けた方が無難なのではないかな、と思います。プールや海、キャンプなどのたまのレジャーに使う分には多くの場合問題ないかと。肌荒れしやすい人はシーンを問わずに避けた方が良いかと思います。

紫外線吸収剤不使用のノンケミカルタイプの日焼け止めは、酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料で紫外線を反射します。酸化亜鉛や酸化チタンは、ファンデーション等にも使われる「粉」ですからアレルギーは起こしにくいのですが、粉であるため、皮脂を吸着しやすくなります。夏場は気温があがるため皮脂が出やすくなるので、多くの方にとってはありがたいことですが、皮脂が極端に少ない人では、これによって乾燥しやすくなることがあります。

また、酸化亜鉛や酸化チタンなどの紫外線散乱剤は「粉」なので、そのままでは密着度が低いため、シリコーン油などの撥水剤と一緒に使われます。密着度の高いノンケミカルタイプの日焼け止めは非常に日焼けしにくく、アレルギーを起こしにくい反面、とってもクレンジングしにくいです。クレンジングの際にごしごしこすりすぎたり、強すぎる洗浄力のクレンジングを繰り返し使うことで肌を傷めることがあります。

水性ジェルかクリームタイプのクレンジングをたっぷり使い、顔全体で40秒ほどかけてていねいにやさしくクレンジングすることで、それを防げます。(ちなみに、この方法では密着度の高い日焼け止めの落とし残しも起きにくいです)

日傘と帽子があれば、日焼け止め塗らなくていい?

美容の観点からは必要です。

紫外線は空から地上にまっすぐ降り注ぐものの他に、散乱光といって周囲の建物や自然物などで反射したものがあります。割合としてはこちらの方が多く、6割程度は散乱光といわれています。

日傘と帽子が直接的に威力を発揮するのは直射光ですから、たとえそれらを装備していてもお顔には日焼け止めを塗った方が、美容の観点からはよろしいかと思います。日傘と帽子は赤外線対策(熱中症予防)には有効なので、大事ですけれどね!

ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なの?

ウォータープルーフであること自体は、負担にはなりません。

耐水性や撥水性を付与する成分は、主にシリコーン油ですが、これ自体は大変一般的な成分で肌への刺激も問題にされていません。ただ、クレンジングしにくくなるので、落とすときにごしごしこすったり、オイルクレンジングなどの洗浄力が強く、さらさらした質感のクレンジングを日常的に使うと、それらが負担になることはあると思います。

詳しくはこちらもどうぞ↓
ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なのか?(過去記事)

日焼け止めあるあるを解決しよう

あっちーですね!!

昨日札幌では35℃を記録しました。21年ぶりだそうで……。

太陽さんのパワーが強いと、日焼けも絶好調に進みます。紫外線と赤外線には相乗効果があるそうです。

毎日のUV対策に欠かせない日焼け止め、使っているといろいろと気になることも出てきます。今日は毎年多いお問合せ「日焼け止めあるある」についてまとめてみたいと思います。

<日焼け止めあるある1>

洗顔しても落ちていない気がする

洗顔後も膜が張ったようになって玉状に水を弾いているのなら、それは落ちていないサイン。

密着度の高い日焼け止めを落とすときは、クレンジング剤をたっぷり手に取り、指の腹でクレンジング剤のうえを円を描くようにクルクルと動かし、日焼け止めが浮いてくるのを待ちます。このときの時間の目安は顔全体で40秒くらい。この40秒という時間はいつもよりも「長め」であることが多いようです。

それでも落ちないようなら、クレンジング剤の洗浄力を上げることを考えてみてください。

参考
クレンジングの形状から洗浄力と肌への負担を推察する(過去記事)

<日焼け止めあるある2>

日焼け止めを塗っていたのに焼けた

考えられる原因は3つ

①ぬっている量が少ない
②汗や雨、皮脂などで落ちてしまった
③汗をぬぐったときや頬杖をついたときなどの摩擦で落ちてしまった

①②③全部、ということもありますが、対応すると改善しやすいのは「ぬっている量」です。
日焼け止めに表記のSPF値は、1平方センチメートルあたり2mgという規定量でテストされた効果で、これは実は相当な厚塗り。塗っているのに焼けるという場合は、いつも使っている量の倍くらいのイメージで重ねぬりしてみてください。厚塗りに抵抗があるときは、少なくとも頬骨周辺や鼻など紫外線がよく当たる場所には必ず重ね付けを。女性が日常的に使っている日焼け止めの量は、テスト時の規定量の1/4程度とも言われています。

ジェルやスプレー、ローションなど肌にたっぷり乗せにくい形状の日焼け止めをお使いなら、クリームタイプに変えるとしっかり肌にのせられます。汗っかきさんや皮脂が多い人、プールや海水浴などのレジャーの際は撥水剤がしっかり含まれているウォータープルーフタイプを選んでみてください。

<日焼け止めあるある3>

ごしごしすると皮がめくれてくる。かぶれたの?

