2025年4月 日本におけるスキンケア化粧品の傾向とトレンド

前書き

以下より続く表題のレポートはGemini(2.0Flash)のDeep researchにより作成したものです。この記事の主旨はレポートそのものよりもその内容をフリーのエステティシャンとして約20年の経験があり、パーソナライズしたスキンケアの提案と化粧品を販売を行ってきた私の目線で感想をしたためるものです

ひとつの記事にまとめようと思ったのですが、Geminiくんの出力してくれたレポートがけっこう長いので、感想は別記事でまとめようと思います。

何か気になる点や成分、アプローチなどあればコメントくださいね。次回の記事で積極的に取り上げてみたいと思います。

はじめに

日本のスキンケア化粧品市場は、消費者の美容意識の高さと技術革新の速さから、常に変化し続けています。本レポートでは、2025年4月現在の日本国内におけるスキンケア化粧品の最新の傾向とトレンドについて、様々な情報源に基づき分析します。消費者のニーズやライフスタイルの変化、新たな成分や技術の登場、そしてグローバルな美容トレンドの影響など、多角的な視点から市場の動向を明らかにしていきます。

成分主導のイノベーション

スキンケア化粧品のトレンドを牽引する重要な要素の一つが、注目を集める成分の存在です。2025年4月現在、特定の成分が消費者の間で高い関心を集め、関連製品の開発や需要を促進しています。

赤み改善への関心の高まりから、トラネキサム酸グルコノラクトンが注目されています1。トラネキサム酸は抗プラスミン作用により赤みへの効果が期待されており、皮膚科医もスキンケアに取り入れている成分です1。一方、グルコノラクトンは、ピーリング成分の一種でありながら、肌の水分量を増やしバリア機能を改善する効果や、抗炎症・抗酸化作用も報告されており、赤み軽減に寄与すると考えられています1。韓国コスメでは既にグルコノラクトン配合製品が増加しており、今後日本でも同様の傾向が見られる可能性があります1

美白成分としては、ハイドロキノンフリーの製品への関心が高まっています1。海外ではハイドロキノンの細胞毒性が懸念され使用が禁止される動きもありますが、日本ではそのような規制はないものの、より安全性の高い美白成分を求める消費者が増えています1。ハイドロキノンフリーの美白成分としては、メラニン生成を抑制するコウジ酸や、抗酸化・抗糖化作用も持つコウジ酸、そしてシステアミンなどが注目されています1

エイジングケアにおいては、コラーゲンバンクという概念が提唱され、早期からの対策としてコラーゲン産生を促す成分が重要視されています1。具体的には、レチノールペプチドナイアシンアミドなどが挙げられ、特にペプチドはレチノールのような赤みや皮むけといった副作用が少ないため、敏感肌の方でも比較的取り入れやすい成分として注目されています1

韓国発の成分として、**PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)**も注目を集めています3。サーモン由来の成分であり、肌のシミやくすみへの効果や、肌のハリ・弾力アップ、再生力向上、創傷治癒効果などが期待されています3。PDRN配合の美容液やマスクなど、様々な製品が登場しており、日本でも関心が高まっています3

肌の常在環境に着目したスキンケアもトレンドの一つです1。腸内環境と同様に、肌にも善玉菌と悪玉菌が存在し、そのバランスが肌の健康に重要であるという考え方が広まっています1。プレバイオティクスやプロバイオティクスといった成分を配合し、肌の菌バランスを整える製品が登場しています1

表1:日本における注目のスキンケア成分(2025年4月現在)

成分名主な効果スニペットID
トラネキサム酸赤み改善1
グルコノラクトン赤み改善、バリア機能強化、保湿1
コウジ酸美白、抗酸化、抗糖化1
システアミン美白1
レチノールコラーゲン産生促進、エイジングケア1
ペプチドコラーゲン産生促進、エイジングケア1
ナイアシンアミドコラーゲン産生促進、美白、バリア機能改善1
PDRNシミ・くすみ改善、ハリ・弾力アップ、再生促進3
プレバイオティクス肌の常在菌バランスを整える1
プロバイオティクス肌の常在菌バランスを整える1

進化する製品フォーマットとコンセプト

スキンケア製品は、その成分だけでなく、フォーマットやコンセプトにおいても多様化が進んでいます。消費者のライフスタイルや価値観の変化に対応した、新しいタイプの製品が登場しています。

ダーマコスメは、皮膚科学の知見に基づいて開発された、肌トラブルや悩みに寄り添うことを目的とした化粧品として、2025年も注目されています4。厳選された成分と高い研究開発力によって、肌の自然治癒力を最大限に引き出すことを目指した製品作りが特徴です13

忙しい現代人のニーズに応えるため、メイクアップとスキンケアの融合が進んでいます15。保湿効果やUVカット効果を持つメイクアップアイテムが増加しており、メイクをしながらスキンケアができる製品が求められています15。特に日本では、美白効果やアンチエイジング効果を期待できる製品が支持を集めると予測されています15

環境意識の高まりから、ウォーターレス美容製品も注目されています15。水を使用しない固形タイプの洗顔料やシャンプーなどが登場しており、水の節約だけでなく、成分が濃縮されているため少量で効果が出やすいというメリットもあります15。旅行やアウトドアシーンでの使いやすさも、忙しい現代女性のライフスタイルに合致しています15

貼るコスメも新たなトレンドとして浮上しています4。可愛らしいデザインのニキビパッチや、貼るつけまつげ、美容成分を浸透させるマスクなど、手軽に使用できる製品が人気を集めています4。特に韓国では、顔にシールを貼ってデコレーションするトレンドがあり、その影響が日本にも見られます4

表2:日本における注目の製品カテゴリートレンド(2025年4月現在)

製品カテゴリー主な特徴・メリットスニペットID
ダーマコスメ皮膚科学に基づいた開発、肌トラブル・悩みに対応4
メイクアップとスキンケアの融合保湿・UVカット効果を持つメイクアップアイテム、時短15
ウォーターレス美容製品水不使用、環境に優しい、成分濃縮、携帯に便利15
貼るコスメ手軽に使用可能、SNS映えするデザイン4

消費者の嗜好とライフスタイルのトレンド

消費者の嗜好やライフスタイルの変化も、スキンケア化粧品のトレンドに大きな影響を与えています。

近年、ミニマルスキンケアの考え方が広まっています1。多くのアイテムを使用するよりも、自分の肌悩みや肌質に合ったものを厳選し、シンプルなステップでケアすることを重視する傾向があります1

サステナブルビューティへの関心も高まっており、環境に優しい製品を選ぶ消費者が増えています15。ゼロウェイストやリサイクル可能なパッケージを採用するブランドや、オーガニックやフェアトレードの成分を使用した製品が支持されています15

テクノロジーの進化に伴い、AIを活用したパーソナライズドスキンケアへの注目も高まっています15。AIが肌の状態を詳細に分析し、個々のニーズに応じた製品やスキンケア方法を提供するサービスが登場しており、特にテクノロジーに敏感な日本の消費者層に支持されています15

美容と健康を包括的に捉えるビューティとウェルネスの融合も進んでいます15。心身の健康と美容を同時にケアする製品やサービスが人気を集めており、リラックス効果を重視した美容法や、ヨガや瞑想と組み合わせたスキンケアなどが普及しています15

不安定な社会情勢を反映してか、森林系の香りへの関心も高まっています14。樹木や土、苔など、大自然を感じさせる香りが、安心感や安らぎを求める消費者に支持される傾向にあります14

表3:日本におけるスキンケアに影響を与える主な消費者の嗜好とライフスタイルのトレンド(2025年4月現在)

消費者の嗜好・トレンド説明スニペットID
ミニマルスキンケア厳選されたアイテムでシンプルなケアを重視1
サステナブルビューティ環境に優しい製品への関心、エコフレンドリーなパッケージ、オーガニック成分15
AIパーソナライズAIによる肌分析に基づいた個別最適化されたスキンケア15
ビューティ&ウェルネス心身の健康と美容を同時にケアする製品・サービス15
森林系の香り安心感や安らぎをもたらす自然な香り14

韓国美容トレンドの根強い人気

日本のスキンケア市場において、韓国の美容トレンドは依然として大きな影響力を持っています3。自宅で手軽に本格的なスキンケアを行う「肌管理(Hada Kanri)」という考え方が浸透しており、韓国の美容クリニックで行われるようなケアを自宅で実現できる化粧品への関心が高まっています3。特に20代の若年層を中心に、韓国への美容施術を目的とした渡航も増加しており、そのニーズに応える形で、PDRNやグルタチオンといった成分や、韓国発のダーマコスメへの注目が集まっています4

