増コスト0で今すぐできる、肌の乾燥対策

湿度が下がってきましたね。

私の住まう札幌はすでに室内は40%台がデフォルトです。

対策なしだと30%台を見かけることも……オソロシイ。

定期的に拝見させていただいているクライアントにも、顕著に乾燥傾向が見られるようになってきました。

今日はコスト増ゼロ、何も買い足さず、手持ちのスキンケアアイテムを変えずにできる肌の乾燥ケアをご紹介したいと思います。

使っている化粧品を全体的に増量する

お使いの化粧水や美容液、クリームの使用量を増やすという超カンタンな技です。

簡単ではありますが、実はそれが有効な背景がちゃんとあります。

消費者が毎日のスキンケアに使用しているスキンケア化粧品の量は、メーカーが想定している量の1/2から1/3程度に留まっているというデータがあります。

つまり、メーカーが推奨している量よりも実際は遥かに少ないことが多いのですよね。

私は長年サロンを運営しており、10年以上のお付き合いをいただいているクライアントも少なくありませんが、そのような美意識が高く、スキンケアにも関心が高い方たちでさえ定期的にお声がけさせていただかないと、いつの間にか使用量が大分推奨量よりも減ってしまっています。

かくいう私もそうです。

分かっていても、日々の忙しさに流されて……または、節約意識が高じて、つい使用量を控えめにしてしまうのが人心というものだと思います。

それで問題がないのなら別に悪いことでないと思いますが、肌のコンディションが気になってきたら使用量が減っていないか確認してみてくださいね。

ところで、化粧品のパッケージの裏書には「適量使用する」と書いてあることが多いですが、この適量とは一体どのぐらいでしょうか。

製品と使う人の顔の大きさによって多少違いますが、

化粧水=500円玉大

美容液=さくらんぼ大

クリーム=パール粒大2つ、またはさくらんぼ大

だいたいこのぐらいを1回分の使用量の目安にしておくと良いと思います。

このぐらいで使っていくと、化粧品の減り具合はどうなっていくかというと……

タンク式のクリームであれば最も一般的な容量は30gですが、30gは1か月で使いきるくらいです。

化粧水はテクスチャー(質感)によってずいぶん違いますし、容量も製品による幅がかなりあります。よく見る容器容量としては100ml~220mlくらいかと思います。大体1か月あたり120ml程度使うと1回500円玉大くらいになるでしょう。

ちなみに、使用量を増やす際は美容液とクリームを特に意識すると有効です。

心情的にも行程的にも増やしやすいのは化粧水だと思うのですが、化粧水は90%以上がただの水なので増やしたところでちょっとふやけやすくなるだけです。

それに対し、美容液やクリームは基材に対する美容訴求成分の含有量が多くなっているので、肌に働きかける力が強いです。

手持ちのクリームでパックをする

近ごろはホームケアのパックとしてはシートパックが主流ですが、シートパックはパックのなかでは「手軽である」「扱いやすい」という利便性の観点ではメリットが目立ちますが、スキンケア効果からはエタノールの含有量が高いことや、シートに薄い不織布が採用されていることが多いなどデメリットやリスクが目立ちます。

今も昔も保湿ケアとして最高のパックは「石膏パック」です。

ただ、石膏パックはホームケアとして重要な「手軽さ・やりやすさ」という要素をすべて投げ捨ててしまっています。

また、誤って直接肌につけてしまうとトラブルを起こすなど扱いが難しいため、今やエステサロンでも避けられることが少なくありません。業務用パック剤の主流もジェル、クリームになっています。

そこで私はお手持ちのクリームによる、クリームパックをご提案したいと思います。

いつもスキンケアに使っているクリームを2倍~3倍程度、お顔に塗ったくります。

そしてその、ぬらぬらな状態のまま寝るだけという超簡単なケアです。

さらに効果を増すなら、塗ったくったあと、口と鼻の部分を避けてラップで覆い、7~8分程度放置します。ラップは包帯状にはさみで切り、横向きにフェイスラインを引き上げるようにして貼り付けると良いです。リフトアップ効果も望めます。

