増コスト0で今すぐできる、肌の乾燥対策

湿度が下がってきましたね。

私の住まう札幌はすでに室内は40%台がデフォルトです。

対策なしだと30%台を見かけることも……オソロシイ。

定期的に拝見させていただいているクライアントにも、顕著に乾燥傾向が見られるようになってきました。

今日はコスト増ゼロ、何も買い足さず、手持ちのスキンケアアイテムを変えずにできる肌の乾燥ケアをご紹介したいと思います。

使っている化粧品を全体的に増量する

お使いの化粧水や美容液、クリームの使用量を増やすという超カンタンな技です。

簡単ではありますが、実はそれが有効な背景がちゃんとあります。

消費者が毎日のスキンケアに使用しているスキンケア化粧品の量は、メーカーが想定している量の1/2から1/3程度に留まっているというデータがあります。

つまり、メーカーが推奨している量よりも実際は遥かに少ないことが多いのですよね。

私は長年サロンを運営しており、10年以上のお付き合いをいただいているクライアントも少なくありませんが、そのような美意識が高く、スキンケアにも関心が高い方たちでさえ定期的にお声がけさせていただかないと、いつの間にか使用量が大分推奨量よりも減ってしまっています。

かくいう私もそうです。

分かっていても、日々の忙しさに流されて……または、節約意識が高じて、つい使用量を控えめにしてしまうのが人心というものだと思います。

それで問題がないのなら別に悪いことでないと思いますが、肌のコンディションが気になってきたら使用量が減っていないか確認してみてくださいね。

ところで、化粧品のパッケージの裏書には「適量使用する」と書いてあることが多いですが、この適量とは一体どのぐらいでしょうか。

製品と使う人の顔の大きさによって多少違いますが、

化粧水=500円玉大

美容液=さくらんぼ大

クリーム=パール粒大2つ、またはさくらんぼ大

だいたいこのぐらいを1回分の使用量の目安にしておくと良いと思います。

このぐらいで使っていくと、化粧品の減り具合はどうなっていくかというと……

タンク式のクリームであれば最も一般的な容量は30gですが、30gは1か月で使いきるくらいです。

化粧水はテクスチャー(質感)によってずいぶん違いますし、容量も製品による幅がかなりあります。よく見る容器容量としては100ml~220mlくらいかと思います。大体1か月あたり120ml程度使うと1回500円玉大くらいになるでしょう。

ちなみに、使用量を増やす際は美容液とクリームを特に意識すると有効です。

心情的にも行程的にも増やしやすいのは化粧水だと思うのですが、化粧水は90%以上がただの水なので増やしたところでちょっとふやけやすくなるだけです。

それに対し、美容液やクリームは基材に対する美容訴求成分の含有量が多くなっているので、肌に働きかける力が強いです。

手持ちのクリームでパックをする

近ごろはホームケアのパックとしてはシートパックが主流ですが、シートパックはパックのなかでは「手軽である」「扱いやすい」という利便性の観点ではメリットが目立ちますが、スキンケア効果からはエタノールの含有量が高いことや、シートに薄い不織布が採用されていることが多いなどデメリットやリスクが目立ちます。

今も昔も保湿ケアとして最高のパックは「石膏パック」です。

ただ、石膏パックはホームケアとして重要な「手軽さ・やりやすさ」という要素をすべて投げ捨ててしまっています。

また、誤って直接肌につけてしまうとトラブルを起こすなど扱いが難しいため、今やエステサロンでも避けられることが少なくありません。業務用パック剤の主流もジェル、クリームになっています。

そこで私はお手持ちのクリームによる、クリームパックをご提案したいと思います。

いつもスキンケアに使っているクリームを2倍~3倍程度、お顔に塗ったくります。

そしてその、ぬらぬらな状態のまま寝るだけという超簡単なケアです。

さらに効果を増すなら、塗ったくったあと、口と鼻の部分を避けてラップで覆い、7~8分程度放置します。ラップは包帯状にはさみで切り、横向きにフェイスラインを引き上げるようにして貼り付けると良いです。リフトアップ効果も望めます。

翌朝はいつもどおり洗顔をし、スキンケアをするだけでOKです。

簡単です。何も買い足す必要はありません。

でもびっくりするぐらい効果があります。

いくつか注意する点を上げるとすれば、

クリームに保湿成分が含まれていること、抗老化成分である高濃度のレチノールやメラニン還元効果のあるハイドロキノンなど、まぶたの上に塗るには適していない成分を含んでいないこと、などを確認しましょう。

一般流通品を使用している場合はそんなに気にする必要はないと思いますが、業務用メーカーの製品などを使用しているとクリームはけっこうその作りが多彩です。購入元に確認してください。

あと些末なことですが、ぬらぬらで眠ると枕やその周辺を汚すことは必至なので、枕にはぜひフェイスタオルを1枚敷いてください。

あと、大事なことですが、クリームをたっぷり塗るというのはけっこう勇気が要ります。

トーストにいつもの倍バターを塗るのと同じか、それ以上に勇気が要ります。

これは、エステなんだ。

ただの日常のスキンケアじゃない。セルフエステだ。

そういう強い意志をもって己を奮い立たせ、怯まず、ぬっらぬら、テッカテカに光るぐらい塗ってください。

高級クリームを使用している場合は心が折れやすいと思いますので、パック用に安価なクリームを用意すると心理的負担が少ないかもしれませんね。こういうご時世なので余計なストレスは抱えずに済む手段を採用して欲しいと思います。勇気の無駄遣いはいけません。

