ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム<クリーム>

高級クリームといえば、こちらを取り上げないわけにはいきません。

ひと昔前、お手頃価格の某超定番クリームが、こちらと成分が似ており、そのことから某定番クリームは実はスゴイ美容効果なのでは?! と話題になりました。

一時期よりも熱は冷めたような感じはしますが、ニベア神話が未だネットを中心に信仰されているのは感じます。2021年の今、実際のところどうなのか、いろんな側面から考えてみたいと思います。

ちなみに、大昔に本家ブログの方でニベア(おっと……!)の側から取り上げたことがありました。

当時の記事はこちら
「ニベア青缶=高級クリームに酷似」の真相(2015年1月)

きちんと成分表記等はしていなかったようなので、改めて詳細に見ていきます。

ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム

ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム 60ml
価格:¥31,400
※2021年6月現在 amazonでの価格

全成分(公式サイトより引用)

水・シクロペンタシロキサン・アルゲエキス・ワセリン・ジステアリン酸グリセリル・フェニルトリメチコン・BG・水添野菜油・コレステロール・シア脂・ステアレス-10・ポリシリコーン-11・ステアリン酸グリセリル(SE)・ジメチコン・コハク酸ジオクチル・ステアロイルオキシステアリン酸イソセチル・グリセリン・セタノール・スクロース・ポリアクリルアミド・グルコース・(C13,14)イソパラフィン・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル・酢酸トコフェロール・テトラヘキシルデカン酸アスコルビル・カフェイン・PCA-Na・尿素・ジパルミトイルヒドロキシプロリン・ジステアリルジモニウムクロリド・ヒアルロン酸Na・ラミナリアディギタータエキス・ラウレス-7・ライム果汁・BHT・エタノール・レシチン・EDTA-2Na・ポリクオタニウム-51・トレハロース・クリスマムマリチマムエキス・加水分解アルギン・ミクロコッカス溶解液・アッケシソウエキス・アセチルヘキサペプチド-8・プランクトンエキス・海塩・クロレラエキス・グルコースオキシダーゼ・ラクトペルオキシダーゼ・ペンチレングリコール・クレアチン・アデノシンリン酸・アセチルカルニチンHCl・シアノコバラミン・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン・ダイズ種子エキス・ムコ多糖・フェノキシエタノール・ソルビン酸K・香料

https://www.delamer.jp/product/5834/22929/moisturizers/the-moisturizing-soft-cream/face-cream-for-dry-skin#/sku/44193

次に例の超定番クリームの成分を見ていきましょう。

ニベアクリーム 大缶 169g
価格:¥436
※2021年6月現在 amazonでの価格

全成分(製品裏面より)
水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料

あれ?

あんまり似てないな。というか、全然違いますね。

2015年時に自分が書いた関連するものには成分表記がないのですが、「確かにかなり似ている」「ニベアの青缶に入っていて高級クリームに入っていないのはほんの何種類かの成分」とまで書いているので、当時は相当似ていたのかもしれません。化粧品のマイナーチェンジってけっこう短期間で繰り返されるので、5年以上経っていれば2回くらい変わっていてもおかしくないかも……。

ドゥラメールの表示3番目にアルゲエキスがあるのが印象的ですね。

アルゲエキスとは海藻エキスのことで、含まれるミネラルが保湿作用があると言われています。

タラソ発想が得意なフランスのスパ化粧品によく見られる成分です。有名どころだと、THALGO(タルゴ)とか。

関連記事:さらに別館完全に個人的なお楽しみだけに存在しているブログの過去記事です
THALGO(タルゴ)の入浴剤について

ドゥラメールが含む他の美容訴求成分もタラソやフィト発想の自然派成分が目立つのですが、かなり後半に強い作用の保湿剤であるポリクオタニウム-51や新しい抗老化剤アセチルヘキサペプチド-8などが見られます。このあたりの成分が市販品でもよく見られるようになったのはけっこう最近なので、やはりこれはリニューアルかかってますね。

全体的にはこれまでのブランドイメージそのままのナチュラルな思想に基づいていますが、一部このような科学的で高機能な成分を含んでいるようです。これは、ニベアのような数百円の製品には不可能なこと。

もはや、ニベアとこちらのクリームは別物ですが、だからといってドゥラメール ザ モイスチャライジング ソフト クリームがスキンケア効果の高いクリームということでもないと思います。

こちらはやはり、スキンケアやその時間を楽しむタイプの製品で、本当に肌を良くしたいとか、しみとかしわをどうこうしたいというニーズに対応するタイプの製品ではありませんし、それでいいのですよね。

皆が皆、化粧品に何らかの効果を切実に願っているわけではないし、そもそも化粧品の定義は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」(薬事法より)です。

ただ大事なのは、消費者が自分のニーズ(目的)を自分でちゃんとわかっていて、それを叶える製品を選ぶための情報がきちんとメーカーなりが誠実に出しているかどうかだと思います。これが、化粧品選びの難しいところなのですよね。

ちょっと脱線しつつあるので、話戻しますけれど。

同じ高級クリームカテゴリー(値段は3倍近く違うけど!)でも、前回取り上げたカネボウ ザ クリームとはずいぶん発想が違い、性能(効果)も違うクリームです。そして、ひと昔前に話題となったニベアとはすでに全く違うクリームでもあります。

なのに、なぜ未だニベア神話がそこここに息づいているのでしょうか?

成分マニアのエステティシャンとしては、そこにピンとくるものがあります。

次回、そのあたりを書いてみたいと思います。

***

美容ブログ(このブログ)の定期更新を再開するにあたって、あれこれいじったり、過去取り上げた化粧品の確認などもしてみたんですが、またなんかひと時代変わった気がします。

ニベアといえば、低価格のノンケミカルの日焼け止めが割りと良かったのですが、現在の商品ラインナップを見ると、その商品は廃番寸前か……? という風情で、わびしさを感じました。

当たり前っちゃ当たり前なんですけれど、化粧品は一般の方にはほとんど使用感で選ばれるので、科学的視点ではほんとうに肌に良かったり、すばらしいコストパフォーマンスの製品もどんどん無くなっていったりしてしまうんですよね。

日焼け止めはそれが露骨なカテゴリーで、肌のためには絶対ノンケミカルがお勧めなんですけれど、利便性やテクスチャー(質感の意味)の面でケミカルタイプに劣ることが多いうえ、価格も劣勢なのでどんどん無くなっていってしまいます。

一方で、10年超のエステティシャンの臨床経験からすると、日焼け止めの肌負担によるトラブルはほんとうに多くて、ですね。

何ともない人はそれ(ケミカルタイプ)でいいんですけれど、毎年夏から秋に肌荒れとか肌不調で悩んだり憂鬱になってしまう人には、「日焼け止めはノンケミカルにして!!!!」と、声を大にしてお伝えしたいのです。

あとね、それ以外の美容液でもクリームでも、スキンケアを楽しんでいる方には何を使ってもらってもいいんですけれど、肌に悩みがあって化粧品ジプシーを通り越して難民になっている方には、「俺のところに来いよ!」と両手を広げてお伝えしたいです。

ほんと、そんな高いお金出さなくっても良くなることって、いっぱいあるんすよ。

誠実に良い商品つくっている素晴らしいメーカーさんって、中小企業でいっぱいあるんすよーーーー(魂の叫び)

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