恐らく、皮ではなく日焼け止めに含まれる「紫外線散乱剤」が浮いてきていると思われます。ノンケミカルタイプの日焼け止めの、主なサンスクリーン成分である紫外線散乱剤は粉状で、それを油性原料などと混ぜて皮膚のうえに伸ばしています。例えるならば、水で練った小麦粉を肌のうえに乗せている感じ。


なので、シャワーやお風呂のときに肌をこすると、垢のようにボロボロと出てくることがあります。その場合はゴシゴシこすって落とすと肌を大変傷めますので、クレンジング剤で乳化させて(浮かせて)流しましょう。

<日焼け止めあるある4>

日焼け止めを使っていると肌の調子が悪くなる

ケミカルタイプ(紫外線吸収剤使用)の日焼け止めを使っている場合は、SPF30前後のノンケミカルタイプの日焼け止めに変えてみる。ノンケミカルタイプの日焼け止めを使っている場合は、クレンジング・洗顔後の保湿ケアをもっと手厚くするなどの対応を。

ケミカルタイプの日焼け止めは、肌のうえで化学変化を起こすため負担となり、デリケートな方だと荒れたりすることがあるようです。ノンケミカルタイプはその点では肌にやさしいのですが、紫外線散乱剤は粉状のため皮脂を吸着し、乾燥することがあります。

とはいえ、気温が高く、紫外線が強い夏場は肌には負担が多い時期なので、日焼け止めが肌不調の直接の原因ではない可能性もあると思います。

以上、日焼け止めについてよくあるご質問、「日焼け止めあるある」でした。

紫外線は空から地上へまっすぐに降り注いでいるだけでなく、建物や植物などさまざまなものに反射しています。そのため、日傘や帽子での対策はUV対策としては不十分です。

美容の観点からは、少なくともお顔にはUV防止成分を含む日焼け止めや化粧下地、BBクリーム、ファンデーション(ファンデーションは基本的にはSPF表示がなくても紫外線カット効果があります)などを必ず塗り、日傘や帽子は熱中症対策にご活用ください。

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1500円以下のいい日焼け止めをお探しなら

冒頭部分、日焼け止めの詳しい選び方については こちら で読めます。ムリョーです。

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ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なのか?

夏ですね。

毎年のことですが、この時期はUV化粧品と美白化粧品のお問合せとご相談がガッと増えます。わたしの頭のなかもそれでいっぱいです。今日は、ネットや紙媒体などあらゆるところで見かける「ウォータープルーフタイプの日焼け止めは肌に高負担」について考えたいと思います。

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腕や脚などのからだに使うのに向いたものを1点、男性・お子さん含め体でも顔にも使えるオールマイティなものを1点、ファンデーションを重ねるときの化粧下地に向いたものを1点ご提案しています。

すべて試用済み、落ちるときはどのぐらいの洗浄で落ちるかもテストし、そのあたりのことも詳細に書いています。

さて、本題にまいりましょう。

ウォータープルーフにするにはどんな成分が使われている?

化粧品に使われる代表的な撥水剤はシリコーンオイルです。成分名はメチルポリシロキサン(表示名はジメチコン)、トリメチルシロキシケイ酸など。

シリコーンオイルというと、ノンシリコンシャンプーが流行ったせいで良くない印象があるかもしれませんが、成分そのものはネット状に皮膚を覆い、保護するもので決して皮膚刺激が強い成分ではなく、フェイスクリームやボディクリーム、ボディウォッシュ、ファンデーション、時には化粧水までさまざまなものに使われています。

撥水剤そのものは刺激が強い成分ではありませんが、ウォータープルーフの日焼け止めはそれらの成分が複数入ることで水や皮脂を弾く性質になっているので、クレンジングや洗顔でも落ちにくくなっています。

使ったあと、洗顔やクレンジングを1度しても、玉のように水を弾いたり、表面の覆われている感がいつまでも消えない……という体験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。これが、ウォータープルーフタイプの日焼け止めが肌負担になるというところの、ポイントです。