買い足さず、何も変えずに今すぐできる肌の乾燥ケア まとめ

美容液、クリームの使用量を増やす

お休みの前日など週1回程度、手持ちのクリームでパックをして寝る

いずれも簡単でありながら、職歴10年超のエステティシャンが自信を持ってお勧めできるアプローチです。

ぜひお試しくださいね。

コロナ禍を経た昨今のスキンケア事情

ずいぶんおカタイ表題になってしまったのですが、久々の更新1発目はこれから行きたいと思います。

何を考えるにせよ、何の話をするにせよ、やはりまずは大きな枠を捉えておくことが重要だと思いますので。

2023年現在のスキンケア事情 ざっくり結論

時間がない人、文章読むのが苦手な人向けに結論を簡単に。

効果を重視したスキンケアの考え方と製品は第三世代へと移行中
油分でフタ(第一世代)
足りないものを補う(第ニ世代)
自分の細胞を賦活する(第三世代)→今ココ

娯楽性の高いスキンケアは下火
香りや感触を楽しむタイプのスキンケアアイテムは減り、実用性に重点を置いた製品が増えている。

価格と性能が比例しないのは変わらず。しかし、安くて効果の高い化粧品は存在しない
高い化粧品が必ずしもパフォーマンス(性能)に優れているわけではないが、安くてスキンケア効果の高い化粧品が存在しないのも変わらない事実。それは、美容成分には「原価」があるため。ここで言う、値段が安いの定義はおおむね千円台。

順に少し詳しく書いていきます。

最新スキンケアの考え方は「自分の細胞を活性化する」

かつて社会的地位が高い人や経済的に裕福だった人たちだけのものだった「スキンケア」が、庶民にまで広がったのは江戸時代だと考えられています。それから数百年を経て、近代スキンケアが広まったのは今から4,50年前。

肌に良い作用をもたらすことを目的に作られたスキンケア化粧品の考え方は、いったいどのように変わってきているのでしょうか。

第一世代 油分でフタをして水分を逃さない

肌の水分を油分でフタをすることによって守る、逃さないという考え方でつくられた化粧品が最初です。油分はオリーブ油やホホバ油などの植物性の他、動物性由来のスクワラン、酸化に強い鉱物油など様々なものが使われてきました。

ところが皮膚科学が発展するにつれて、油分は肌の保湿にあまり重要でないことが分かってきました。油分が肌の水分を守るために担っている役割は全体の2,3%ほど。多くは、自前の皮脂で十分であることが分かりました。

こうして、肌を健やかに美しく守るためのスキンケアは次の時代に突入します。

第二世代 足りないものを補う、有用なものを足す

肌の水分を守っているのは主に角質細胞間脂質。今やすっかり名前も機能もその重要性も定着した「セラミド」がスターです。角質細胞間脂質の他には天然保湿因子であるアミノ酸、尿素など。そして主に真皮で重要な役割を果たしているコラーゲン。このあたりはすべて保湿剤です。

そして、コロナ禍以前──2020年頃まではこのあたりが機能性の高い化粧品の主要成分でした。

足りないものや、肌にとって有用な成分を補う、足すという考え方が主流でした。この流れに重なるようにして次の流れが起こってきていました。

第三世代 自分の細胞を活性化する

足りないものや有効な成分を補うという考え方には、限界がありました。

例えば、コラーゲンは真皮で肌の土台を担っている大事な成分ですが、化粧品成分のコラーゲンは分子が大きく、真皮まで到達することはできません。また、人のコラーゲンと化粧品成分のコラーゲンはつくりが異なるため、同化することはありません。

そこで登場したのが、自分の細胞を活性化する「細胞賦活」という考え方です。

十年ほど前から美容商材の展示会や、一部の先鋭的な科学的化粧品を作っているメーカーではその種の製品が見られましたが、コロナ禍以前までは大変に高価な製品が多数でした。

美容成分の濃度が高くなるクリーム、美容液でだいたい1万円台後半から3万円台。なかには30gと標準的な容量のクリームで6万円、8万円というものもありました。

それがコロナを経た現在は、1万円未満……中には5千円台で濃度は高くないもののそういった成分を含み、なおかつパフォーマンス的にもある程度の満足を得られる製品が出てきています。

娯楽性の高い化粧品の流行は下火

コロナ禍以前……私の感覚的にはだいたい2018年頃から、スキンケア化粧品の動向は二極化の様相をていしていました。

実用性VS.娯楽性です。

突然ですが、この記事をお読みの皆さまは何を基準に化粧水や美容液を選んでいますか?

お値段? それとも、化粧品そのものの感触? 塗ったあとの肌の感触?

ベタツキがないかどうか? 匂いが好みかどうか?

多くの方が、今あげた要素を総合的に判断して結論を出しているのではないでしょうか。

女性の場合は物事の判断基準が「感情」の人が多いので、その過程や要素はうまく言語化はできないけれど「好き」か「嫌い」──それを、「合う」「合わない」と表現されるのかもしれません。

肌の傾向はそれぞれ異なりますが、肌のつくりや仕組みは皆一緒です。それを明らかにし、それを踏まえたアプローチを行うのが皮膚科学だと思います。科学に基づいたアプローチは当然成果をあげます。その考え方にない化粧品が「娯楽性の高い化粧品」です。

香りやテクスチャーの心地よさや品の良さなどに重きを置いているものがあれば、自然派、地域密着など独自の思想に基づいて作られた化粧品があります。

この辺りの化粧品は、コロナを経て一気に勢いがなくなったようです。

社会全体で経済状況が悪化したので消費者のニーズもより実用的に、実務的なものに変化した結果かもしれません。

高い化粧品が必ずしも良い訳ではない。ただし、安くていい化粧品も存在しない

スキンケア化粧品の値段とスキンケア効果は比例しません。お値段が高いからといって、必ずしもスキンケア効果が高いとは言えないのです。

ただし、値段が高い化粧品の中には実際にとんでもないスキンケア効果を発揮する製品もあります。

しかし、逆にお値段が安くていい化粧品も決して存在しません。

これも悲しいことに事実で昔から変わりません。

ここでいう「お値段が安い化粧品」の定義とは、千五百円以下の製品のことです。

フリーのエステティシャンとして、科学的視点で15年以上に渡って数千点の化粧品を見て、手にとってきましたが、少し前ならば千円以下、今のように物価高の状況では千五百円以下の化粧品は、化粧水であってもスキンケア効果を期待するのは厳しい、というのが私の結論です。

