ビタミンC誘導体は数ある美容成分のなかでも大変有効な働きを持つ成分です。成分原価も安いため、製品価格も手ごろなものになりやすく、年齢性別問わずぜひとも毎日のスキンケアで取り入れたい成分です。
特に、先日皮膚科学発想の対にきび スキンケアでも書きましたが、にきびとうまく付き合っていくためには必須の成分です。
必要な成分が分かっていても、難しいのが製品選び。
今日は実際にビタミンC誘導体を含む化粧水3種を、低価格帯・中価格帯・高価格帯からそれぞれ1種類ずつピックアップして、配合されている成分やそのはたらきについて見ていきたいと思います。
目次
シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローション
シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローション 120ml
8,800円
※2021年10月amazonでの価格
薬用表記があるとおり、医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。
【有効成分】L-アスコルビン酸2-グルコシド 【その他の成分】ローヤルゼリーエキス、酵母エキス(3)、ニンジンエキス、ユキノシタエキス、ボタンエキス、カッコンエキス、カンゾウフラボノイド、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、L-セリン、濃グリセリン、エタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、キサンタンガム、クエン酸、水酸化カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、精製水
ビタミンC誘導体の種類は L-アスコルビン酸2-グルコシド 。
酵素によって表皮や真皮でアスコルビン酸に分解されるという、VC誘導体のなかでは古典的なタイプ。
保湿剤は植物性の穏やかなものが中心。キサンタンガム(増粘剤)があるので液剤はとろっとしており、エタノールの含有量がけっこう高めなのでその揮発性によってスッと肌になじむ感じがあると思います。
成分を見るかぎりでは、ひと昔前の構成という感じです。
キサンタンガムやエタノールの件からいっても、スキンケア効果を重視した製品というよりは、スキンケアを楽しむための娯楽的要素が高いのではないかと思います。
価格は、相当数の製品を長年見て、実際に手に取ってきたエステティシャンの感性でいくと「ものすごく高い!」です。
このくらいの価格だと、もっと最新鋭のとんでもない成分が入った製品を使えるので、効果のあるスキンケアを実践するためというよりは、ブランドの思想やスキンケアの時間を楽しむための製品だと思います。
トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEX
トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEX 120ml
4,250円
※2021年10月現在amazonでの価格
薬用表記があるとおり、医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。
<有効成分> L-アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム(ビタミンC誘導体)、グリチルリチン酸モノアンモニウム(肌荒れ防止剤)
<その他の成分> 精製水、DL-アラニン(保湿)、異性化糖(保湿)、オウゴンエキス(整肌)、カモミラエキス(1)(整肌)、カンゾウフラボノイド(整肌)、グリシン亜鉛(整肌)、シロキクラゲ多糖体(保湿)、セイヨウナシ枝エキス(整肌)、ダイズエキス(整肌)、タイソウエキス(整肌)、党参抽出物加水分解液(整肌)、トリメチルグリシン(保湿)、ヒアルロン酸ナトリウム(2)(保湿)、ヒナギク花エキス(整肌)、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液(保湿)、ムラサキシキブ果実エキス(整肌)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(保湿)、ユキノシタエキス(整肌)、ローズマリーエキス(整肌)、ローズ水(芳香蒸留水)、濃グリセリン(保湿)、グリセリン(保湿)、ジグリセリン(保湿)、1,2-ヘキサンジオール(保湿)、1,2-ペンタンジオール(保湿)、1,3-ブチレングリコール(保湿)、クエン酸(pH調整)、クエン酸ナトリウム(pH調整)、乳酸ナトリウム液(保湿)、フェノキシエタノール(防腐)
公式サイトより https://www.tvert.jp/fs/tvert/219?ct_P6fd25c0eF87f6bF=11.1.365.40c3Oe1O676M958f.365.69l7u36ra0l9rhu7e1189e1h.39V6hCitea128i61OethO77V.null