メイクアップトレンドが示唆するスキンケア

メイクアップのトレンドも、消費者が求める理想の肌質やスキンケアの方向性を示唆しています。

唇のボリューム感を強調する「ぷるんリップ」は引き続きトレンドであり、リッププランパーなどの製品だけでなく、唇そのものをふっくらと見せるためのリップケア製品への関心も高まっています4。大手化粧品メーカーからも高機能なリップ美容液が発売されており、単なるメイクアップ効果だけでなく、唇の健康を重視する傾向が見られます4

血色感リンクメイク」は、唇と頬の色味を合わせることで、自然で調和のとれた印象を与えるメイクアップトレンドです4。このようなメイクアップを引き立てるためには、肌本来の透明感や血色が重要となり、スキンケアにおいてもこれらの要素を高める製品が求められると考えられます。

ツヤ肌とマット肌の良いところを両立したような、ふんわりとした質感の「クラウドスキン」も注目されています3。このメイクアップを実現するためには、カバー力のあるトーンアップ下地やベルベット系のクッションファンデーション、そして仕上げのパウダーが重要となり、これらの製品に適した滑らかで均一な肌状態を保つためのスキンケアが不可欠となります3

ホリスティックな視点:「肌管理」の重要性

単に化粧品を使用するだけでなく、肌の健康を総合的に考え、内外からケアする「肌管理(Hada Kanri)」または「スキンマネジメント」という考え方が、2025年のスキンケアの重要なキーワードとなっています2。肌のバリア機能強化、ターンオーバーの最適化、個々の肌質に合わせたパーソナライズドスキンケア、そしてインナーケアまで、多岐にわたるアプローチが重視されています31。消費者は、より知識を持ち、積極的に自分の肌の状態を理解し、長期的な視点で肌の健康を維持・向上させるための努力を惜しまない傾向が強まっています2

結論

2025年4月現在の日本のスキンケア化粧品市場は、多様なトレンドが複雑に絡み合いながら進化を続けています。成分主導のイノベーションでは、赤み改善、ハイドロキノンフリー美白、早期からのエイジングケア、そして韓国発の注目成分PDRNなどが市場を賑わせています。製品フォーマットとコンセプトにおいては、科学的根拠に基づいたダーマコスメ、利便性の高いメイクアップとスキンケアの融合製品、環境に配慮したウォーターレス製品、そして手軽な貼るコスメなどが消費者の支持を集めています。

消費者の嗜好とライフスタイルに目を向けると、ミニマル志向、サステナビリティへの意識、AIによるパーソナライズへの期待、ウェルネスとの融合、そして自然な香りのニーズなどが顕著です。また、韓国美容トレンドの影響力は依然として強く、日本の消費者の美容意識に深く根付いています。メイクアップのトレンドも、理想の肌質を示唆し、スキンケア製品の選択に影響を与えています。そして、これらのトレンドを包括する概念として、「肌管理」というホリスティックなアプローチが重要性を増しており、消費者は自身の肌の健康を長期的な視点で捉え、積極的にケアに取り組むようになっています。

これらの動向を踏まえ、今後日本のスキンケア化粧品市場で成功するためには、成分の効果や安全性への信頼性、環境への配慮、個々のニーズに合わせたパーソナライズされたソリューションの提供、そして最新の美容トレンドへの迅速な対応が不可欠と言えるでしょう。

引用文献

  1. 【今年は何が流行る?】2025年美容トレンド5つ|こばとも皮膚科 …, 4月 24, 2025にアクセス、 https://oogaki.or.jp/hifuka/skin-care/beauty-trends-2025/
  2. 【今年は何が流行る?】2025年美容トレンド5つ – YouTube, 4月 24, 2025にアクセス、 https://m.youtube.com/watch?v=KhKEJVzhyo8
  3. 【2025年美容トレンド】今年顔になれる8つのビューティキーワード …, 4月 24, 2025にアクセス、 https://nonno.hpplus.jp/fashion/f-news/213383/
  4. 【詳報版】「@cosmeベストコスメアワード2025上半期トレンド …, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.istyle.co.jp/news/press/2024/12/1213.html
  5. スキンケア・基礎化粧品売れ筋人気ランキング – アットコスメショッピング, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.cosme.com/products/ranking.php?category_id=1
  6. 2025年バズるのはこれ!コスメ・コスメツールのトレンドを先取り – コスメルポまとめ, 4月 24, 2025にアクセス、 https://cosmerepo.jp/matome/post-31989/
  7. 毛穴レス印象のハリ肌。フラクショナルCC「ニードルマスクA」が3月24日より新登場 – PR TIMES, 4月 24, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000132955.html
  8. <大好評>美容医療で話題の成分サーモンPDRN*1美容液がパワーアップして誕生! | ISKマテリアル株式会社のプレスリリース – PR TIMES, 4月 24, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000116760.html
  9. VT cosmetics 公式オンラインショップ PDRN, 4月 24, 2025にアクセス、 https://m.vtcosmetics.jp/category/pdrn/254/
  10. 2025年大注目の美容成分「PDRN」について 効果や人気理由・自分に合うか?を試す方法と注意点について完全解説! | 小顔&骨盤矯正サロンkinoe, 4月 24, 2025にアクセス、 https://salonkinoe.com/beauty-pdrn/
  11. 2025年に流行る韓国スキンケアは? PDRN、長時間マスクほか注目アイテムをチェック!, 4月 24, 2025にアクセス、 https://maquia.hpplus.jp/skincare/news/103371/
  12. 韓国で大人気の“PDRN”って何?2025年最新韓国スキンケアNEWS – CanCam.jp(キャンキャン), 4月 24, 2025にアクセス、 https://cancam.jp/archives/1571819
  13. 【2025年トレンド:ダーマコスメ】シャレコが提案する「マイナスを …, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.shareco.co.jp/2025/01/2025trend_dama/
  14. 2025年ビューティ業界トレンド予測 – ホシケミカルズ株式会社, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.starlab.co.jp/wordpress/?p=2684
  15. 2025年に注目される日本の美容トレンドについて – 楽天ブログ, 4月 24, 2025にアクセス、 https://plaza.rakuten.co.jp/affiliraku/diary/202410220000/
  16. 【ベスコス2024】これから何が注目される? @cosmeが予測する2025上半期トレンド – アットコスメ, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.cosme.net/bestcosme/articles/2024-next-trend/
  17. 35歳から見直す美容と健康!2025年の「私らしさ」を叶えるトレンド – BAILA – HAPPY PLUS, 4月 24, 2025にアクセス、 https://baila.hpplus.jp/blogs/oowada_yukie/67388
  18. 特集【化粧品開発最前線】 「耐水性表示」「ジェンダーレス」など新たなトレンド | Healthcare News, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.this.ne.jp/news/16660/
  19. パーフェクト社「ビューティーワールドジャパン東京」に出展 ‐ AI肌解析のクロスセル活用をテーマに、東京イセアクリニックとプレゼンテーション開催 – PR TIMES, 4月 24, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000066482.html
  20. ミンテルが2025年の世界の美容・化粧品トレンドを予測-各企業が抑えておくべき消費者がこれから美容・化粧品に求めるものとは? | ミンテルジャパン – Mintel, 4月 24, 2025にアクセス、 https://www.mintel.com/jp/press-centre/2025-global-bpc-trends-press-release/

未来の美容業界、AIとビッグデータが導くパーソナライズ化の可能性 – WELLNESS LIFE, 4月 24, 2025にアクセス、 https://wellnesslife.co.jp/column/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%81%AE%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%80%81ai%E3%81%A8%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%8

日焼け止めと紫外線対策のほんとうのところ

紫外線の強い季節です。

お砂場遊びの大好きなうちのチビ(2歳)も健康の観点から紫外線対策をしていますが、手の甲だけはノーガードなのでかなり黒くなってきました。

あ、この赤くなったりせず、いつの間にか黒くなっている現象を「サンタン」といい、主に紫外線A波によって引き起こされます。

ちなみに海やプールに行ったときによく体験する、赤くなってヒリヒリする日焼けは「サンバーン」といい、紫外線B波が主犯です。

紫外線A波への防御指数がPAで、紫外線B波への防御指数がSPFです。

そんな、知ってるようでよく知らない紫外線や日焼け止めのアレコレを今日は分かりやすくまとめていきます。

過去にも似たような記事はいっぱいあるんですが、関心事の高い事柄だと思うので気にせずまとめていきます。

日焼け止め関連の検索でかなりご訪問いただいているようですので。

8/3追記:この記事の内容をさらっとまとめた動画(約2分)を作りました
時間のない方、文字を読むのが苦手な方は動画もいかがでしょうか

UVカット効果の高い日焼け止めは肌に悪いの?