化粧品の美容成分には原価というものがあります。たとえば、セラミドの中でも主に保湿に関わっていると考えられているセラミドⅡは非常に高価な成分です。千円台の化粧品にも表示上は入っていることがありますが、実際に使ってみるとその存在を全く感じません。

濃度が薄すぎるのです。美容成分はそれなりの濃度がないと体感できるくらいの効果を発揮しません。

それなりの濃度とは、目的とする効果によって異なりますが、最低1%以上です。3%ほどだと大抵しっかり存在を感じますし、5%以上は逆にリスクの心配をする必要が増えてくるかと思います。

そのため、保湿を目的としてセラミドⅡを含む製品を探し、予算を加味して千五百円の美容液を購入するよりは、合成できるようになって安価になったヒアルロン酸を高濃度に含む同じ価格の美容液を使った方が総合的なスキンケア効果は高くなる……といったようなことが、現実ではよく起こります。

ここが化粧品選びを難しくするひとつの理由かと思います。

長年、たくさんの方のスキンケア化粧品選びのご相談にのってきましたが、誰もが皆さんおっしゃいます。

安くていいのを教えて欲しい、と。

私もできるのならそうして差し上げたいと思います。ただでさえ、先の見えない世の中です。

ただ、なかなかそうはいかない事情があるというのは事実です。

2023年現在のスキンケア事情まとめ

コロナ禍を経て、スキンケア化粧品の傾向は大きく変わっていこうとしています。

これからは、自分の細胞を賦活する「第三世代」のスキンケアアイテムに注目したいところです。

とはいえ、スキンケアは必ずしも美肌づくりのために行わなければならないものではありません。

朝、自分にスイッチを入れるために。

夜はリラックスのために。

忙しい現代人が気持ちの切り替えをする時間のおトモでもあります。

ご自身の美容観をもって、適切なアイテムを選んでくださいね。

手の乾燥と荒れ対策 まとめ

時世柄、時節柄、手と顔の乾燥がヤバイことになっている方が多いのではないかと思います。

ほんとうに効果のある対策や使うべき化粧品、ハンドクリームについてまとめていきます。

手指の乾燥、荒れ対策まとめ

本気で手荒れを治す、防ぐにはどうしたらよいの?~皮膚科学の観点から~

肌荒れが起きる仕組みを分かりやすく

市販のハンドクリームの成分・実際の効果について

ユースキンA

パックスナチュロンハンドクリーム

手指の荒れと乾燥対策 3行まとめ

有効な対策は 物理的に守る・化粧品成分で守る・うるおい成分を与える

物理的に守るのは手袋、成分的に守るのはシリコーンオイルなどの撥水剤、与えるべきうるおい成分は1にセラミドやその類似成分、2に油分

残念ながら、流通しているハンドクリームに撥水剤とセラミド(類似成分)が両方含まれる、科学的な製品はほとんどない

***

ほんとうに”効く”ハンドクリームは、残念ながらほとんど存在しません。

10年以上前から、たぶん累計で3百点以上のハンドクリームの成分を見ていますが、シリコーン油が十分に含まれており、セラミド(類似成分)も同時に含むという要素を満たし、なおかつ、その他の細かい条件(ややこしくなるので割愛します)も満たしており、わたしが皆さまに自信をもっておすすめしたいという製品は、たった2商品です。

化粧品はもともと、娯楽物としての側面も強いのですが、ハンドクリームが属するボディケア化粧品では特にその傾向が強いです。

顔はしみやしわ、乾燥、にきびなどがあるとけっこうストレスになるので、積極的にそこを何とかケアしようという発想の化粧品が存在するのでしょうが、ハンドケアは今まで化粧品業界も眼中外だったのかもしれません。

顔用の基礎化粧品を作っている会社が、ついでにボディケア用の商品も作っているというケースはありますが、逆はあまりないのもそれを暗に示しているように感じます。顔用化粧品とからだ用化粧品は同じ化粧品でもそれぞれテリトリーが違うのですよね。

コロナ禍によって、間接的にハンドケアのニーズが高まっているので、今後は少し情勢が変わっていくのかもしれません。

んじゃあ、今、実際に手荒れや乾燥に切実に困っている場合はどうしたらいいのかというと。

ひび割れや手荒れが発端となった湿疹などがある場合は、医薬品で治します。

そのうえで、水仕事のときはゴムやビニル製の手袋を着用、それ以外は現実的に可能な範囲で綿手袋をしたまま生活します。ポイントは、”現実的に可能な範囲”です。2歳の子どもにマスク着用させるか、などという想像力の欠如した話ではありません

ライフスタイル……具体的には、小さな子どもや介護の必要な方のお世話をしている方、手のかかるペットのお世話などをしている方は日中手袋をするのはほとんど無理だと思います。なので、そういう方は夜寝るときだけでも手袋をしておくと、それだけでも効果あります。寝ている最中に外れてしまうのはご愛嬌。

性能的にすぐれたハンドクリームはほとんど存在しないので、化粧品についてはフェイスケアの応用で対処します。

具体的にはハンドクリームは最低限しっかり撥水剤(シリコーン油)の含むものをチョイスし、ハンドクリームを塗る前に、セラミドやその類似成分をなるべく濃度高く含む美容液を塗ります。

そのうえからハンドクリームをぬればOKです。

美容液がなじみきる前に、ハンドクリームを塗ってしまってかまいません。セラミド系の成分は水溶性の成分ではないので…。

長いこと先が見えず、まったく、心もからだも懐もパッサパサに乾いてしまいそうですね。

せめて、懐や時間が許すかぎり、ご自身でご自分を十分に労わり、慈しんであげてほしいものです。

同居の方がいらっしゃる人は、感染リスクという点では一蓮托生のことが多いかと思いますので、親子やご夫婦、パートナー(性別によらず)、ご友人同士で塗りっこしてあげてもよいのではないでしょうか。

タッチセラピーというものが存在するように、人は他者のぬくもりを感じるだけでリラックスするものですから……

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当ブログの有料記事

amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式(有料記事/100円,2018年夏UP)

amazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め(有料記事/220円,2021年夏UP)