VC誘導体の種類は医薬部外品表示成分名でL-アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、表示名はリン酸アスコルビルナトリウム。通称APS。
非常に新しいタイプの誘導体で、他のメーカーさんが使っているのを私は見たことがないです。体内で酵素で分解されてビタミンCとして代謝されるタイプだそうで、かなり安定度が高いんだそう。APPSとかVC-IPと比べてどうなんでしょう…誰か教えて……
こちらの製品、2019年時に研究段階では老人性色素斑――いわゆる、頬骨周辺にできる円形の”しみ”を薄くする効果が確認されたようです。濃度が6%で医薬部外品申請に通っているのようなので、一般的なVC誘導体が有効成分になっている医薬部外品のものの濃度は倍です。
VC誘導体の種類が先鋭的で濃度も高いせいか、保湿剤の類はやや控えめ。あまり強力に水を抱え込む性質のものが入っていないので、かなりサッパリした感じになるのではないかと。
ただ、この化粧水を使ったあとに美容液などで補給すればOKだし、科学的で高いスキンケア効果を狙ったすばらしい製品。
ただ、コスパの点でいくとちょっと高い、かな。
120mlボトルというのは、化粧水だと最小クラス。
ふつうに使っても1か月で間違いなくなくなりますし、お顔の大きさによっては一ヵ月持たない人もいます。首やデコルテにまで使うとちょっとびっくりするくらいの減りです。
他の成分も見るに、カテゴリーは完全に美白化粧品ですので、にきびケアのための化粧品として採用するにはちょっとコストがかかりすぎるだろうし、しみを薄くしたいのならやはりハイドロキノンに勝るものはないのではないかと。しみを薄くするのをあえてVC誘導体で狙う必然性もないような。
製品そのものはすごく良いと思うんですけれど、実際の活用では限定的になるような気がします。
メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ
メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ 170ml
870円
※2021年10月現在amazonでの価格
例によって医薬部外品のため成分表示が【有効成分】と【その他の成分】に分かれています。
全成分
【有効成分】 3-O-エチルアスコルビン酸(高浸透ビタミンC誘導体)、グリチルリチン酸ジカリウム 【その他の成分】アスコルビン酸(ビタミンC)、グレープフルーツエキス、レモンエキス、アルピニアカツマダイ種子エキス(アルピニアホワイト)、BG、濃グリセリン、DPG、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、パラベン、クエン酸ナトリウム水和物、無水クエン酸、キサンタンガム、エデト酸塩、香料
VC誘導体の種類は 3-O-エチルアスコルビン酸。通称ビタミンCエチル。安定性だけでなく即効性にも優れているという水溶性のビタミンC誘導体。古典的なタイプです。日焼けのあとに取り入れたい成分。
ちなみに、その他の成分にアスコルビン酸――純粋ビタミンCが入っています。たぶん、壊れています。ビタミンCはそのくらい不安定らしいので。
清々しいくらいに保湿剤が入っていません。
BG・グリセリン・DPGぐらい。いずれも吸湿性によって保湿するマイルドかつ古典的な保湿剤です。しかも、フルーツエキス後方の表示ってどういうことなんだ……
グレープフルーツエキスやレモンエキスってのは、肌を滑らかにしたり、引き締めるような作用がマイルドにあるのですが、そんなに量を入れられるもんじゃないので、その効果を製品で感じることは恐らくないと思います。ただなんか、入っているといい感じはしますよね。
メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプ
”しっとり”
しっとり……だ、と?
しっとりの要素、どこ……?
キサンタンガム(増粘剤)か?
誘導体の種類が 3-O-エチルアスコルビン酸 、有効成分にグリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症)があることからも、こちらは日焼け後の肌に使用することを想定した商品かな? と思います。
amazonで買えるビタミンC誘導体配合化粧水 まとめ
シャルーヌ化粧品 薬用美白化粧水 ホワイトスキンローションはスキンケアを楽しむタイプの製品
トゥベール 薬用ホワイトニングローションαEXは科学的で先鋭的な美白化粧品。
メラノCC 薬用しみ対策美白化粧水 しっとりタイプは日焼け後の肌にバシャバシャ使って楽しい化粧水。しっとりはたぶん液剤の質感!
こんな感じに個人的にはまとめたく思います。
いやー、改めて化粧品の懐の深さというか内包する小宇宙を感じました。
同じVC誘導体配合の化粧水というくくりでもこれほどの違いがあります。
価格的にも、成分的にも、コンセプトも。
これだから化粧品は面白いです。