翌朝はいつもどおり洗顔をし、スキンケアをするだけでOKです。

簡単です。何も買い足す必要はありません。

でもびっくりするぐらい効果があります。

いくつか注意する点を上げるとすれば、

クリームに保湿成分が含まれていること、抗老化成分である高濃度のレチノールやメラニン還元効果のあるハイドロキノンなど、まぶたの上に塗るには適していない成分を含んでいないこと、などを確認しましょう。

一般流通品を使用している場合はそんなに気にする必要はないと思いますが、業務用メーカーの製品などを使用しているとクリームはけっこうその作りが多彩です。購入元に確認してください。

あと些末なことですが、ぬらぬらで眠ると枕やその周辺を汚すことは必至なので、枕にはぜひフェイスタオルを1枚敷いてください。

あと、大事なことですが、クリームをたっぷり塗るというのはけっこう勇気が要ります。

トーストにいつもの倍バターを塗るのと同じか、それ以上に勇気が要ります。

これは、エステなんだ。

ただの日常のスキンケアじゃない。セルフエステだ。

そういう強い意志をもって己を奮い立たせ、怯まず、ぬっらぬら、テッカテカに光るぐらい塗ってください。

高級クリームを使用している場合は心が折れやすいと思いますので、パック用に安価なクリームを用意すると心理的負担が少ないかもしれませんね。こういうご時世なので余計なストレスは抱えずに済む手段を採用して欲しいと思います。勇気の無駄遣いはいけません。

買い足さず、何も変えずに今すぐできる肌の乾燥ケア まとめ

美容液、クリームの使用量を増やす

お休みの前日など週1回程度、手持ちのクリームでパックをして寝る

いずれも簡単でありながら、職歴10年超のエステティシャンが自信を持ってお勧めできるアプローチです。

ぜひお試しくださいね。

化粧品業界の今と美容ケアの今後

近頃更新頻度がとみに落ちてしまっているのですが、それは私自身が美容ケアのあり方や化粧品の選び方に迷ってしまっているから。2年以上という長期に渡るコロナ禍を経て、さらには、とても21世紀のこととは思えないような不条理な暴悪があり……今なお罪なき人びとが苦しんでいるという、とんでもない時代です。

エステやスキンケアのような美容的ケアって、豊かさが前提なんですよね。

だから、古代から中世はごく一部の社会的地位の高い人や、経済的に豊かな人しかなじみがなかったわけです。

日本では、いわゆる美容ケアの原型のようなものが庶民にまで広がったのは、江戸時代中期だと言われています。江戸時代は、ご存じのとおり約三百年間という長きにわたって戦乱のない、世界的に見ても稀な平穏な時代です。多少の事件や災禍はあっても、豊かな社会があったからこそ庶民もそういうものに手をだす事ができたのですよね。

いつの時代のどの国でも無くなることはないものの、社会や時代によってごく一部の人のために存在するものか、広く庶民にまで親しまれるものか変化する左右するという点では、芸術分野と同じ要素があるのかもしれません。

今はそのベースとなる社会が急激に変わりつつあるし、先の方向も見えにくい。

いったい、これからの世の中で美容ケアというのものは、どんな人たちにどんな風に必要とされるのでしょうね。

今とても悩んでいます。

私は今の職……フリーのエステティシャンになって今年で17年目なのですが、この間ずっと化粧品は科学的観点で、お肌に本当に必要なケアを行えるものを扱ってきました。だからこのブログのタイトルは『皮膚科学の視点でスキンケアを考える』なのですが、こうなってくるともはやこういう考え方自体が時代に合ってきていないように思えます。これもやはり豊かな社会が前提の考え方です。

化粧品業界も今は本当に大変です。コロナによって人と会うことや関わることが制限され、そのうえマスク生活ですから、スキンケアやメーキャップの必要性そのものが低下してしまいました。

業績が悪化しているうえに、化粧品に使われる原材料の高騰や、海外のロックダウンの影響などによって容器類が入ってこなかったり、いろいろあるようです。長く化粧品・エステ業界の末席に身を置いて生きていますが、製品の製造終了、ブランドの統廃合など業界の動きはこれまで見たことがないくらいめまぐるしい。

今に、もしかすると「化粧品を選ぶ」ということ自体ができなくなる……とまではいかなくても、選択肢はこれまでの豊かな時代よりもずっと乏しくなるかもしれない。まあ、そもそもニーズが低下しているし、そういうものにお金や時間をかけられない人も増えてくるのだから、広い意味で「淘汰」といえばそれまでかもしれませんけれど、ね。帰趨がそうならそれで、構わないんですけれど。