期間限定で無料公開しています。

12月26日までです。

ここでも市販の製品についてかなり詳しく書いているのですが、このふたつの記事はたくさんの製品の成分を見て、良さげなものはすべて実際に購入し、その手で試用していろいろ確かめたうえで書きました。

その一連の手順は、サロンでフェイシャルに使用する化粧品を探す時、

はたまた、ホームケアのためにお客様に合う化粧品をお探しするときとまったく同じ手法です。

手間とお金(はっきり書いちゃった。下世話ですみません)が大変かかるので、有料設定にしてあります。

amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式 の方は、主題は「10代から20代前半の」なんですけれど、皮膚科学発想のスキンケアの基本と、それに適した具体的なアイテム(クレンジング・洗顔・化粧水・クリーム)をご紹介しているので、その他の年代や男性の方にも応用しやすいと思います。

3年も前に書いたものなので、取り上げている製品で一部リニューアルしたり廃番になっている商品もあるのですが、リニューアル後の製品も成分はあまり変わっていない……むしろ少し良くなったことは確認済みです。

廃番になったのは、日焼け止めなので、それは今年書いたamazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め で補っていただけるのではないかと。

週末のお暇つぶしにいかがでしょうか。

3日間すべて予定ぎっしり、なんて方もいらっしゃるかもしれないし、今はいろんな働きかたやライフスタイルがあるので、お仕事の方もいらっしゃるでしょうし、仕事ではないけれどすべて空白……という方もいらっしゃるかもしれないですよね。

例の輩の情勢もありますし。

悲痛なニュースや事件も多く、まったく心を痛めるばかりですが……

こんなときだからこそてスキンケアなどという軽薄なものを真剣に突き詰めてみるのって、なんか、いいじゃないですか。

人間、現実逃避が必要なときだってありますもの。

リュミエール エッセンシャルセラム<美容液>

肌の乾燥が深刻になる季節なので、皮膚科学的発想の保湿ケアと使えそうな市販のスキンケア化粧品について書いています。予期せずシリーズ化してきていますが、7回目です。

【関連する記事】

肌のしくみにもとづく保湿ケアの考え方

皮膚科学発想の保湿スキンケア~

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

市販(amazon販売)の角質細胞間脂質を含む美容液の表示成分によるパフォーマンス考察

流川製薬 ヒメノネムリ 20ml 2,980円
ビーエス-コスメ セラミド美容液 100ml 2,600円
ブランユー モイスチャージェルセラム 110g 6,600円
チューンメーカーズ セラミド200 20ml 1,980円

セラミドは全世代のスキンケアの要ですし、こうやってひとつのテーマに絞ってひとつひとつの製品を見ていくと、化粧品選びの面白さや難しさがよく分かるのでもう少し掘り下げていきたいと思います。

リュミエール エッセンシャルセラム

LUMIÈRE(リュミエール)エッセンシャルセラム 30ml
3,980円(2021年12月amzonでの価格)

リュミエール エッセンシャルセラムの全成分

水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、ヒト脂肪細胞順化培養液エキス、3-Ο-エチルアスコルビン酸、セラミドEOP、セラミドNP、セラミドAP、プラセンタエキス、フムスエキス、ヒアルロン酸Na、フィトスフィンゴシン、コレステロール、ベルガモット果皮油、ニオイテンジクアオイ油、アルテミシアパレンス花油、クスノキ葉油、イランイラン花油、ビャクダン油、パルマローザ油、ダマスクバラ花油、シア脂、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、馬油、オリーブ果実油、(クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸)グリセリル、アルギニン、乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス、サッカロミセスセレビシアエエキス、ポリソルベート60、ラウロイルラクチレートNa、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、PEG-40水添ヒマシ油、カルボマー、キサンタンガム、エチルヘキシルグリセリン、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、トロポロン、フェノキシエタノール

リュミエール エッセンシャルセラムの成分解説と考察

基材につづき、定番の保湿剤であるBG、グリセリン、ペンチレングリコールの表記が見られます。

美容液や化粧水の定番の表示順です。

続くのは、 ヒト脂肪細胞順化培養液エキス 。通称”ヒト幹細胞”。2021年現在では理論的にも効果の面からいっても、もっとも注目・期待されている抗老化成分といってよいと思います。私もサロンでフェイシャルに使用する化粧品にも採用していますし、販売化粧品でも含有製品をもちろん取り扱っています。

その次の表示、 3-Ο-エチルアスコルビン酸 はビタミンC誘導体の一種。やや古いタイプのVC誘導体で、特に日焼け後に取り入れたい種類です。

VC誘導体の後にセラミド類の表記が出てきます。

セラミドEOPはセラミド1、セラミドNPは3、セラミドAPは6Ⅱです。ヒト型セラミドの種類も良いですね。堅実です。

その他に美容訴求成分としては、プラセンタエキス(保湿・美白剤)、ヒアルロン酸Na(保湿剤)、フィトスフィンゴシン(細胞間脂質類似成分・保湿剤)などが入っています。……いいですね!

成分表示としては、はっと目に留まります。さて、想像される実際のパフォーマンスのところはどうでしょうか。

長年(13年)多数の化粧品の成分を見、実際に手にとって扱ってきたマニアックエステティシャンの感覚からいくと、「有り得る」化粧品だと思います。

有りえる、というのは、常用の候補に成り得るアイテムということです。

表示上はこれまで取り上げてきた細胞間脂質配合の美容液たちと同じように、ベースの保湿剤が多いように見えますが、以降の表示順もひっかかるところがあまりなく……つまり、容量・価格・配合成分にあまり無理があるように見えないのが理由のひとつ。