必ずしも悪いわけではありません。

SPF値やPA値の高さそのものよりも、使われている紫外線防止剤の種類や成分組成によって、肌への負担の中身が変わってきます。

50+のような高SPF値の日焼け止めに使われている紫外線防止剤は紫外線吸収剤であることが多いです。紫外線吸収剤は皮膚のうえで化学変化を起こし、紫外線をカットするので化粧品の成分のなかでは負担が大きい方です。環境省の紫外線防止マニュアルでは「稀にアレルギーを起こすことがある」というマイルドな表現で注意喚起されています。現役ゴリゴリ、職歴16年のエステティシャン的には、「稀(まれ)」よりは、もうちょっと頻度高い印象です。

小さなお子さんや肌の基礎力が落ちてきている中年以降では、可能ならば避けた方が無難なのではないかな、と思います。プールや海、キャンプなどのたまのレジャーに使う分には多くの場合問題ないかと。肌荒れしやすい人はシーンを問わずに避けた方が良いかと思います。

紫外線吸収剤不使用のノンケミカルタイプの日焼け止めは、酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料で紫外線を反射します。酸化亜鉛や酸化チタンは、ファンデーション等にも使われる「粉」ですからアレルギーは起こしにくいのですが、粉であるため、皮脂を吸着しやすくなります。夏場は気温があがるため皮脂が出やすくなるので、多くの方にとってはありがたいことですが、皮脂が極端に少ない人では、これによって乾燥しやすくなることがあります。

また、酸化亜鉛や酸化チタンなどの紫外線散乱剤は「粉」なので、そのままでは密着度が低いため、シリコーン油などの撥水剤と一緒に使われます。密着度の高いノンケミカルタイプの日焼け止めは非常に日焼けしにくく、アレルギーを起こしにくい反面、とってもクレンジングしにくいです。クレンジングの際にごしごしこすりすぎたり、強すぎる洗浄力のクレンジングを繰り返し使うことで肌を傷めることがあります。

水性ジェルかクリームタイプのクレンジングをたっぷり使い、顔全体で40秒ほどかけてていねいにやさしくクレンジングすることで、それを防げます。(ちなみに、この方法では密着度の高い日焼け止めの落とし残しも起きにくいです)

日傘と帽子があれば、日焼け止め塗らなくていい?

美容の観点からは必要です。

紫外線は空から地上にまっすぐ降り注ぐものの他に、散乱光といって周囲の建物や自然物などで反射したものがあります。割合としてはこちらの方が多く、6割程度は散乱光といわれています。

日傘と帽子が直接的に威力を発揮するのは直射光ですから、たとえそれらを装備していてもお顔には日焼け止めを塗った方が、美容の観点からはよろしいかと思います。日傘と帽子は赤外線対策(熱中症予防)には有効なので、大事ですけれどね!

ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なの?

ウォータープルーフであること自体は、負担にはなりません。

耐水性や撥水性を付与する成分は、主にシリコーン油ですが、これ自体は大変一般的な成分で肌への刺激も問題にされていません。ただ、クレンジングしにくくなるので、落とすときにごしごしこすったり、オイルクレンジングなどの洗浄力が強く、さらさらした質感のクレンジングを日常的に使うと、それらが負担になることはあると思います。

詳しくはこちらもどうぞ↓
ウォータープルーフの日焼け止めは肌に負担なのか?(過去記事)

化粧くずれしにくい 皮膚科学的夏のスキンケア

気温が高い日が増えてきましたね。

札幌でも室内の温度計が25℃以上という日を、すでに何度か見ました。

気温が高くなってくると、汗をかくだけでなく皮脂も出やすくなるので化粧崩れ、テカリが気になってきます。今日は科学的観点で、それらを予防・緩和するケアについてまとめていきます。

もはや完全に動画の時代だな、と思ったので不格好ながら今回のブログの内容を動画にしてみました。お時間がない方、文字読むの苦手な方、こちらはいかがでしょう。

※喋ります。音量注意してください。

くずれ・テカリを予防する夏のスキンケア結論

油分少なめ、保水成分たっぷりを意識する

ビタミンC誘導体を含む化粧水か美容液を取り入れる

解説していきます。

油分少なめ、保水成分たっぷりのスキンケアとは?

まず、前提として基本的なスキンケアのために用意するアイテムは、化粧水・美容液・クリームの3点です。科学的な観点からは、乳液ではなく絶対クリームがおすすめ。乳液とクリームには天と地ほどの埋められない違いがあります。

このうち、クリーム以外は油分やシリコーンオイルなどの油様成分を含んでいないものを選びます。

市販の化粧品は、てっとり早く肌に柔らかい質感をつくりだすために、それらの成分が含まれているものも少なくありませんが、自前の皮脂が増える夏場は化粧品に含む油分や油様成分が化粧崩れの一因になってしまいます。

油分は、お肌のうるおいを守るのにたった2~3%の役割しか担っていません。

参考:
皮膚科学発想の保湿スキンケア
お肌のうるおいってそもそも何のこと?

セラミドやセラミド様成分、ヒアルロン酸、リピジュア(ポリクオタリウム-51)などの機能性が高い保湿成分をたっぷり含む美容液、クリームを選びましょう。

ビタミンC誘導体を含む化粧水か美容液を使う

ビタミンCには有名な美白作用(しみそばかすを予防)の他、過酸化抑制、コラーゲンの産生促進などさまざまな美容効果があり、古くからエステや美容皮膚科領域で重用されています。

このうち、お家で肌で塗って得られる大事な効果のひとつが、「過剰な皮脂の抑制」です。

ビタミンC誘導体を含む化粧水や美容液を使うことで、さらっとした肌が続く効果を望めます。

重要なのは、ビタミンC(成分名アスコルビン酸)でなく、ビタミンC誘導体を含む化粧品を選ぶこと。VCは非常に安定性に欠ける成分で、アスコルビン酸ではただ塗るだけは美容効果は得られず、美容機器と併用することではじめてその効果を発揮します。

体内で酵素によって分解され、少しずつビタミンCとなり代謝されるなどの機序をもつ、誘導体の形になったものは塗るだけでもその効果を得られます。(医薬部外品指定成分です)

成分名は、アスコルビルMgなどアスコルビルほにゃらら または ほにゃららアスコルビルの形になったものです。

濃度がそれなりにないと働かないので、1%から5%くらいの化粧品がおすすめです。

***

基本的なスキンケアに必要なアイテムで「クリーム」を推していますが、クリーム、お使いでない方が多いと思います。

お使いでない理由は、質感が好きじゃない、価格が高いものが多い、などではないでしょうか。

お気持ちやご事情はリアル店舗でうかがってきたので、よく分かるのです。

シャバっとしたみずみずしい質感が好まれるようになって久しいですし、ますます美容ケアにかける費用は抑えたくなるでしょう。

ただ、年齢を重ねた肌……個人差はありますが、やはり35歳くらいからはクリーム抜きのスキンケアラインナップをつくるのは、なかなか難しいものがあります。

クリームは一番美容成分の濃度が高く、油に溶ける性質(油溶性)のものが多い美容成分を効率よく取り込めるアイテムです。ご予算の関係でとなると、どうしようもないのですが、スキンケアに効果を求めたい方は絶対に検討して欲しいと思います。

保湿に特化したクリームなら、お手頃価格でこちら↓とか、なかなか成分がいいですよ。

肌ラボ 極潤 ヒアルロンクリーム

ヒアルロン酸が主体なのですが、「アセチル化」といって肌に定着しやすい操作がされた上等なヒアルロン酸が入っています。ヒアルロン酸は単体だとセラミド(様)成分より体感的な保湿力は劣りますが、シリコーンオイルなどのエモリエント剤が主となった市販化粧品が多いなかでは、スキンケアに取り入れるとやはりなかなかいい変化と実感をもたらしてくれます。

原材料が安価なわりに、イイはたらきをしてくれるヒアルロン酸ですが、ネックはやっぱり「ぺったりした質感」ですね。スキンケア効果はさておき、好みはどうしても分かれそうなところです。

でも、今までクリームを使っていない方、乳液を使っている方は、だまされたと思ってまずはこの辺りのクリームから試してみていただきたいな、と思います。普段の自分の肌がどのぐらい乾いていたか、よく分かると思うんですよね。

皮膚科学的観点のUV対策まとめ

紫外線が強い季節になってきました。

今年は2年ぶりに公的に規制や自粛を求められることのないGWということで、お出かけやレジャーなど計画している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

将来のしみやしわの予防という美容観点からはもちろん、皮膚がんの予防などの健康観点からも適度なUV対策は大事です。

UV(紫外線)対策は過去、かなりまとめてあるので、今日はそれをピックアップしてみたいと思います。

日焼け止めのSPF値とPA値について

SPF値はUV-B(紫外線B波)への対処性能のことで、国際的な指標。PA値はUV-A(紫外線A波)への対処性能のことで、日本独自の指標。

個人差はあるものの、SPF1=約20分間、やけどのような赤みと火照りを引き起こすサンバーンを防ぐという意味なので、日常使いではSPFは30程度、PAは++(ツープラス)から+++(スリープラス)ぐらいでOK。