ぐだぐだ言っていますが、今はまだこの業界に身を置いている訳です。なので、悩んでいるだけではどうしようもないので、いろいろ、あれこれ考えて動きだしてはいます。

その一環で、これまでとは少し違った視点で化粧品を見つめ、掘り起こし、試用していたのですがその影響ですっかり肌が荒れてしまいました。

エステティシャンになったばかりの頃もものすごい種類の化粧品を試しましたが、あの時は20代だったから無茶な試用にも耐えられたんだよなあ……と、ちょっと白目を剥いてしまいます。

まあ、たとえ生物学的には衰えていても今の40代の自分の方がしっくりきているし、好きですけれどね。

そんなこんなで(すごい乱暴な総括……)化粧品や美容ケアのことについて、「こんなことを知りたい」「こんなことが気になっている」なんてことがありましたら、ぜひお教えください。

ブログにコメントいただいても嬉しいですし、クローズドの方がよければ個人的にメールいただいたり、リアル店舗のお客様はお会いした際にでも、何でもお声かけてもらえると嬉しいです。

ちなみに、こんな生業で、こんなことを言っている私は、休日は髪ぼさぼさ、すっぴんで部屋着がデフォルト。しかも、できればそのまま一歩も外に出たくないです。

仕事柄、もしくはアラフォーの社会人として人様に不快な思いをさせないよう、仕事のときはなるべく外見を整えるように心掛けていますが、本来的には自分の外見に興味は薄く、人様からどう見られるか、ということに関心は薄いです。それよりも本を読んだり、分析したり、考えをまとめたりすることの方が自分にはよほど重要なので。

一般にイメージされるようなエステティシャンとはちょっと違っているかもしれません。だからこそ、どんな些細なことでも気兼ねなく、おしゃっていただければ思います。

なんかエステティシャンって美意識高そう(笑)じゃないですか。確かに、実際そういう人も多いんですけれど……自分は全然違うので、ものすごい基本的なこととか、初歩的なこともご質問いただいたりすると嬉しいし、面白いです。

最後に宣伝入れておきましょうか。

科学的視点で化粧品をお選びしています。
業務用メーカー製品を優先的にご紹介しているので、お値段のわりに高いスキンケア効果が得られると長年、たくさんの方にご愛用いただいています。

恥ずかしがり屋さんや、お忙しいあなたにはセット商品がおすすめ。

ざらつき、くすみ、吹きでものができにくい土台肌をつくる、クレンジングと洗顔のセット。

根拠ある有用性の高いスキンケアに興味が出てきたときは、まずはこちらのセットを。
化粧水、美容液、クリームがセットになっており、約2ヶ月お使いいただけます。

オンラインショップでは、この他にもニキビケアセットや、きほんの抗老化ケアセットなどさまざま商品を取り揃えています。

また、カウンセリング後は、個別にクレンジングだけ、洗顔だけ、美容液などもご購入いただけます。

皮膚科学発想の対にきび スキンケア

近ごろお客様のお子さんたちが大きくなってきて、中高生とか、大学生なんですよね。

あれ……おかしいな、この前まで幼稚園行っていたような?(真剣)とかうっかり思ってしまうのですが、15年も営業していれば、そりゃそうなんですよね。

その当たり前の事実におののく今日この頃なのです。

それはそうと、中高生や大学生のお坊ちゃん、お嬢さんたちを持つお母さま方のお肌の悩みといえばお子さんたちのニキビです。

大人にとってスキンケアは、娯楽でも義務でもなんでも個人の好きなように位置付けていいと思うんですけれど、若年層のニキビケアだけはちょっと毛色が違うと思います。

にきびがあることで人と対するのに気おくれしてしまったり、時にからかわれたり、ヘンテコなあだなや不名誉な通り名のきっかけになったり……大げさでなく、青年期の自己肯定感を損なう一因になりかねない。