あとね、さらに感覚的な話で申し訳ないんですけれども。

なんか、韓国系の化粧品っぽいんですよね。成分構成が。

セラミド類よりも前表示の最強抗老化成分”ヒト幹細胞”って、本来とても高価な成分なんです。

高濃度……化粧品の美容訴求成分の高濃度とは、3%以上くらいのことからを言いますが、ヒト幹細胞の場合5%を超えてくると美容液1本の相場がだいたい2万円前後です。

ただね、これ裏話というかちょっと特殊な事情がありまして。

ヒト幹細胞の成分はほとんど、韓国から買っているらしいのですよ。日本のメーカさんも。

確か……あれは、コロナの前なので2018年か2017年くらいだったと思うのですけれど、そのときの展示会でその話を耳にしまして。当時は国産のヒト幹細胞はほとんどなく、韓国のメーカー数社で独占状態だったらしいんですよね。

んで、そのうちの1社が直販で美容原液を展示会で販売していまして、それがびっくりするくらいの高濃度でこれまた目の玉が飛び出すくらいの低価格だったんですよ。確か3全円弱……。いろんな意味で喉から手が出るくらい欲しかったんですけど、帰りの飛行機の時間が迫っていて、しかも会計待ちの列の長さが正気の沙汰とは思えないほどで、諦めたので実物は手に取れなったのですが。

分かりやすく例えると、卸お菓子工場で焼いた無名カステラは千円だけど、同じカステラでもデコられて、しっかり包装されたものは別ブランド名で〇倍の価格で販売されている、みたいな話です。

まあ、化粧品に関してはカステラと違って成分の組み合わせ自体に販売メーカーさんのセンスが出るし、ヒト幹細胞はすごく良い成分だけどそれだけ使えばいいってことでもないので、話はそんなに単純にはいかないんですけれど。

少し話が逸れてしまったのですが、そんなわけで成分表示上はこれまで取り上げた他の製品同様、BGなどの基本的な保湿剤の表示も多いし、本来高価な成分であるヒト幹細胞の表示順が妙に高いのですが、そういう事情をふまえると、有り得なくない構成だし、価格と容量をふまえても割りと現実的なかんじがするのです。

VC誘導体の種類が古典的なのも、なんかリアルなんですよね。

大分とっ散らかってきたので、まとめます。

まとめ

リュミエール エッセンシャルセラムは、もしかしたら掘り出し物かもしれない、マニアックエステティシャンも気になる美容液。角質細胞間脂質(セラミド)の他、美白剤、抗老化剤もバランスよく含まれており、基本の美容液の候補として考えてみてもいいかもしれない。

ただ、実際に使ってみると思いの他、美容訴求成分の濃度が薄い可能性も有り。

とりあいず1度購入してみても良い製品だと思います。

***

ひと昔まえと違って、今はだれでも化粧品の成分名を見て、それがどんなものでなんの美容効果があるのか気軽に調べられるようになりました。ネットってそういう意味では本当にすばらしいし、有難いです。

だけど、なんの領域でもそうだと思うのですが、それだけでは分からないことって多いのですよね。

よく、こんなに長いこと化粧品を見ていて飽きないのかと言われるんですけれど、継続してたくさんの製品を見てきたからこそ分かる、勘みたいのが形づくられてきて、しかもそれが洗練されていくのが面白いので、飽きることなどないのです。

一見全く違うようでいて、関連する話だと思うのですが――

持病があって、いろんなお医者様に診ていただいてきたんですが、ベテランで名医と言われる方ほど検査結果だけでなくご自身の目で見たその感覚を大事にされているようで、感銘を受けました。

一緒くたにしてしまうのはおこがましいんですけれど、やっぱり、似たようなものなのだと思います。

お医者様のように直接的に、しかもたくさんの人のお力になれるわけではありませんが、お肌の悩みはささいなことのようでいて、案外とその人のQOLを損なうし、ひいては人生に影響を及ぼすものです。

ただ面白いのでやってきているだけですが、お肌のことでお困りの方がいらっしゃり結果的にでも力になれるのなら、これほど光栄なことはないと思っています。

チューンメーカーズ セラミド200<美容液>

お肌の乾燥が特に気になる秋~冬。

年齢を重ねるにつれ、その悩みはいっそう深刻になりがちです。

そのため、ここ数回は皮膚科学的な保湿ケアとそれに有効なスキンケア化粧品について書いています。

【関連する記事】

皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

今日も角質細胞間脂質配合のスキンケア化粧品を見ていきたいと思います。

チューンメーカーズ セラミド200

TUNEMAKERS(チューンメーカーズ) セラミド200 原液美容液 20ml
1,980円(2021年12月amazonでの販売価格)

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 の全成分

水、1,2-ヘキサンジオール、BG、コメヌカスフィンゴ糖脂質、ペンチレングリコール、グリセリン、水添レシチン、水添リゾレシチン、アルギニン(公式サイトさんより引用)

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 の成分について解説

基材の水に続き、保湿剤兼防腐・殺菌剤の 1,2-ヘキサンジオール 、吸湿性により保湿する定番の保湿剤BGの表記があります。その次にこちらの製品の冠成分である コメヌカスフィンゴ糖脂質があり、またまた定番の保湿剤である ペンチレングリコール、グリセリン がつづき、乳化剤である水添レシチン、同じく水添リゾレシチン、最後にアミノ酸の一種アルギニンが見られます。

ここまで見るとお気づきのことと思いますが……

セラミドは入っていません。

製品名に「セラミド」という文字があるだけで、メーカーさんもセラミドが入っているとは書いていません。

セラミド※

※コメヌカスフィンゴ糖脂質

と、繰り返し書いてあります。

コメヌカスフィンゴ糖脂質 とはその名のとおり、コメヌカから精製抽出された植物性スフィンゴ糖脂質――つまり、通称”植物性セラミド”です。

植物性セラミドは、ヒト型よりはむろん、動物性セラミドよりもはたらきが劣りますが、原材料が安価なため製品価格もお手頃になりやすいという点で懐にやさしい成分です。ただ、植物性の成分は濃度高く配合するのが難しいので、単体だとその効果がちょっと心もとないのがネック。

