皮膚科学発想の保湿スキンケア~理論編~

ついに暖房のお世話になる季節になりました。

そうなると、湿度計が50を切っているのをしばしば見かけますし、ひどいときは30%台なんてことも……加湿器がついているっていうのにね。

だいたい11月から2月くらいまでの、お肌に過酷な乾燥シーズン。

今日はスキンケアの基本である乾燥ケア、保湿ケアについてまとめたいと思います。

お肌のうるおいってそもそも何のことだろう

そもそも、「お肌のうるおい」とはいったい何のことでしょうか。ほっぺたをさわったときに、ぽちゃぽちゃする感じのことでしょうか。それとも表面が滑らかでかさかさしていないことでしょうか?

皮膚の構造上お肌のうるおいとは、”角質層の水分量”のことです。

角質層はお肌のいちばんうえの部分で、平均的な厚さは0.03ミリ。そして約30%水分が含まれています。

この約30%のうるおいを守り続けられるかどうかが、肌が乾燥するかどうかのポイントです。

角質層の水分は約80%が細胞間脂質によって守られており、17~18%ほどが天然保湿因子によって、そして残り2~3%ほどが皮脂を中心に形成される皮脂膜によって守られています。

乾燥肌は敏感肌へのステップ

このようにお肌には本来うるおいを守るしくみ、物質(成分)がありますが、これが加齢や環境、体調などさまざまな理由で衰えたり、バランスを崩したりしてしまいます。そうして水分が30%から低下した状態が乾燥肌です。

表皮は肌への異物侵入や外的刺激から守るためにうるおいを保っているため、肌が乾燥すると必然的に敏感な状態になります。こすれなどの物理的な刺激や、化粧品に含まれる美容成分や添加剤、ときには水にふれるだけでもその刺激に耐えられなくなり、炎症を起こしてかゆくなったり赤くなったりします。この状態が敏感肌です。

よって、敏感肌とはもともとの性質によるものではなく、大半は乾燥肌によって引き起こされる2次的な状態です。アレルギーが原因でない敏感肌は、表皮の水分量を十分にすることによって改善します。

※化粧品を塗って少し経ってから起こる(多いのは12時間後から48時間後くらいだそうです。早めだと5,6時間後という場合も)、腫れや湿疹などの症状はアレルギー反応の可能性があります。また、特定の成分を使うといつも同じ不快な症状が出るときも、同じくアレルギーが心配されます。そのような症状が見られるときは乾燥肌による敏感肌とは違うので、すみやかに皮膚科医に相談しましょう!

乾燥肌に有効なのは 元もと肌にあるうるおい成分を補給すること

角質層の水分は細胞間脂質(80%)、天然保湿因子(20%弱)、皮脂や汗などによって形成される皮脂膜(2-3%)によって守られていると書きました。

肌が乾燥しているということは、それらがうまく働いていないか損なわれているために起きているので、それらを補ってあげれば良い――理論的にはそういうことになります。

細胞間脂質で特に水分保持とかかわりの強いのはセラミドⅡ。

天然保湿因子の主成分はアミノ酸、その他にPCA、乳酸ナトリウム、尿素などが含まれています。

皮脂膜は皮表脂質と汗によって形成されていますが、皮表脂質の主はトリグリセリド、それにワックスエステル、脂肪酸、スクワレン、ジグリセリド、コレステロールなどがつづきます。

ただ、皮脂腺から分泌される皮脂については角質層水分量に比べて低下する年齢が遅く、女性の場合40代くらいから、男性の場合50代くらいからというデータもあり、もともと水分量を守るためにたった数パーセントしか寄与していないことが分かっているため、積極的に取り入れるべき成分ではないかもしれません。

かつて、化粧品の保湿成分の主役は油分でした。今も安価な化粧品や、効果を重視していない製品ではそのような傾向が強く残っています。

それは、このような肌のしくみが解明されていないためだったようです。

まとめ

肌のうるおいとは、角質層に含まれる約30%の水分量のこと。

乾燥肌にならないためには、この水分を死守することです。

角質層の水分は約8割が細胞間脂質によって、2割弱が天然保湿因子によって、そして残り2-3%程度が皮脂を中心とする皮脂膜によって守られています。

乾燥肌のケアには第一に角質細胞間脂質を補給すること。そして、補佐的に天然保湿因子を取り入れるとOK!

理論的にはそういうことになりますが、現実には大きな問題が……。

次回、実践的な科学的保湿ケアを書きたいと思います。

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皮膚科学発想の保湿スキンケア~実践編~

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