夏が本格化してきましたね。
私の住まう札幌はここ数年に比べると北海道らしい夏です。今のところは。
ただ体感的な湿度は昔に比べるとやはり高く、気温が低くても蒸し蒸ししているのは否めません。この程度で文句を言ってはいろんな方面から怒られそうですけれどね。
さて。
サロンで拝見していると、お客様のお肌にも夏の特徴が目立つようになってきました。
今日は大人の肌に向けた夏のスキンケアポイントをまとめたいと思います。
確実な紫外線対策をする
美容に関心のある方にとっては常識といって良いくらいの基礎的ケアですが、正しく効果的な紫外線対策となると案外難しいもの。あらためて大切なポイントをまとめます
紫外線防止効果のある下地か日焼け止めを必ず毎日使う
日傘や帽子だけでは不十分です。特に建物が多い都市部では紫外線は上から下に降り注ぐ直射光よりも周囲に反射して四方八方に注ぐ散乱光の方が量が多いのです。
近ごろ明らかになってきたのですが、しみだけでなく、しわやたるみの主犯も加齢でなく紫外線だと言われはじめています。少なくともお顔には必ず紫外線防止効果のある下地か日焼け止めを塗りましょう。
また、紫外線B波は窓ガラスを通ることができませんが、A波は余裕で透過します。しみ、しわ、たるみは主犯がA波です。美容の観点からは室内にいるときもお顔だけには塗った方が無難です。
参考記事:
化粧下地の選び方、考え方
お顔に対し、大きめのパール粒2粒分、または1円玉大が正しい使用量
表記のSPF値は、1平方センチメートルあたり0.4mgという量でテストされた紫外線B波の防止効果です。数値にされちゃうとどのくらいの量なのかイメージつきにくいと思うのですが、
びっくりするぐらいの厚塗りです
つまり、そのくらい塗らないと、塗ったところで製品が想定している紫外線防止効果は得られません。
質感(テクスチャー)が重めの日焼け止めならパール粒2粒分、さらっとした軽めのものなら1円玉大使いましょう。
逆説的になりますが、そのくらい厚塗りできない質感のもの……つまり、液状に近いようなジェルや、物理的に厚塗りが不可能なパウダーは表記の性能は引き出せないと考えてもらって良いです。
確実な紫外線対策のためにはクリーム状の、やや質感が重めな日焼け止めを選んでください。
ノンケミカルの方が肌に負担が少なく、紫外線をカットする仕組み上、薄塗になってしまっても焼けにくいです。
化粧水だけのスキンケアはしない
暑くなってくると美容液やクリームのベタツキが不快だったり、何回も化粧品を付けるのが面倒だったりします。
シャワーのあとパッと化粧水だけつけてそれっきり……なんてこともよくありますよね。私もです。
30代半ばくらいまでなら肌の基礎力がそこまで衰えてないので、ひと夏くらいそんなことがあっても良いかもしれません。
30代後半からはそろそろ賢く手抜きしましょう。
何か一つしか付けられないのなら、クリームまたは美容液にしましょう。
優秀な美容成分は油に溶ける性質のもの(油溶性)が多く、クリームに濃度が高く含まれる傾向があります。これは、化粧水や美容液のベースとなる材料が「水」なのに対して、クリームは水+油性原料がベースになるので、油溶性の成分が混ぜやすいためです。
特に化粧水は95%以上が基材の水であるケースが大半で、クレンジングや洗顔後の肌を整えて次の美容液やクリームを塗りやすくする目的で使います。
中には基材が水ではなく保湿成分という珍しい化粧水がありますが、2024年現在でもまだかなり稀です。
シャワーの後にパシャっと化粧水をつけるのは気持ちが良いものですが、大人の肌には気持ち良さだけでなく投資も必要です。どうしても面倒なときや手をかけられないときは、クリームをまず選択肢に考えましょう。
美容液は基材が水のことが多いですが、化粧水に比べると美容成分の濃度を高く含んでいる傾向があります。ただ美容液はクリームに比べてもそのつくりは多彩で製品によります。