こちらはどうでしょう。

メーカー公式サイトさんによると、セラミド200の200は同メーカーさんの別製品「セラミド原液美容液」と比較してコメヌカスフィンゴ糖脂質を2倍にしたとのこと。2倍は濃度のことなのか、量のことなのかは分かりません。

成分表示から察するに、たぶん”量”でしょうかね。

セラミドとセラミド200の成分表示とその順がまったく同じなので。

いずれにせよ、残念ながらそう濃度が高いものではないのではないかと思います。

その理由としては、そもそも先に書きましたが、植物由来成分はその安定性や使用感からいって高濃度に含まれにくいこと。あとは、 1,2-ヘキサンジオール、BG 、 ペンチレングリコール、グリセリン とベースの保湿剤がやはり入りすぎているように思います。

BGとベンチレングリコールの間にコメヌカスフィンゴ糖脂質表示があるのも気になるところです。

この表示だと、 コメヌカスフィンゴ糖脂質 とペンチレングリコールとグリセリンが同濃度、もしくはコメヌカスフィンゴ糖脂質の方が含有量が多いということになりますが、化粧品の常識からいくと後者は考えがたいので、そもそもBG以後の濃度が大変薄いという可能性も考えられます。

もともと角質細胞間脂質(類似成分)のなかでも働きがおだやかな植物性セラミドにあって、さらに濃度が薄いとなると仕組みは違いますが、水分を大量に抱え込む性質を持つヒアルロン酸を高濃度に含む美容液を使った方が保湿効果を得るという意味では効果的かも。

メーカーさんの推奨する基本の使い方、1回2~3滴では乾燥肌に悩む方が期待されるほどの保湿効果は得られないのでは……?と思います。

乾燥の具合がまだ軽症の方……たとえば、20代半ばくらいの標準的な肌の方ならこちらの製品が合うかもしれない、とエステティシャンは思います。

まとめ

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 はセラミドは入っておらず、植物性セラミドの1種であるコメヌカスフィンゴ糖脂質が入った美容液。細胞間脂質(類似成分)を含む美容液のなかでは保湿力は高くない方なので、乾燥状態がひどくない方、年齢の若い方向けの美容液と思われます。

1回2~3滴といわず、ちょっと多めに使った方がいいかも。

ちなみに、美容原液とありますが、化粧品における「原液」の定義は定まっていません。こちらもそもそもセラミドではないし、セラミド類似成分であるコメヌカスフィンゴ糖脂質以外にもいろいろ入っています。

また、こういう容器形状ですと導入やポレーションに使えそうなイメージですし、amazonのレビューを見ると実際にお使いの方もいらっしゃるようですが、化粧品や美容機器と日常的に長年戯れているエステティシャン的には、こちらはポレーションやイオン導入には使用しませんし、もし問い合わせがあれば決しておすすめもしません。(理由は長くなるし、話が逸れるので割愛)

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毎週土曜更新目標ですが、月末月初、年末の関係で慌ただしくなっています。

コロナもきな臭くはなってきたものの、まだまだ感染状況が落ち着いているのでサロン(リアル)の方でもしっかり仕事していかなければなりませんしね。

でも、こりずに次回も土曜更新目標にしています。

ブランユーモイスチャージェルセラム<美容液>

皮膚科学的な保湿ケアとケアに有用なスキンケア化粧品について書いています。

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皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

今日も角質細胞間脂質配合のスキンケア化粧品を見ていきたいと思います。

ブランユー モイスチャージェルセラム

Brandyou(ブランユー) モイスチャージェルセラム 110g
6,600円(2021年11月amazonでの販売価格)

ブランユー モイスチャージェルセラムの全成分

水、BG、プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ベタイン、セラミドEOP、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAS、セラミドAP、ポリクオタニウム-51、ヒアルロン酸Na、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、グルコシルセラミド、α-グルカン、タウリン、リシンHCl、アラニン、ヒスチジンHCl、アルギニン、セリン、プロリン、グルタミン酸、トレオニン、バリン、ロイシン、グリシン、アラントイン、イソロイシン、フェニルアラニン、ダイズステロール 、グリチルリチン酸2K、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、水添レシチン、カプリル酸グリセリル、ポリソルベート20、フェノキシエタノール(公式サイトさんより引用)

ブランユー モイスチャージェルセラムの成分について

基材の水に定番の保湿成分、BG、プロバンジオール、ヘキサンジオール、ベタインなどが続いており、以後、角質細胞間脂質の名称が出てきます。

セラミドEOPはセラミド1、NGは2、NPは3、ASは5、APは6Ⅱです。

セラミドは番号によって、少しずつ働きが異なることが分かっています。

セラミド1と3はバリア機能の維持・強化に、セラミド2は保水、セラミド5と6Ⅱは肌の生まれ変わり(ターンオーバー)に特に関与していると考えられています。

いずれも肌のうるおい(角質層の水分量)を守るために重要な成分ですが、直接的には特に2が大事です。

こちらの製品にはすべて含まれているようで、表示に名称があります。

また、セラミド以後の成分も非常に良く、 ポリクオタニウム-51 (通称リピジュア)はとても強い保水機能を持つ成分。ヒアルロン酸も同じく高い保水能力を持つ成分ですが、カチオン化された新しいヒアルロン酸、 ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム もあります。

ヒアルロン酸はすぐれた保水力を持つ反面分子が大きい成分で、肌へなじみが良くないのですが、カチオン化すると肌への吸着力が増し、また、水やこすれなどにも強いと言われています。注目のやや新しい成分です。

以後も各種アミノ酸類が並んでおり、皮膚科学的な保湿スキンケア化粧品です。

このぐらいの表示で、お値段が110g 6,600円となってくると、「使ってみなければ分からない」という判断が難しいレベルになってきます。

ただ、多数のスキンケア化粧品の成分を見、実際に手に取り、扱ってきたマニアックエステティシャンの感覚から申しますと……

たぶん、セラミドはそんなに入っていないんじゃないかと思います。

基材以後の吸湿性により保湿するタイプの基礎的な保湿成分の種類がちょっと多いこと、110gで6,600円というお値段は一般的な感覚だとあまり安い・お手頃という風にはならないと思うんですけれども、エステティシャン的にはちょっと安いな、というかんじです。