参考過去記事:
美しい肌を守る日焼け止めの選び方③~SPF値とPA値の意味を知る~

科学的に肌に負担が少ないのはノンケミカル

日焼け止めに使われる紫外線防止剤には紫外線散乱剤と紫外線吸収剤がある。

アレルギーを起こしにくいのは、紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプ。ただし、散乱剤は酸化鉄や酸化亜鉛などのファンデーションの土台にもなっている”粉”なので、皮脂を吸着しやすい。使用感が好みに合わない場合はあるかもしれない。

参考過去記事:
美しい肌を守る日焼け止めの選び方① ~成分に着目する~

UV防止効果を重視するなら形状は”クリーム”推奨

日焼け止めのSPF値の測定は、1平方センチメートルあたり、2mgという規定量で行われている。これは、実際かなりの厚塗り。そのため、製品に表記されている紫外線カット効果を得ようと思ったら、感覚よりもそうとう厚塗りをしないといけない。

紫外線吸収剤タイプは、ジェルやスプレー、ローションにもできるが、そのようなテクスチャーの軽い形状だと、肌のうえに十分乗らないため「塗ったのに焼けた!」ということがよく起こる。

参考過去記事
美しい肌を守る日焼け止めの選び方② ~使いやすさに誘惑されない~

1500円以下で買える 優秀な日焼け止め

手間とお金がかかってしまったので、有料記事にしてしまいました。ごめんなさい。
ダウンロード版とWEB版があり、価格はどちらも220円です。

ダウンロード版はこちら
WEB版はこちら

昨年2021年公開記事ですが、今年も十分参考になると思います。

また、WEB版では冒頭部分、日焼け止めの成分等について詳しい解説が無料で読めます。

ご興味の向きはぜひ。

<ハンドクリーム>Neutrogena(ニュートロジーナ) ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム

近ごろずいぶんハンドクリーム、ハンドケア関連ワードで検索がかかっているようなので、またハンドクリームについて書いてみたいと思います。

手の乾燥と荒れ対策のまとめ記事はこちらからご覧いただけます

今日はamazonで現在(2022年4月)ベストセラー表示がついている「ニュートロジーナ ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用」を取り上げます。

ニュートロジーナ ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用

Neutrogena(ニュートロジーナ)ノルウェーフォーミュラ インテンスリペア ハンドクリーム 超乾燥肌用 50g
487円(2022年4月amazonでの価格)

ニュートロジーナ ハンドクリーム 超乾燥肌用の全成分

水、グリセリン、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、セテアリル硫酸Na、エチルヘキシルグリセリン、パルミチン酸、ステアリン酸、硫酸Na、トコフェロール

ニュートロジーナ ハンドクリームの成分解説とパフォーマンス

とてもシンプルな成分構成です。どっぷり美容ケアに浸かっていて、その道で16年飯を食っている人間からすると、「超乾燥肌用、だ…と……?」と思わざるをえないかんじ。

基材(化粧品の土台)に油性原料のセテアリルアルコール、それに保湿剤であるグリセリン。フェノキシエタノールは防腐剤で、製品中に含まれる量はごく微量。そのため以後の成分は気にしなくていいです。

肌のうるおいや改善に関与するような成分は、保湿剤であるグリセリンのみ。セテアリルアルコールはいろんなはたらきがありますが、この場合は滑らかな質感をつくりだす、コンディショニング剤かな、と。

このブログにたどりつくような、美容マニアの方ならとっくにご存じの成分だと思いますが、グリセリンはいわゆる、古典的ではたらきの穏やかな保湿剤です。また、水に流れやすい性質なので、手のような頻繁に洗うようなところ──ましてや今は、しょっちゅう洗ったり、アルコール消毒したりするような状況なので、あっという間に流れてしまうと思います。

恐らく、「超乾燥肌用」表記の担保になっているのは、グリセリンの純度と濃度。

純度99%以上のものは医薬品分野で使われるもの。濃度は明記されておらず「メーカー比」となっています。一般にいって、化粧品の高濃度とはだいたい3パーセント以上くらいから。

とはいえ、所詮グリセリンなんだよなぁ……と思ってしまいます。撥水剤も入ってないしね。顔ならまだしも……すぐ流れちゃうのよ。

まとめ

ニュートロジーナ ハンドクリームは、普段ハンドクリームをぬる習慣がなかった人が、入門的に使うといいハンドクリーム。高い機能性を求めて、ハンドクリームジプシーしているような玄人向けの商品ではないと思います。

このハンドクリームの保湿機能を最大限に引き出す使い方は、とにかく小まめにぬること。ぬりまくること、です。

***

こういう、殺伐とした世の中なのであんまりネガティブなことは書きたくないし、考えたくないんですけれど。「超乾燥肌用」表記が私のハートを燃え上がらせてしまいました。めっちゃひどい手荒れに切実に悩んでいる人が買っちゃったらどうするんだよ、と。

販売側がつけるコピーは自由ですからね。最近は景品表示法や薬事法にひっかかっている広告が増えてきて、また風紀が引き締められはじめましたけれど。いい傾向だ。いいぞ、もっとやれ。

ただでさえ、あこぎな、胡散くさい業界なので、作る側も売る側も、そして私のような扱う人間も倫理と節度は大事だと思います。ちなみに、最近一部で話題になった医療機器、HIFU(ハイフ)については、本家ブログの方で触れました

FANCL ファンケル エンリッチプラスシリーズ<しわ改善 医薬部外品>

何気なく点いていたテレビから流れてきたCMにはっとして、手を止めました。

医薬部外品で、「しわ改善」効果表記

有効成分は、ナイアシンアミドだ、と……?

しわ改善効果を明記できる医薬部外品なんて、そうそうありません。

しかも有効成分はナイアシンアミド。

ナイアシンアミドは古くから化粧品や医薬部外品に使われている成分ですが、しわ改善効果で医薬部外品承認が通ったなんて、これまで聞いたことがありません。

これは、確認しなければ……!! 手に取らねば!!!

ということで、取り寄せました。

みなさん大好きメーカーさん、しかし、当ブログでは意外にもはじめて取り上げるFANCL(ファンケル)さんの話題の製品です。

ファンケル エンリッチプラス化粧液 しっとり

FANCL ファンケル エンリッチプラス化粧液 しっとり(医薬部外品)
30ml 1,870円(2022年Amazon,メーカー公式サイトで同価格)

エンリッチプラス化粧液の全成分

有効成分:
ナイアシンアミド

その他の成分:
精製水、濃グリセリン、BG、ジグリセリン、POE(26)グリセリル、ベタイン、ペンチレングリコール、加水分解コラーゲン液-4、コラーゲン・トリペプチド F、エクトイン、メマツヨイグサ抽出液、スイートピー花エキス、シソ葉エキス、DPG、植物性スクワラン、水添大豆リン脂質、グリセリンエチルヘキシルエーテル、キサンタンガム、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、水酸化K、イソステアリン酸フィトステリル、天然ビタミンE


ファンケル エンリッチプラス乳液 しっとり

FANCL ファンケル エンリッチプラス乳液Ⅱ しっとり(医薬部外品)
30ml 1,870円(2022年Amazon,メーカー公式サイトで同価格)

エンリッチプラス乳液Ⅱの全成分

有効成分:
ナイアシンアミド

その他の成分:
精製水、濃グリセリン、BG、イソノナン酸イソトリデシル、ジグリセリン、トリエチルヘキサン酸グリセリル、植物性スクワラン、ペンチレングリコール、ジメチコン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、ステアリン酸POEソルビタン、POE(26)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル、加水分解コラーゲン液-4、コラーゲン・トリペプチド F、エクトイン、メマツヨイグサ抽出液、スイートピー花エキス、シソ葉エキス、マカデミアナッツ油、パルミチン酸セチル、脂肪酸ジペンタエリスリチル-1、ベヘニルアルコール、ステアリン酸ソルビタン、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、グリセリンエチルヘキシルエーテル、カルボキシビニルポリマー、水添大豆リン脂質、ローズマリーエキス、水酸化K、天然ビタミンE、d-δ-トコフェロール

これは化粧品革命か? ~本題の前に~(お急ぎの方は飛ばしてね❤)

本題に入る前に恐縮なんですが、まずちょっとこの興奮をしたためていいでしょうか。我慢できない!

テレビCMを見た直後……いや、実際には見ている最中からスマホに右手を伸ばし、左手はすでに財布へと伸びていました。そして件の商品をトップバナーで見つけるやいなや、カートにIN! 購入手続き完了まで1分というところでしょうか。

そのぐらい、長年化粧品にどっぷり浸かって生きているマニアックエステティシャンにとって、

しわ改善効果表記 医薬部外品有効成分ナイアシンアミド はパワーワードだったのです。

実際、製品が届いてパッケージを見ても、

「すげえ! ホントに書いてある!!」(当たり前…)

と、心臓がバクバクしました。

こんなことでこれほど興奮して、胸を高鳴らせることができるのですから、まったく幸せな人生です。好奇心全振り人生。なお実務能力は……

さ、そんなどうでもいい前振りはさておき、成分と試用に際し感じたこと、総合的なパフォーマンスの考察などを書いてみます。

しわ改善の効果はどこのしわに効くの?