逆に乳液はほとんどが基材(水と油性原料)とエモリエント成分で、美容成分は含みません。市販の乳液はそのエモリエント成分を美容成分として扱い、「90%以上美容成分」などと謳っていたリします。エモリエント成分……表面を柔らかく、滑らかな手触りにする成分を美容成分とするかどうかは、考え方が分かれるところだとは思いますが、少なくともエステ領域では美容成分ではありません。それを裏付けるように、乳液というカテゴリーの化粧品は業務用製品にはほとんどありません。テクスチャーの緩めなクリームはありますけれど、乳液とはけっこう組成が違っていて、やはり「クリーム」です。
べたつきや質感の重さがどうにも受け入れがたいのなら、夏場だけクリームの種類を変えるのもアリです。皮脂や汗が主となる皮脂膜はお肌のうるおいを守るのにたった2,3%しか担っていません。油分を足すことが重要なのではありません。
各種セラミドや、セラミド類似成分、低分子コラーゲン、アセチル化したヒアルロン酸などの水を抱え込んで逃さないタイプの保湿剤がたっぷり入ったものであれば、油分は抑えても大丈夫な人が多いです。油性のべたつきが気になるのなら、クリームの変更も考えてみてください。
ちなみに、ヒアルロン酸は濃度が高いものは独特のぺたつきがありますし、コラーゲンも種類と濃度によってはべたつきます。油性のべたつきは違いますが、そのあたりは肌への投資と思い、目をつむっていただくのも賢いやりすごし方です。
性能、価格、使用感すべてにおいてパーフェクトなものはなかなかないので、30代後半くらいからは性能に重きを置いてスキンケア化粧品を選んでおくと、10年後くらいからその判断を心から喜べるようになると思います。
こすらない、マッサージしない
暑くなってくると角栓が気になったり、むくみや血圧の低下などでくすんで顔色が悪く見えやすくなるのでついクレンジングの時にマッサージをしたり、クリームや乳液をぬるときにマッサージをしたくなったりすることもあると思います。
大人の肌にマッサージはご法度です
こすると肌表面が茶色く変色(色素沈着)しますし、それ以上に深刻なのはたるみやしわを誘発します。
たるみやしわはどの部位であろうと、根本的には肌の一番下の部分──真皮組織の劣化です。これは加齢や紫外線ダメージで弱るだけでなく、マッサージなどの物理刺激でも傷みます。
マッサージ自体はむくみの解消や血行促進に有効ですが、同時にそういったリスクがあります。
2024年現在でも真皮組織の劣化へのアプローチはとても難しく、どうしても、となると最終的には形成外科での施術しか方法がありません。なので、何よりも予防が重要な領域です。
たるみやしわの悩みが本格化してくるのは、だいたい50代半ば頃から。
30代後半ごろからはそこを見据えた予防的ケアをはじめて欲しいところです。
たるみやしわが強く出てくるとお顔の印象が大きく変わるので、ご自身でも「老けたなぁ」とはっきり感じやすいですし、家族やお友達、仕事関係の人に「昔はきれいだったのにね」と言われかねません。これは、なんというか……最終的にはメンタルヘルスに関わる問題です。
若々しい印象を保つ方が自分的にも社会的にもいいことが多いものです。
ぜひそのためのひとつとして、今からすぐにマッサージはやめてください。
むくみや筋肉のアプローチをどうしても行いたいときは、肌へダメージを抑えることができる専用の化粧品や美容機器を活用します。
まとめ
大人の肌の夏のスキンケアポイントは以下のとおり。
- 確実な紫外線対策
- 化粧水だけのスキンケアは止める
- こすらない、マッサージしない
冬場とは違った点で肌には過酷な季節ですが、しっかりスキンケアしながら季節を楽しんでいただければと思います。
しわやたるみが深刻になってからでは、本当にできることが少ないので、予防的投資が大切です。