ウォータープルーフが負担になる場合

なかなか落ちないからといって、ごしごしこすったり(物理刺激)、強いクレンジング剤を使ったりすることは確実に肌への刺激、負担になります。また、落としきれずに、何日も肌のうえに日焼け止め成分が残った状態になると、肌へやさしいノンケミカルタイプでは、紫外線散乱剤である酸化鉄や酸化亜鉛などの顔料が付着した状態となり、皮脂が吸着されて乾燥したり、もともと肌への負担と刺激が強いケミカルタイプでは紫外線吸収剤が残ったままとなり、肌荒れを起こしたりしやすくなります。

そういう意味で、ウォータープルーフの日焼け止めは肌へと負担になることはあり得ます。

ウォータープルーフはやめた方がいいのか?

しかし、日焼け止めは十分な量が肌に密着した状態でのっていないと、その効果を発揮できません。(詳しくはこちら)そのため、ある程度の撥水剤は入っていないと、日焼け止めはそもそも紫外線を防止することができません。逆説的には、落ちにくい日焼け止めはよく働いてくれていると思ってもいいのかも。

日常使いする日焼け止めが必ずしもウォータープルーフである必要はありませんが、ウォータープルーフでない場合、どの程度の撥水剤が含まれているのか、一般の方がご自身で調べたり、試したりするのはなかなか骨が折れる作業です。その点、ウォータープルーフ表記があるものを選ぶのは、合理的な選択のひとつかもしれません。

ウォータープルーフタイプの日焼け止めの上手な落とし方

まずは、クレンジング剤を使うこと。「石けんで落ちる」表記があっても、その方が無難です。

石けんはアルカリ性の界面活性剤で、洗浄成分のなかでは洗浄力が強い方ですが、それでもクレンジング剤の方が皮脂や化粧品の油性原料を落とすのに優れています。石けんの方が肌負担が少なそうだからと、ごしごしこすることは、洗浄力の高いクレンジング剤を使うことよりも負担になります。

クレンジングが皮脂や化粧品などの油性汚れを落とす仕組みは、クレンジング剤が含む界面活性剤や油分などとそれらを乳化させて浮かせ、水で流します。流したあと、ぺったりした感触が多く残るのは界面活性剤が少なく、油分が多いクレンジング剤で、さっぱりした感触になるのは界面活性剤の多いクレンジング剤です。

いずれのクレンジング剤を使うにしても、クレンジングする際は、化粧品をたっぷり使って肌と指のあいだに十分なクッションを作り、肌を直接こすらないようにしてくるくると指でクレンジング剤と日焼け止めやメイクをなじませます。

時間はお顔全体でだいたい40秒くらい。短すぎるとクレンジングの油分や界面活性剤と日焼け止めが十分になじまず落ち切らないですし、長すぎるとクレンジングの洗浄剤が肌のうるおい成分まで乳化させて奪っていきます。

使用するクレンジング剤の種類はミルクかクリーム、または水性ジェルタイプが第一選択で、それでどうしても落ちにくい、扱いにくいようなら、油水混合ジェルタイプを考えます。

参考
クレンジングの形状から洗浄力と肌への負担を推察する(過去記事)

現在、ドラッグストア等で手に入りやすいクレンジング剤の多くが、油水混合ジェルタイプです。これは実はクレンジング剤のなかでは洗浄力が強く、肌への負担が大きい方のタイプです。年齢が若くても乾燥傾向の人、30代以上はほんとうはクレンジングはミルクかクリーム、水性ジェルタイプぐらいの洗浄力がおすすめです。毎日舞台に立つくらいのぱっちりメイクをしている人は別ですけれど……

あとは、スキンケアの基本ではありますけれど、肌のうるおいは20歳以降着々と落ちていますし、水で流すだけでうるおい成分は流れるものなので、クレンジングしたあとはしっかり保湿ケアすることは大切です。毎日メイクをする人は習慣になっているので問題ないと思いますが、普段すっぴんの人や、お子さんなどがクレンジングを使用した際は特に気をつけてもらえるといいと思います。

まとめ

ウォータープルーフにするための撥水剤そのものは肌へ刺激は少ないし、紫外線防止効果を得るには入っていた方がいい。ただし、落ちにくいので落とすときにごしごしこすったりすると、肌を傷める原因になる。

落とすときは、石けんでごしごしこすったりせず、ミルクかクリーム、または水性ジェルタイプのクレンジング剤とたっぷりつかって40秒くらい指の腹でくるくるして十分になじませてから流し、必ず保湿ケアをすること。