まず、「しわ」は大まかに分けると3種類あります。

小じわ・ちりめん小じわ
主に目じりにできる、細かいしわのこと。主な原因は肌の乾燥によるもの。肌の水分量の低下が顕著になる中年以降、特にできやすい。しわのなかでは比較的ケアがしやすく改善しやすいが、そのままにしておくと後述する「老化じわ」に移行していく。

表情じわ
主に額や口の周りなど、表情をつくるときに動く場所にできるしわのこと。主な原因は表情を動かすことそのものだが、加齢によって乾燥がすすんでいたり、真皮のコラーゲンや近接組織の劣化が進んでいると老化じわと相まって濃く、深くなり目立つ。

老化じわ
濃く、深い表情を動かさなくても目立つしわのこと。小じわや表情じわが移行する。主な原因は、肌の土台である真皮の組織劣化によっておきる……つまり、加齢が主要因。加齢以外では、紫外線A波も真皮細胞を傷つける。

このように、一口に「しわ」といっても種類があり、それぞれケア方法も対応する成分も違います。

特に老化じわについては、真皮の問題であることからホームケアでは対処がほとんど難しく、エステ領域でもできることは限られており、主に美容形成領域でした。これまでは

マジか! ナイアシンアミドは真皮のコラーゲンを増やす?!

では、件の製品、ファンケル エンリッチプラスシリーズの有効成分ナイアシンアミドは何のしわに効くということで医薬部外品承認が通ったのでしょうか。

すごく新しい話なので、手持ちの資料では調べようがなかったのですが、『化粧品成分オンライン』にとっても詳しく書いてありました。ありがたい!

コラーゲン減少改善による抗シワ・抗老化作用に関しては、2018年(推定)にナイアシンアミドが医薬部外品シワ改善有効成分として承認されましたが、2019年5月時点では作用メカニズムに関しては表皮と真皮の両方にアプローチとだけ記載されており、詳細なメカニズムは非公開とされています(文献11:2018)

https://cosmetic-ingredients.org/barrier-repair/niacinamide/

よく見たら、孫引きっぽいんですけれども……。

表皮と真皮の両方にアプローチということはつまり、小じわ・ちりめん小じわだけでなく、これまで化粧品塗布によるケアはほぼ不可能と考えられてきた老化じわにも効くということ。

しかしながら、その詳細なメカニズムは 非 公 開

さらには有用性のデータも非公表。

まあ、なんて秘密主義なんでしょう❤ もったいぶるなぁ。

そもそも、ナイアシンアミドという成分は冒頭でちらっと触れたとおり、ずっと特別な成分ではありませんでした。分類はコンディショニング剤といって、肌をすこやかに保つというふんわりした美容訴求効果。近年では、角質細胞間脂質の合成促進(保湿作用)、メラノソームの輸送阻害(美白作用)なども分かってきているそうですが、どれも実験室レベルの高濃度の話。臨床――製品レベルでは、他の成分のサポート的位置づけでした。そう、同じくさまざまな美容作用を合わせ持つプラセランタみたいな立ち位置です。

長年化粧品とキャッキャッウフフしてきた、マニアックエステティシャンも当然そのような認識で、施術の現場で重用したこともないですし、一般流通品に比べてシビアに結果の求められる業務用製品でもナイアシンアミドが全面に押し出された製品を知りません。

それが、急に裏Bossみたいに出張ってきたものだから、驚きと困惑しかありません。

鬼滅にたとえていうなら、これまで数度しか登場していないモブが急に出てきて「おれは無惨を倒せる。今までその力を隠してきた」って言いだしたようなもんです。もしくは、同じくモブが「わたし自分でも気づいてなかったけど、実は日の呼吸の使い手だったわ。エヘ」みたいなかんじ。

実際、その困惑は『化粧品オンライン』にも見て取れます。

シワ改善有効成分として承認されているため、その作用は有していると考えられますが、現時点では情報が少なく、シワ改善のメカニズムおよび有用性のデータも公開されていないため、抗シワ作用については保留とし、新たな情報がわかり次第追補します。

https://cosmetic-ingredients.org/barrier-repair/niacinamide/

この状態を、私たち消費者はどのようにとらえ、どのように判断すればよいのでしょうか。

製品の総合的なパフォーマンスは正直言って微妙(各方面に全力でごめんなさい)

そんないろんな意味でざわついた商品だったので、実際の製品を手に取ってみたんですけれども。

しわ改善効果とナイアシンアミドのことは、まあそういう事情なのでひとまず横に置いておいて……大前提として、ちょっと、その……言いにくいですけど……年齢化粧品としては、保湿力が足らないんですよね。

意を決して言います。

老化じわを改善する以前に、このツーステップでは基礎的な保湿力が足りないと思う。しわ改善が全面に押し出されているので、ターゲットは少なくとも35歳以上くらいからかなと思うのですが、私がこれまで拝見してきたその年齢層の方の平均的な肌状況を鑑みると、保湿力が足りない。

ナイアシンアミドに気を取られていて――というか、関心のすべてを持っていかれてしまって、わたしも実際に肌につけるまで他の成分を一切見なかったという愚かなことをしたんですが。

独特のきしみ感のある皮膜感に、懐かしい一般品の雰囲気を感じながら表示を見てみたのですが、

化粧液の方には複数のコラーゲン、乳液にはコラーゲンに加え、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)(合成セラミドと考えてもらっていいと思います)も表示が見られるんですが……足りない。

塗った直後はもちもちっとして、すごくうるおっているように感じると思うのですよ。乳液だけでなく、化粧液にもシリコーン油が入っているのでね。気持ちよくスキンケアできるし、手ざわりはよくなります。

だけど、正味のところの水分量を増やす成分がほとんど入っていないので、就寝前にぬって寝る前くらいまではもちもちしていても、朝になるとけっこうパサついているなんてことが起きると思う。

気持ちよく塗りひろげられて、もちもち、つるつるっとした手ざわりを作れるのって市販品のあり方としてはすごく正しいと思うんですが、機能性を謳っているというところを踏まえるとちょっともやッとするかんじはあります。

スキンケアを楽しむ、という点からは素晴らしい製品だと思います。

清潔感のある容器に価格にそぐわないていねいなパッケージングは、厳格な品質管理を思わせ、開封時にわくわくします。やはり、スキンケア効果を追求したブランドやレーベルにはない、スキンケアを楽しむための仕掛けがそこここにあります。

ただ、率直に貪欲に、しわ改善効果をはじめとした高いスキンケア効果を望むのなら、選択はこちらの製品でなくても良いようにマニアックエステティシャンは思います。

まとめ

ファンケルエンリッチプラスシリーズは、なんかすごく効きそうで、わくわくしながらスキンケアを楽しめる製品! 実際のしわ改善効果……特に真皮への作用については機序も有用性のデータも非公表・非公開のため、界隈をざわつかせています。

今後、追従するメーカーが増えてくれば、ナイアシンアミドのゆるぎない地位が確立するかもしれませんが、今のところはしわ改善効果については様子見でよさそう。

小じわに悩む人は、角質細胞間脂質やその類似成分を高濃度に含む美容液やクリームを使い、こってりしっかりした重めのテクスチャのクリームで油分も補います。

表情じわに悩む人は、基本の保湿ケアをおこないつつ、アルジルリン、シンエイク、ロイファシル(いずれも通称)あたりの美容成分を3%から5%くらい含む化粧品を使ってみましょう。お値段はいずれも高いよ!