それと、容量が大きすぎるのもひっかかります。

「セラム」という名称は一般的には美容液を意味するのですが、美容液のポピュラーな容量はだいたい30ml(g)からせいぜい40mlぐらい。40ぐらいだとけっこう美容訴求成分の濃度が低く、化粧水に近いかんじのものが多いです。それでもしかもお値段は5,6千円というところが妥当。

しかもそれは、有名メーカーでなく業務用化粧品がメインで小売サイズも作っている、というようなメーカーの話で、つまり、人件費や広告費が製品価格にたくさん計上されているわけでないので、成分や性能の割にお安めなところでの話です。

110gで6千円となると、全然化粧水であり得るくらいの価格設定なのですよね……。

ヒアルロン酸やリピジュアの表示より前にセラミド類が来ているのもちょっとひっかかります。

一般的には、セラミド類とヒアルロン酸類が同濃度ということはあまりない(特にセラミド6Ⅱとかね)ので、ベタイン以後の美容訴求成分はかなり薄いのでは? という予想につながるわけです。

セラミド(類似成分も含む)は使うと劇的に肌の乾燥状態が改善するし、べたつきもぺたつきもてかりもない、不思議な使用感なので、濃度が高いものは使うと割りとすぐ分かります。

さらさらっとして、あまりうるおう感じがなかったり(特に翌日)すると、ベタインまでが製品の大半を占めていると考えられるかなぁと。

まとめ

ブランユー モイスチャージェルセラムは表示成分だけを見ると、入っているものはすごくいい! 構成もすばらしい! ちょっとひっかかるところがあるので、使ってみないと分からないぞというかんじです。

前回、前々回のお手頃価格の製品とは違い、使ってみて再度考えてみたい製品です。

さらっとしてぬった直後はうるおう感じがするけども、翌日はそうでもなければやはりセラミド類の濃度は薄いものと思います。

110g 6,600円という容量、価格に対しての成分表示の内容からすると、やはり美容液でなく化粧水に近いのではないかと思いますが、万が一美容液レベルの性能なら大発見! 掘り出し物みーつけたっ! というところだと思います。

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

前回、「皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~」という記事を書きました。

今回は必要な成分や使い方などを書いていきたいと思います。

おもに必要な成分は細胞間脂質・天然保湿因子

肌のうるおいは肌のいちばんうえの部分、平均0.03ミリの角質層に含まれる30%の水分のこと。

その水分の約8割は角質細胞間脂質によって、残り2割弱が天然保湿因子によって、そして2,3パーセント程が皮脂を中心とした皮脂膜によって守られています。しかしながら、年齢や体調、環境等によってそれらが不足したり、うまく働かなかったりするために水分量が低下します――ここまでが前回のおさらいです。

なので、理論的には細胞間脂質、天然保湿因子を補ってやればOKです。

以下に主な成分名を並べます。

細胞間脂質

細胞間脂質のうち、約50%を占めるのがセラミド、約20%が遊離脂肪酸、約15%がコレステロール、約10%がコレステロールエステル、残5%ほどが糖脂質となっている。化粧品に配合される成分名例は下記のとおり。

セラミド1
セラミド2
N-ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミド3)
N-オレオイルフィトスフィンゴシン(セラミド3)
セラミド6Ⅱ

天然保湿因子(NMF)

天然保湿因子の組成は約40%が遊離アミノ酸、約18%が無機塩類、ピロリドンカルボン酸、乳酸塩が各12%程度、7%が尿素、アンモニア・尿酸・グルコサミン等が1.5%ほどとなっている。美容訴求成分名は下記のとおり。

アスパラギン酸Mg
アラニン
リシンHCI
グリシルグリシン
尿素
乳酸Na

選ぶ難しさ~セラミドの濃度が薄すぎる件~

うるおいを保つために必要な成分名もその理由も分かりました。

しかし、最大の難関は条件に合致する製品をこの星の数ほどあるスキンケア化粧品のなかから選ぶことです。

お肌のうるおいのうち、80%ほどが角質細胞間脂質によって守られており、その細胞間脂質を構成する物質のうちの実に50%がセラミドです。ということは、乱暴に言えば「乾燥肌にはセラミド」なわけです。

セラミド配合のスキンケア化粧品は10年ほど前までは市販品にはほとんどなく、一部の業務用メーカーがつくっているだけでした。しかし、近年はドラッグストア等で販売されている化粧品にも「セラミド配合」と書かれているものを見かけます。ということは、ドラッグストアに行ってセラミド表示がある、またはPOPにセラミド配合と書かれている製品を使えば、乾燥肌から脱することができるのでしょうか。

残念ながら、そうは簡単にいかない事情があります。

実はこのセラミド、大変に高価な成分なんです。

そのせいか、ヒト型セラミド(保湿に深い関わりがあるのは特にセラミド2)が濃度高く含まれている製品を、私は未だかつて見たことがありません。市販品はおろか、業務用メーカーのものでもです。

クリームや美容液の市販品で数千円のもので、成分名にセラミドがあるものは、ヒジョーに濃度が薄く、ちょっとしか入っていない可能性が高いです。

え? セラミド5%配合とか書いてあるの見たことあるよ!

