先日、長くご利用いただいているお客様のお嬢さんのスキンケアプランを考える機会をいただきました。
改めて10代から20代前半の若い方のスキンケアについて、調べ、考えたので今日はそれについてまとめたいと思います。
10代から20代前半の肌をとりまく事情
しわやたるみ、しみのない、うるおったみずみずしい肌にスキンケアなど不要だとお思いでしょうか。
確かに、10代から20代前半の肌は、まだまだ十分なポテンシャルがあり、そのものが美しい状態です。
しかし一方で、授業や課外活動、レジャーなどによって大人に比べて紫外線を浴びやすい生活環境があったり、ホルモンバランスの変化に伴って特別ににきびができやすい期間でもあります。
一説によると、一生のうちに浴びる紫外線の8割を10代のうちに浴びているのだとか…
10代から20代前半の若く、かわいいお嬢さんたちのスキンケアにおけるポイントは下記ふたつです
・紫外線予防とケア
・にきび予防とケア
10代から20代前半の人のスキンケア基本アイテムは5つ
・角質ケア(ピーリング)効果を持つ洗顔料
・VC誘導体を含む化粧水
・季節や部位の乾燥ケアのためのクリーム
・日焼け止め
・日焼け止めを落とすためのクレンジング剤
ひとつひとつ解説していきます
◆角質ケア(ピーリング)効果を持つ洗顔料
にきびは、このような順番でできます。
①角質が厚くなり、毛穴をふさぐ
②その下で、常在菌であるアクネ菌が皮脂などを餌にして過剰繁殖する
そのため、ニキビ用化粧品というものは、このアクネ菌を殺菌するための成分が入っているか、皮脂を抑え、乾燥させるようなものか、化粧品そのものに油分を含めず、餌を極力少なくするようなつくりになっています。
しかし、アクネ菌は常在菌ですし、皮脂は肌には必要なもので常に分泌されるものです。
すでにできてしまったニキビを治すには、皮膚科で診てもらうことが大事ですが、ニキビができないように予防するための第一歩は「角質を厚くしないこと」です。角質肥厚の原因はまだよく分かっていないことが多いそうで、ホルモンバランスの変化も関係しているのではないかと言われています。
ピーリングを取り入れ、角質を厚くしすぎないことはニキビ予防につながります。
具体的な成分名は酵素や、グリコール酸、フルーツ酸、乳酸などです。
AHAの場合、濃度が明記されている製品もありますが、3%以下なら毎日の洗顔料として、5%なら週1~2回からはじめて、様子を見ながら回数を増やし、10%超のものは刺激が強く、扱いにくいのでおすすめしません。
酵素は製品によって差が大きいので、洗いあがりの肌の状態を見て回数を増減するのが良いかと。
◆VC誘導体を含む化粧水
ビタミンC誘導体は厚生労働省認可の美白剤です。
美白剤には他に、エラグ酸、コウジ酸、トラネキサム酸、アルブチンなどがありますが、10代から20代前半のお嬢さんにはVC誘導体がおすすめです。VCは美白剤でもありますが、コラーゲンの合成に欠かせないものであり、過酸化脂質抑制(老化予防)のほか、皮脂をコントロールする作用などさまざまな美容効果をもっています。
特に、年齢的に皮脂過剰になりがちな若い女性にはVCはその点でも心強い味方になってくれます。ピーリングとともにニキビ跡を早く薄くする効果も期待できます。また、成分的に安価なので化粧品のコストを抑えられるのも魅力です。
具体的な成分名は、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸セチルエーテル、アスコルビン酸Na、アスコルビン酸Mgなど。これらは水溶性のVC誘導体ですが、最近では油溶性で安定性の高いテトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビルなどもあります。
アスコルビン酸のままでは安定性が悪く、分解しやすいため、普段のスキンケア用化粧品として使うのなら誘導体の形になったものを使うべきです。
アスコルビン酸の化粧水や美容液は、イオン導入に適しています。
◆季節や部位の乾燥ケアのためのクリーム
水分量も皮脂量もそのままで十分な若いお嬢さんには、特別な保湿ケアは必要ありませんが、ピーリングや日焼け止めを落とすためのクレンジグによって少し肌のつっぱり感が気になるときや、冬の空気の乾燥が強いときなどは、化粧水だけでなくクリームを追加します。化粧水よりもクリームの方が美容訴求成分が多く含まれる傾向があります。
また、肌の調子が悪いときは化粧水を休み、肌あたりのやわらかいクリームだけを使って肌の回復を促すというレスキュー的なケアもできるので、肌荒れをしやすいお嬢さんは保険がてら用意しておいても良いでしょう。
植物エキスははたらきが穏やかなものが多いので、ヒアルロン酸やコラーゲン、天然保湿因子(アミノ酸など)をバランスよく含むクリームがおすすめ。特に肌荒れしやすく、粉を吹くくらい乾燥してしまうのなら、少々お値段は張りますが、大人同様にセラミドか類似成分配合のものを。
紫外線ケアにいっそう力を入れるのなら、先にあげた油溶性のVC誘導体を含むクリームも良いと思います。
◆日焼け止め
肌に負担の少ないノンケミカルのものがおすすめです。