また、この辺の抗老化剤に属する成分は濃度が高すぎると扱いが難しいので、気を付けてね。ネットでは簡単に手に入っちゃうけどね。

深い老化じわに悩む人は機序と安全性が確立されている、VCをおとなしく週2~3回ポレーションするか導入しましょう。導入の際はマイナスでね。美容機器を使うのなら、誘導体でなくアスコルビン酸でもかまいません。その方が濃度が高いものがお安く手に入るかも。でも最大20%ぐらいにしときましょう。VCも濃度が高いものは、肌にしみます。あっとつっぱります。しみたり、つっぱりするだけでそれ以上の悪さはしないけど……。

VCを真皮まで浸透させるとコラーゲンの産生に関与する酵素にはたらきかけ、真皮のコラーゲンを増やし、肌の土台からケアできます。

難しいことはよく分からないけど、きれいな肌で若々しくいたい人は、まずはやっぱり保湿ケアからはじめてくださいな。基本を確実に行うのはやっぱり大事。何事もそうですよね。

余談 FANCLというメーカーさんについて

すごい人気のあるメーカーさんだな、という印象です。それだけ使っている人も多いし、注目されているんですよね。

これを書いている人は職歴16年目のずっとフリーのエステティシャンで、化粧品のご相談も承っているのですが、この15年間で一貫してもっともお問合せと製品のご質問が多いです。

老舗ばかりの大手化粧品メーカーのなかでは珍しく、比較的新しい会社なんですよね。50年前のベンチャーと言っていいのかしら。

ファンケルさんといえば、”無添加”が代名詞。

ファンケルさんが創業された1970年代はまだパラベンやセタノールなどの旧表示指定成分の表示もありませんでした。当然、いろんな成分の規定濃度も定まっていなかったはず。そうなると、肌をきれいにするための化粧品を使っていても肌荒れしたり、アレルギーを起こしたりということが今よりずっと多かったでしょう。

なので、ファンケルさんは添加剤や防腐剤の”無添加”にこだわったのですよね。

それから約30年が経ち、化粧品の全成分表示が義務付けられたのは2001年のことです。

現在ではかつて防腐剤の主流だったパラベンもフェノキシエタノールにかわり、その他の添加剤も刺激が強いものは製品中における濃度が定められています。精製の技術も向上し、化粧品の成分が直接的な原因で肌荒れを起こすことは少なくなりました。(特定の成分にアレルギー反応を起こす人を除いて)

このように、現代では”無添加”は製品の組成上はさほど意義がなくなってきているかもしれません。

しかし、ファンケルさんが今も消費者の心を捉えて放さないのはそういう歴史があるからでしょうか。

ファンケルさんは清く正しい一般の方向けの化粧品をお作りなので、私のような輩はあまり縁がありません。エステの現場や効果を追求するシーンで使いたい化粧品とは世界観が違うのですよね。

直接的な接点はなくとも、いつでも存在はすごく大きく感じるし、化粧品業界に一石を投じた(今も投じた……ナイアシンアミド……)という点でも敬意を覚えるメーカーさんです。

***

毎週土曜更新目標なのですが、これまたすっと気配を消し、2週間くらい経っちゃってました。

嘆いてました。

オミクロン株の猛威というよりは――日々明らかになっていく”処し方”の情報を追っていました。

自分を奮い立たせるために、表出するときは怒りに変えるようにしているのですが、実際のところは嘆いています。

ここ数日でようやく回復して、解脱しました。この2年間の苦悩から。

どんな社会だって、生きていくしかないんだ……グスン と思いつつも、この機に子どもに恵まれていなければ、世俗から離れ、間違いなく山に籠っていたなと思います。

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック)美容液<美容液>

明けましておめでとうございます。

今年もぽつぽつと続けていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年の一発めは角質細胞間脂質ーー乾燥肌・敏感肌の救世主セラミド配合スキンケア化粧品についてです。

昨年から引きずって新しい年に持ち込むのはちょっと気持ち悪いかんじがありますが、保湿ケアはやはりスキンケアの基本ですし、時期的にもタイムリーですしね。

あと、意外と知られていないですが、たるみの一次的要因も乾燥です。

マスク生活が長くなりすぎていて、たるみによる老け顔に悩む方も増えていますものね。

いつどこでどなたの目に留まるか分からないので、困っている方のお力になれるよう、しっかりしたためておきたいと思います。

皮膚科学的に肌のうるおいとはなんなのか、どんな成分が有用なのかは下記にまとめました。

皮膚科学発想の保湿スキンケア

皮膚科学発送の保湿スキンケア〜実践編〜

長いのでテキスト君とあまり親しくない方は読みにくいと思います。

3行でまとめると……

敏感肌は乾燥肌が悪化した状態

うるおいは8割がセラミド、2割弱が天然保湿因子、2,3%が皮脂(油分)によって維持されている

スキンケアにセラミドを取り入れよう! だけど、実際の製品選びは難しいよ〜

ということです。

前置きが長くなりましたが、今回のセラミド配合化粧品を見ていきます。

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック)美容液

ALLNA ORGANIC(オルナオーガニック) 美容液 47ml
3,,054円(2022年1月amazonでの価格)

オルナオーガニック 美容液の全成分

水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、プラセンタエキス、ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、セラミドNP、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、サクシノイルアテロコラーゲン、アセチルヒアルロン酸Na、オレンジ果皮油、ラベンダー油、ティーツリー葉油、キハダ樹皮エキス、ヒメフウロエキス、ツボクサエキス、マンダリンオレンジ果皮エキス、ユキノシタエキス、オウゴン根エキス、イタドリ根エキス、ソメイヨシノ葉エキス、カミツレ花エキス、ノイバラ果実エキス、トウキンセンカ花エキス、カンゾウ根エキス、チャ葉エキス、アルテア根エキス、イザヨイバラエキス、ラベンダー花エキス、ボタンエキス、ローズマリー葉エキス、キュウリ果実エキス、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス、フユボダイジュ花エキス、ヤグルマギク花エキス、ローマカミツレ花エキス、ユズ果実エキス、オリーブ果実油、アルガニアスピノサ核油、シア脂、グリチルリチン酸2K、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、スクレロチウムガム、リン酸アスコルビルMg、アスコルビルグルコシド、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、PEG-60水添ヒマシ油、キサンタンガム、水酸化K、ヒアルロン酸クロスポリマーNa、カルボマー、フェノキシエタノール(amazon当該製品ページより引用)

オルナオーガニック 美容液の成分解説とパフォーマンス

基材である水につづき、BG、グリセリンと吸湿性により保湿するマイルドな保湿剤が続いています。ペンチレングリコールはグリセリン同等の保湿剤ですが、抗菌作用があるので防腐剤がフェノキシエタノールの時によく入っています。フェノキシエタノールはパラベンと比べると守備範囲がちと狭いそうですのでね。

ここまでは化粧水や美容液の定番の走り出しです。

次がプラセンタです。

プラセンタは美白、保湿、抗老化と美容作用を広範に持つ成分です。出はじめの頃は抗老化作用をもてはやされていたのですが、最近は美白化粧品やアンチエイジング化粧品のメインの成分は張れず、サブ的位置づけで主役の成分と抱き合わせで入っていることが多いです。芸能界でいうバーターみたいな。芸能界と違うのは、プラセンタの方が若手でなく、旬を過ぎた存在であることでしょうか。あ…なんか、悲哀が満ちてきた。やめましょう。

次にヒアルロン酸(2種)があり、ここで今回の主役セラミドNPが登場です。

NPはセラミド3のことで、主なはたらきはバリア機能の強化・維持。

その後はコラーゲン(3種!)がつづき、ヒアルロン酸の優等生アセチルヒアルロン酸があり、香料である精油が3種、そして怒涛の植物エキス群です。

成分表示からパフォーマンスを想像するのなら香料や製品安定剤の前まで見ます。それらは本当に微量で、以後に入っている成分はたとえスター級の美容訴求成分であってもとっても薄いので、残念ですが美容効果ということでは意味がないことが多いです。名称があるとなんかいい気はしますけれどね。気分は上がる。

こちらの製品の場合、成分表示の後方、増粘剤の手前に優秀な新しいタイプのVC誘導体の成分名称があるのですが、残念ながら微量すぎてVCのもつ美容効果の恩恵にはあずかれないと思います。VCはある程度の濃度がないと本当に働かないので。3%は欲しいです。

では、本題の保湿力のほどはどうでしょうか。

うーん…こちら、ちょっと難しいです。

成分表示に化粧品の常識をプラスして考えると、これまで取り上げてきた3,000円前後または以下の製品と同じで、たぶん…ペンチレングリコールまでがほとんどを占めていて、きっとセラミドはうっすいと思うんですよ。

だって、47mlで3,054円ですからね。安い。安すぎる。

ただちょっと引っかかるんですよね。

香料前までの成分名の羅列が妙にリアルというか。感覚的な話で申し訳ないんですけれど。

ちょっとプラセンタの位置が高すぎて気にはなるけど、ヒアルロン酸とコラーゲンのくだりはすごくリアル。こういう成分表示のお宝レベルの高機能性化粧品、実際に存在していて知っています。

メーカーさんがベンチャーっぽいのも引っかかります。

一般に、どの業界でもそうだと思いますが大きな会社が販売している商品には人件費や広告費などの経費がたくさん製品価格に入っているので、価格の割に性能は低くなりがちです。分かりやすい例を挙げると、家電とかね。最近ですと、日本メーカーのものよりも中国とか韓国のメーカーさんの方が安いですよね。人件費が主な要因だと思うんですが、今後は変わってきそうです。(いや、もう変わってきているかもしれないけど、その辺は明るくないので勘弁してください。よく知りもしないのに生意気いってすみません)

あと別の例だと、生命保険のライフネットさんとかもね。ライフネットさんの方がピッタリかも。

化粧品も同じです。大企業さんの製品はほら、テレビでバンバンCMとかやっていますでしょう? ああいう広告費とか、百貨店のブースの賃料とか、そこで働くスタッフさんの人件費とかが製品価格に乗っていますからやっぱりベンチャーの作る化粧品に比べると価格の割に美容成分はそうでもないことが多いです。