そういう方もいらっしゃるかもです。

たぶんね、それ、セラミドじゃないんすよ……

セラミド類似成分であり、その正体は恐らく”通称セラミド”です。

しかしながら、セラミド類似成分――通称セラミドは悪者ではありません。むしろお肌の救世主であり、懐にもやさしい天使です。

乾燥肌にはセラミド類似成分を濃度高く含んでいる美容液やクリームを使う

結論です。

セラミドはお肌のうるおいを保つ、増やすために必須の成分です。ただ、とても原価が高価な成分のため、実際のスキンケア化粧品に含まれているのはほんのちょっぴり。

だから、乾燥肌対策――いえ、20歳以降のすべての人は肌のうるおいと健康を保つために、セラミド類似成分をたっぷり、濃度高く含むスキンケア化粧品を使いましょう。

セラミド類似成分には、合成タイプ、植物由来タイプ、動物由来タイプがありますが、植物由来ははたらきが穏やか、合成は種類によります。ちょっとお値段が高くなりやすいですが、動物由来(セレブロシド)が効果を感じやすいです。

それでも、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの他の保湿剤と比べると、類似成分でも濃度が高いものはやはりお値段が高くなりやすいです。

こんなことを言い出すと、元も子もないですが、予算をどうにも上げられない場合は、それらの水分を多量に抱え込むタイプの保湿剤で多角的に保湿するという手もあります。

……と、いうわけでスキンケア化粧品選びは魔境です。

結論は、効果を重視するとスキンケア化粧品選びは手に負えなくなるでした。

次回、実際のセラミド配合化粧品の市販品などを取り上げてみられればいいな、と思っています!

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このように、理論を背景にして実用性の高い製品を10年以上かけてコツコツと調べ、試用して合格した製品が現在私が取り扱っている化粧品です。

スキンケアに効果を求めたくなったとき、でも自分で調べ上げる時間的金銭的労力を節約したいときはわたくしめにご相談ください。

本来は、カウンセリングを重ねてその方に適切な商品の組み合わせをご提案させていただいた方がよろしいのですが、お時間がない方、コミュニケーションが苦手な方はこれまでの膨大なプランニングの結果から厳選した5つのセット商品もあります。

皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~

ついに暖房のお世話になる季節になりました。

そうなると、湿度計が50を切っているのをしばしば見かけますし、ひどいときは30%台なんてことも……加湿器がついているっていうのにね。

だいたい11月から2月くらいまでの、お肌に過酷な乾燥シーズン。

今日はスキンケアの基本である乾燥ケア、保湿ケアについてまとめたいと思います。

お肌のうるおいってそもそも何のことだろう

そもそも、「お肌のうるおい」とはいったい何のことでしょうか。ほっぺたをさわったときに、ぽちゃぽちゃする感じのことでしょうか。それとも表面が滑らかでかさかさしていないことでしょうか?

皮膚の構造上お肌のうるおいとは、”角質層の水分量”のことです。

角質層はお肌のいちばんうえの部分で、平均的な厚さは0.03ミリ。そして約30%水分が含まれています。

この約30%のうるおいを守り続けられるかどうかが、肌が乾燥するかどうかのポイントです。

角質層の水分は約80%が細胞間脂質によって守られており、17~18%ほどが天然保湿因子によって、そして残り2~3%ほどが皮脂を中心に形成される皮脂膜によって守られています。

乾燥肌は敏感肌へのステップ

このようにお肌には本来うるおいを守るしくみ、物質(成分)がありますが、これが加齢や環境、体調などさまざまな理由で衰えたり、バランスを崩したりしてしまいます。そうして水分が30%から低下した状態が乾燥肌です。

表皮は肌への異物侵入や外的刺激から守るためにうるおいを保っているため、肌が乾燥すると必然的に敏感な状態になります。こすれなどの物理的な刺激や、化粧品に含まれる美容成分や添加剤、ときには水にふれるだけでもその刺激に耐えられなくなり、炎症を起こしてかゆくなったり赤くなったりします。この状態が敏感肌です。

よって、敏感肌とはもともとの性質によるものではなく、大半は乾燥肌によって引き起こされる2次的な状態です。アレルギーが原因でない敏感肌は、表皮の水分量を十分にすることによって改善します。

※化粧品を塗って少し経ってから起こる(多いのは12時間後から48時間後くらいだそうです。早めだと5,6時間後という場合も)、腫れや湿疹などの症状はアレルギー反応の可能性があります。また、特定の成分を使うといつも同じ不快な症状が出るときも、同じくアレルギーが心配されます。そのような症状が見られるときは乾燥肌による敏感肌とは違うので、すみやかに皮膚科医に相談しましょう!

乾燥肌に有効なのは 元もと肌にあるうるおい成分を補給すること

角質層の水分は細胞間脂質(80%)、天然保湿因子(20%弱)、皮脂や汗などによって形成される皮脂膜(2-3%)によって守られていると書きました。

肌が乾燥しているということは、それらがうまく働いていないか損なわれているために起きているので、それらを補ってあげれば良い――理論的にはそういうことになります。

細胞間脂質で特に水分保持とかかわりの強いのはセラミドⅡ。

天然保湿因子の主成分はアミノ酸、その他にPCA、乳酸ナトリウム、尿素などが含まれています。

皮脂膜は皮表脂質と汗によって形成されていますが、皮表脂質の主はトリグリセリド、それにワックスエステル、脂肪酸、スクワレン、ジグリセリド、コレステロールなどがつづきます。

ただ、皮脂腺から分泌される皮脂については角質層水分量に比べて低下する年齢が遅く、女性の場合40代くらいから、男性の場合50代くらいからというデータもあり、もともと水分量を守るためにたった数パーセントしか寄与していないことが分かっているため、積極的に取り入れるべき成分ではないかもしれません。

かつて、化粧品の保湿成分の主役は油分でした。今も安価な化粧品や、効果を重視していない製品ではそのような傾向が強く残っています。

それは、このような肌のしくみが解明されていないためだったようです。

まとめ

肌のうるおいとは、角質層に含まれる約30%の水分量のこと。

乾燥肌にならないためには、この水分を死守することです。

角質層の水分は約8割が細胞間脂質によって、2割弱が天然保湿因子によって、そして残り2-3%程度が皮脂を中心とする皮脂膜によって守られています。

乾燥肌のケアには第一に角質細胞間脂質を補給すること。そして、補佐的に天然保湿因子を取り入れるとOK!

理論的にはそういうことになりますが、現実には大きな問題が……。

次回、実践的な科学的保湿ケアを書きたいと思います。

【続きを読む】
皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

とにかく今、乾燥肌や乾燥肌から進んだ敏感肌に困っている方はこちらをご提案させてください。

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