ノンケミカルは顔料(酸化亜鉛、酸化鉄などファンデーションやフェイスパウダーにも使われる粉)によって紫外線を反射させ、紫外線をカットします。紫外線を「粉」によって反射させるので、ローション、ジェル、スプレー状のものは存在せず、粉を均一に伸ばすために油性原料と混ぜてクリーム状にすることで、肌への密着度を高めてあります。
撥水剤が入っているウォータープルーフタイプは使用後はクレンジングが必須ですが、汗やこすれ、ふきとりなどの物理的刺激にもある程度耐えてくれ、薄塗でも持ちこたえてくれやすいのでウォータープルーフタイプがおすすめ。汗をかくことが大人よりもずっと多いでしょうし、動きも活発でしょうからね。
日焼け止めというと、肌へ高負担のイメージもあるかと思いますが、10年超のエステティシャンの経験では、日焼け止めによって肌のコンディションが悪くなってしまう方の大半はケミカルタイプ(紫外線吸収剤)をお使いです。
世に出回っている日焼け止めの多くがケミカルタイプなので、分母が圧倒的多数ですから、紫外線吸収剤が悪いとは言い切れない部分はあります。ただし、紫外線吸収剤の多くは配合上限が設けられている古い成分であり(日進月歩の世界にも関わらず1960年代から使われているものもある)、厚生労働省の「紫外線対策マニュアル」でも、「稀にアレルギーを起こすことがある」というマイルドな表現で注意喚起されています。
なんでもない人はなんでもないですが、若いお嬢さんはお肌のコンディションが安定しにくいので、負担となりうるものは極力減らしてあげて方が良いのではないかと。
◆日焼け止めを落とすためのクレンジング剤
ウォータープルーフタイプではない(撥水剤が入っていない)日焼け止めを使う場合は、クレンジングは不要ですが、10代から20代の若く活発なお嬢さん方には日焼けを恐れず、アクティブにいて欲しいのでウォータープルーフの日焼け止めがおすすめです。
その際は、面倒ですがクレンジングが必須です。
クレンジングはクリームタイプをまず試してみてください。
クレンジングの形状と洗浄力については、過去にまとめたものがあります。
非常に密着度の高い、ウォータープルーフタイプの日焼け止めを使用した場合、クリーム形状のクレンジングでは落としきれないときがありますが、乾いた手で充分な量のクレンジング剤を、乾いた顔(体に塗ったときは腕、足など)に乗せ、30秒ほどくるくると力を入れずになじませてみましょう。それでも落ちないようであれば、クレンジングの洗浄力をあげることを検討します。
まとめ
うるおいが十分で、衰えのはじまっていない10代から20代前半の若い方のスキンケアは、予防的ケアが主となります。
それが20代後半、30代、40代、50代……と時を重ねたときの肌の礎になります。
時代とともに女性性や女性の有り方というのは変わってきています。
近頃は、「女性だけがなぜ化粧をしなければならないのか」という訴えをSNSで目にしたこともあり、賛否両論ありました。
個人的には大きなシミや深いしわがあっても、それを含め肯定的に自分の人生を捉えられるのならその人は美しいと思います。
以前何かで目にした女性厩務員の方は、化粧っけがなく、とても日に焼けていました。けれど、その方は生き生きとされていて、大変美しい女性でした。
自分がどのような道を歩むかは、若いお嬢さん方にとっては想像がつきにくいことで、思っている道と全く違う方向に行くこともあるかと思います。一般的には、まだまだ女性は美しい肌をしていた方が社会的に得をすることが多いし、なにより、自分を肯定的に捉えやすくなると思います。
将来が決まっていないからこそ、若いうちからのスキンケアを自己投資としておすすめしたく思います。
<本日の所要時間2時間>
ちなみに、「若いお嬢さん」におすすめのスキンケアと書きましたが、ニキビに悩む青少年にもおすすめのスキンケアでもあります。
青少年はお嬢さんたちと比べるとさらに皮脂量が多いので、クリームは不要かと。
日焼け止めについては、ちょっと最近の青少年の感性が分からないので、何ともいえないんですけど、できれば使わない方がいいのかな、と思います。撥水剤は油性原料なので毛穴をふさぐリスクがちょっとあがるのでね。男性がクレンジングを購入するのも勇気がいるような気がするし。あ、amazonで買うなら関係ないのか…。
どうなんだろう。
最近の若い男性たちは日には焼けたくないんだろうか。それとも、どうでもいいのだろうか。
人によるのかな?
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毎週木曜の更新を秘かに目標としていながら、さらっと2週間も空けたあげく、1日遅刻しました。
次回は今回まとめたものを使って、実際の若いお嬢さんのスキンケアプランをamazonさんの取り扱い商品で組んでみたいと思うんですけれど、もんのすごい時間がかかりそうなのと、そこまでやるのなら、机上の空論ではなく実際に製品のテクスチャーなど確かめてからやりたいような気がして。
シャンプーやボディウォッシュではなくて、顔につけるものですからね。エステティシャンの矜持が許さない……
だとすると、労力とコスト両方がかかるし、そこまでやっていいのかな? というような気もします。
ちょっと悩み中です。