もっとも有名企業の化粧品を買う理由は性能が全てではないでしょうけれどね。性能とコストパフォーマンスを重視して選ぶなら大きなメーカーさんの化粧品は候補から外れるのは道理というものです。

ちょっと話逸れちゃっているので戻します。

そういう、成分表示そのものだけでなく、背景や長年多くの化粧品と戯れてきたマニアックエステティシャン(職歴16年)の勘を加味すると、あり得なくないような気がしてしまうんですよね〜。お宝の可能性があるんですよね〜

どうしようかな、買ってみようかな。

……

……と、ここまで考えてまた成分見直してみたんですけれど。

キサンタンガム

カルボマー

けっこう増粘剤入ってるね。

セラミド美容液には入っててもおかしくはないけど、ヒアルロン酸は粘度の高い成分だからヒアルロン酸の濃度がそれなりにあると増粘剤は入ってないことが多いのよね。シア脂も超微量とはいえ入ってるのにね。さらにマシマシ増粘しちゃうのか。

やっぱり薄いのかな。シャバシャバなのかな。

まとめ

オルナオーガニック美容液は、ふつうに考えたら保湿効果はそれほど高くなく、天然香料で気持ちよく優雅にスキンケアを楽しめる化粧品。だけど、もしかすると、ひょっとするとお宝美容液(お値段の割に性能・美容効果が高い)の可能性がないわけでもないかも?! 肌状態に余力と懐に余裕のある方は一度試しに買ってみても面白いかもしれないです。

余談 オーガニックは肌に良いのか?

美容効果という観点では別に良いことはありません!

商業的にはおおいに意味がありますけれどね。

オーガニックはざっくり言うと、決められた環境、条件で栽培された農作物ですが、化粧品成分の場合はそのまま口に入るわけでなく、そこから精製するのでその過程で残留農薬などはほとんど残らないそうです。そもそも一番分子が大きいまま残る植物エキスはそんなに高濃度に配合できるものでなく、製品に占める割合も少ないですしね。植物由来の薬剤にいたっては、農薬とかもう次元が違う話です。

だけど、「オーガニック」の文言に惹かれて製品を手にとる方の心理は、正味どうなのかってことは関係ないと思うのです。先の大企業の化粧品を購入される人と一緒でね。

化粧品の世界ーー特に日本の消費者が、化粧品選び・購入の際に重視しているのは「肌やからだへのやさしさ」「安全かどうか」なんだそうで、特に植物由来成分の好感度が高いそうです。そういう意味ではオーガニック表記は魅力的であり、売れやすい製品になるのではないでしょうか。

有料記事を無料公開中です【3日間限定】

当ブログの有料記事

amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式(有料記事/100円,2018年夏UP)

amazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め(有料記事/220円,2021年夏UP)

期間限定で無料公開しています。

12月26日までです。

ここでも市販の製品についてかなり詳しく書いているのですが、このふたつの記事はたくさんの製品の成分を見て、良さげなものはすべて実際に購入し、その手で試用していろいろ確かめたうえで書きました。

その一連の手順は、サロンでフェイシャルに使用する化粧品を探す時、

はたまた、ホームケアのためにお客様に合う化粧品をお探しするときとまったく同じ手法です。

手間とお金(はっきり書いちゃった。下世話ですみません)が大変かかるので、有料設定にしてあります。

amazonで買う10代から20代前半のスキンケア用品一式 の方は、主題は「10代から20代前半の」なんですけれど、皮膚科学発想のスキンケアの基本と、それに適した具体的なアイテム(クレンジング・洗顔・化粧水・クリーム)をご紹介しているので、その他の年代や男性の方にも応用しやすいと思います。

3年も前に書いたものなので、取り上げている製品で一部リニューアルしたり廃番になっている商品もあるのですが、リニューアル後の製品も成分はあまり変わっていない……むしろ少し良くなったことは確認済みです。

廃番になったのは、日焼け止めなので、それは今年書いたamazonで買える1500円以下の肌にやさしい日焼け止め で補っていただけるのではないかと。

週末のお暇つぶしにいかがでしょうか。

3日間すべて予定ぎっしり、なんて方もいらっしゃるかもしれないし、今はいろんな働きかたやライフスタイルがあるので、お仕事の方もいらっしゃるでしょうし、仕事ではないけれどすべて空白……という方もいらっしゃるかもしれないですよね。

例の輩の情勢もありますし。

悲痛なニュースや事件も多く、まったく心を痛めるばかりですが……

こんなときだからこそてスキンケアなどという軽薄なものを真剣に突き詰めてみるのって、なんか、いいじゃないですか。

人間、現実逃避が必要なときだってありますもの。

リュミエール エッセンシャルセラム<美容液>

肌の乾燥が深刻になる季節なので、皮膚科学的発想の保湿ケアと使えそうな市販のスキンケア化粧品について書いています。予期せずシリーズ化してきていますが、7回目です。

【関連する記事】

肌のしくみにもとづく保湿ケアの考え方

皮膚科学発想の保湿スキンケア~

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

市販(amazon販売)の角質細胞間脂質を含む美容液の表示成分によるパフォーマンス考察

流川製薬 ヒメノネムリ 20ml 2,980円
ビーエス-コスメ セラミド美容液 100ml 2,600円
ブランユー モイスチャージェルセラム 110g 6,600円
チューンメーカーズ セラミド200 20ml 1,980円

セラミドは全世代のスキンケアの要ですし、こうやってひとつのテーマに絞ってひとつひとつの製品を見ていくと、化粧品選びの面白さや難しさがよく分かるのでもう少し掘り下げていきたいと思います。

リュミエール エッセンシャルセラム

LUMIÈRE(リュミエール)エッセンシャルセラム 30ml
3,980円(2021年12月amzonでの価格)

リュミエール エッセンシャルセラムの全成分

水、BG、グリセリン、ペンチレングリコール、ヒト脂肪細胞順化培養液エキス、3-Ο-エチルアスコルビン酸、セラミドEOP、セラミドNP、セラミドAP、プラセンタエキス、フムスエキス、ヒアルロン酸Na、フィトスフィンゴシン、コレステロール、ベルガモット果皮油、ニオイテンジクアオイ油、アルテミシアパレンス花油、クスノキ葉油、イランイラン花油、ビャクダン油、パルマローザ油、ダマスクバラ花油、シア脂、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、馬油、オリーブ果実油、(クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸)グリセリル、アルギニン、乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス、サッカロミセスセレビシアエエキス、ポリソルベート60、ラウロイルラクチレートNa、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、PEG-40水添ヒマシ油、カルボマー、キサンタンガム、エチルヘキシルグリセリン、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、トロポロン、フェノキシエタノール

リュミエール エッセンシャルセラムの成分解説と考察

基材につづき、定番の保湿剤であるBG、グリセリン、ペンチレングリコールの表記が見られます。

美容液や化粧水の定番の表示順です。

続くのは、 ヒト脂肪細胞順化培養液エキス 。通称”ヒト幹細胞”。2021年現在では理論的にも効果の面からいっても、もっとも注目・期待されている抗老化成分といってよいと思います。私もサロンでフェイシャルに使用する化粧品にも採用していますし、販売化粧品でも含有製品をもちろん取り扱っています。

その次の表示、 3-Ο-エチルアスコルビン酸 はビタミンC誘導体の一種。やや古いタイプのVC誘導体で、特に日焼け後に取り入れたい種類です。

VC誘導体の後にセラミド類の表記が出てきます。

セラミドEOPはセラミド1、セラミドNPは3、セラミドAPは6Ⅱです。ヒト型セラミドの種類も良いですね。堅実です。

その他に美容訴求成分としては、プラセンタエキス(保湿・美白剤)、ヒアルロン酸Na(保湿剤)、フィトスフィンゴシン(細胞間脂質類似成分・保湿剤)などが入っています。……いいですね!

成分表示としては、はっと目に留まります。さて、想像される実際のパフォーマンスのところはどうでしょうか。

長年(13年)多数の化粧品の成分を見、実際に手にとって扱ってきたマニアックエステティシャンの感覚からいくと、「有り得る」化粧品だと思います。

有りえる、というのは、常用の候補に成り得るアイテムということです。

表示上はこれまで取り上げてきた細胞間脂質配合の美容液たちと同じように、ベースの保湿剤が多いように見えますが、以降の表示順もひっかかるところがあまりなく……つまり、容量・価格・配合成分にあまり無理があるように見えないのが理由のひとつ。

あとね、さらに感覚的な話で申し訳ないんですけれども。

なんか、韓国系の化粧品っぽいんですよね。成分構成が。

セラミド類よりも前表示の最強抗老化成分”ヒト幹細胞”って、本来とても高価な成分なんです。

高濃度……化粧品の美容訴求成分の高濃度とは、3%以上くらいのことからを言いますが、ヒト幹細胞の場合5%を超えてくると美容液1本の相場がだいたい2万円前後です。

ただね、これ裏話というかちょっと特殊な事情がありまして。

ヒト幹細胞の成分はほとんど、韓国から買っているらしいのですよ。日本のメーカさんも。

確か……あれは、コロナの前なので2018年か2017年くらいだったと思うのですけれど、そのときの展示会でその話を耳にしまして。当時は国産のヒト幹細胞はほとんどなく、韓国のメーカー数社で独占状態だったらしいんですよね。

んで、そのうちの1社が直販で美容原液を展示会で販売していまして、それがびっくりするくらいの高濃度でこれまた目の玉が飛び出すくらいの低価格だったんですよ。確か3全円弱……。いろんな意味で喉から手が出るくらい欲しかったんですけど、帰りの飛行機の時間が迫っていて、しかも会計待ちの列の長さが正気の沙汰とは思えないほどで、諦めたので実物は手に取れなったのですが。

分かりやすく例えると、卸お菓子工場で焼いた無名カステラは千円だけど、同じカステラでもデコられて、しっかり包装されたものは別ブランド名で〇倍の価格で販売されている、みたいな話です。

まあ、化粧品に関してはカステラと違って成分の組み合わせ自体に販売メーカーさんのセンスが出るし、ヒト幹細胞はすごく良い成分だけどそれだけ使えばいいってことでもないので、話はそんなに単純にはいかないんですけれど。

少し話が逸れてしまったのですが、そんなわけで成分表示上はこれまで取り上げた他の製品同様、BGなどの基本的な保湿剤の表示も多いし、本来高価な成分であるヒト幹細胞の表示順が妙に高いのですが、そういう事情をふまえると、有り得なくない構成だし、価格と容量をふまえても割りと現実的なかんじがするのです。

VC誘導体の種類が古典的なのも、なんかリアルなんですよね。

大分とっ散らかってきたので、まとめます。

まとめ

リュミエール エッセンシャルセラムは、もしかしたら掘り出し物かもしれない、マニアックエステティシャンも気になる美容液。角質細胞間脂質(セラミド)の他、美白剤、抗老化剤もバランスよく含まれており、基本の美容液の候補として考えてみてもいいかもしれない。

ただ、実際に使ってみると思いの他、美容訴求成分の濃度が薄い可能性も有り。

とりあいず1度購入してみても良い製品だと思います。

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ひと昔まえと違って、今はだれでも化粧品の成分名を見て、それがどんなものでなんの美容効果があるのか気軽に調べられるようになりました。ネットってそういう意味では本当にすばらしいし、有難いです。

だけど、なんの領域でもそうだと思うのですが、それだけでは分からないことって多いのですよね。

よく、こんなに長いこと化粧品を見ていて飽きないのかと言われるんですけれど、継続してたくさんの製品を見てきたからこそ分かる、勘みたいのが形づくられてきて、しかもそれが洗練されていくのが面白いので、飽きることなどないのです。

一見全く違うようでいて、関連する話だと思うのですが――

持病があって、いろんなお医者様に診ていただいてきたんですが、ベテランで名医と言われる方ほど検査結果だけでなくご自身の目で見たその感覚を大事にされているようで、感銘を受けました。

一緒くたにしてしまうのはおこがましいんですけれど、やっぱり、似たようなものなのだと思います。

お医者様のように直接的に、しかもたくさんの人のお力になれるわけではありませんが、お肌の悩みはささいなことのようでいて、案外とその人のQOLを損なうし、ひいては人生に影響を及ぼすものです。

ただ面白いのでやってきているだけですが、お肌のことでお困りの方がいらっしゃり結果的にでも力になれるのなら、これほど光栄なことはないと思っています。

チューンメーカーズ セラミド200<美容液>

お肌の乾燥が特に気になる秋~冬。

年齢を重ねるにつれ、その悩みはいっそう深刻になりがちです。

そのため、ここ数回は皮膚科学的な保湿ケアとそれに有効なスキンケア化粧品について書いています。

【関連する記事】

皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~

皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

今日も角質細胞間脂質配合のスキンケア化粧品を見ていきたいと思います。

チューンメーカーズ セラミド200

TUNEMAKERS(チューンメーカーズ) セラミド200 原液美容液 20ml
1,980円(2021年12月amazonでの販売価格)

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 の全成分

水、1,2-ヘキサンジオール、BG、コメヌカスフィンゴ糖脂質、ペンチレングリコール、グリセリン、水添レシチン、水添リゾレシチン、アルギニン(公式サイトさんより引用)

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 の成分について解説

基材の水に続き、保湿剤兼防腐・殺菌剤の 1,2-ヘキサンジオール 、吸湿性により保湿する定番の保湿剤BGの表記があります。その次にこちらの製品の冠成分である コメヌカスフィンゴ糖脂質があり、またまた定番の保湿剤である ペンチレングリコール、グリセリン がつづき、乳化剤である水添レシチン、同じく水添リゾレシチン、最後にアミノ酸の一種アルギニンが見られます。

ここまで見るとお気づきのことと思いますが……

セラミドは入っていません。

製品名に「セラミド」という文字があるだけで、メーカーさんもセラミドが入っているとは書いていません。

セラミド※

※コメヌカスフィンゴ糖脂質

と、繰り返し書いてあります。

コメヌカスフィンゴ糖脂質 とはその名のとおり、コメヌカから精製抽出された植物性スフィンゴ糖脂質――つまり、通称”植物性セラミド”です。

植物性セラミドは、ヒト型よりはむろん、動物性セラミドよりもはたらきが劣りますが、原材料が安価なため製品価格もお手頃になりやすいという点で懐にやさしい成分です。ただ、植物性の成分は濃度高く配合するのが難しいので、単体だとその効果がちょっと心もとないのがネック。

こちらはどうでしょう。

メーカー公式サイトさんによると、セラミド200の200は同メーカーさんの別製品「セラミド原液美容液」と比較してコメヌカスフィンゴ糖脂質を2倍にしたとのこと。2倍は濃度のことなのか、量のことなのかは分かりません。

成分表示から察するに、たぶん”量”でしょうかね。

セラミドとセラミド200の成分表示とその順がまったく同じなので。

いずれにせよ、残念ながらそう濃度が高いものではないのではないかと思います。

その理由としては、そもそも先に書きましたが、植物由来成分はその安定性や使用感からいって高濃度に含まれにくいこと。あとは、 1,2-ヘキサンジオール、BG 、 ペンチレングリコール、グリセリン とベースの保湿剤がやはり入りすぎているように思います。

BGとベンチレングリコールの間にコメヌカスフィンゴ糖脂質表示があるのも気になるところです。

この表示だと、 コメヌカスフィンゴ糖脂質 とペンチレングリコールとグリセリンが同濃度、もしくはコメヌカスフィンゴ糖脂質の方が含有量が多いということになりますが、化粧品の常識からいくと後者は考えがたいので、そもそもBG以後の濃度が大変薄いという可能性も考えられます。

もともと角質細胞間脂質(類似成分)のなかでも働きがおだやかな植物性セラミドにあって、さらに濃度が薄いとなると仕組みは違いますが、水分を大量に抱え込む性質を持つヒアルロン酸を高濃度に含む美容液を使った方が保湿効果を得るという意味では効果的かも。

メーカーさんの推奨する基本の使い方、1回2~3滴では乾燥肌に悩む方が期待されるほどの保湿効果は得られないのでは……?と思います。

乾燥の具合がまだ軽症の方……たとえば、20代半ばくらいの標準的な肌の方ならこちらの製品が合うかもしれない、とエステティシャンは思います。

まとめ

チューンメーカーズ セラミド200 原液美容液 はセラミドは入っておらず、植物性セラミドの1種であるコメヌカスフィンゴ糖脂質が入った美容液。細胞間脂質(類似成分)を含む美容液のなかでは保湿力は高くない方なので、乾燥状態がひどくない方、年齢の若い方向けの美容液と思われます。

1回2~3滴といわず、ちょっと多めに使った方がいいかも。

ちなみに、美容原液とありますが、化粧品における「原液」の定義は定まっていません。こちらもそもそもセラミドではないし、セラミド類似成分であるコメヌカスフィンゴ糖脂質以外にもいろいろ入っています。

また、こういう容器形状ですと導入やポレーションに使えそうなイメージですし、amazonのレビューを見ると実際にお使いの方もいらっしゃるようですが、化粧品や美容機器と日常的に長年戯れているエステティシャン的には、こちらはポレーションやイオン導入には使用しませんし、もし問い合わせがあれば決しておすすめもしません。(理由は長くなるし、話が逸れるので割愛)

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毎週土曜更新目標ですが、月末月初、年末の関係で慌ただしくなっています。

コロナもきな臭くはなってきたものの、まだまだ感染状況が落ち着いているのでサロン(リアル)の方でもしっかり仕事していかなければなりませんしね。

でも、こりずに次回も土曜更新目標にしています。