たかがニキビごときで、多感な時期に余分に精神衛生を損なうなんて、そんな不幸は断じて許しません。

親は選べないけど(息子よコモン以下の親ですまない……)自分の人生を損なうリスクの内、コントロールできるものは積極的に潰していきたいものです。

直接的だろうと間接的だろうと、にきびによって心に傷を負うことを撲滅するのが、わたくしの使命の一つです。

今日はにきびが出来にくい肌、出来ても治りやすい肌、跡を残さない肌の作り方について書きます。

にきびはこうやってできる

1.角質が厚くなる

2.厚くなった角質によって毛穴がふさがれる

3.その中で、皮脂などの油分をエサに常在菌であるアクネ菌が異常繁殖する

にきび(大人の場合は吹き出もの)ができる原因は種々ありますが、順序は必ずこうです。

そのため、にきびを作りにくくするための最重要ポイントは角質を厚くしないこと。

そしてそのうえで、余計な油分を増やさない、皮脂が過剰ならコントロールすることが大切です。

必ず必要な成分は AHA・VC

角質を厚くしないことが最重要ポイントと書きましたが、実は角質が厚くなる原因は未だよく分かっていません。

肌の乾燥やホルモンバランス等のコンディションの他、ストレス、睡眠時間、食生活などの条件もあると言われています。また、もともと角質が厚くなりやすい人とそうでもない人もいるようです。

そのため、角質を厚くしないとは、厚くなることを予防するのではなく、厚くなったものを適切にケアする(薄くする)方が現実的です。

角質を分解する化粧品はいろいろありますが、やはりお勧めは肌を傷めにくい洗顔料タイプ。

特に、にきび予防のために使う場合は酵素ではなく、AHA(フルーツ酸、グリコール酸、乳酸など)を強くお勧めします。酵素は角質分解効果がマイルドなものが多く、十分な効果を得られないことがあります。フルーツ酸とグリコール酸が入っていて、濃度が3%から5%程度の、固形せっけんか泡で出てくるタイプの洗顔料がおすすめです。

そして、十分なピーリング効果のある洗顔料と同時に欠かせないのが、ビタミンCが入っている化粧水か美容液。

若いお嬢さんやお坊ちゃんなら手ごろなお値段になりやすい化粧水の方が使いやすいかもしれません。

VCが入っている化粧品を選ぶときに重要なのは、ビタミンCそのものでなく、ビタミンC誘導体が入っているものを選ぶことです。

VCには、代表的なシミや色素沈着を予防する作用の他、過酸化抑制や余計な皮脂を抑える作用もあります。このように、さまざまな美容作用を持ち、美容皮膚科やエステサロンでも必ず使われる大変優れた成分であるビタミンCですが、実はとんでもない致命的な弱点があります。

それは、安定性が悪いこと。

そのため、塗布するために使う化粧品に含まれるVCは安定性の増した誘導体の形でなければいけません。誘導体にもさまざまな種類がありますが、体内で酵素によって少しずつ分解されるタイプや、皮脂と混ざって浸透して分解されるタイプなどがあります。

できれば、油に溶ける性質の油溶性のVC誘導体が非常に安定性が高いので、それらを含む製品がベストです。

VC(成分名はアスコルビン酸)そのものしか含まない化粧水や美容液は、イオン導入等の美容機器と併用することではじめて意義のあるものなので避けます。

水を抱え込む性質の保湿剤が入った化粧品も用意しよう

二十代半ばくらいまでだと、肌の油分は当然、水分量もまだそこまで低下していないことが多いです。

そのため、さほど強力な保湿成分は必要ありませんが、角質をケアすると肌が少し乾燥しやすくなりますし、秋冬などはどうしても空気に水分が奪われますし、肌が乾燥することそのものが角質を厚くする原因のひとつなので、やはり保湿剤も用意した方が良いです。

大人の場合は、角質細胞間脂質を含むことが鉄則ですが、にきびケアのための保湿剤なら、ヒアルロン酸やコラーゲンなど水分を抱え込む性質の保湿剤でも良いかと思います。

ただ、やはりどの成分にも言えることですが、なるべく濃度が高いものがいいです。

ヒアルロン酸やコラーゲンは分子が大きい成分なので、加水分解されて分子が小さくなっているものや、アセチル基が導入されて水に強くなっているものだとさらに性能が良いです。

化粧品の形状は美容液やクリームが濃度が高くなりやすく、近頃はクリームであっても基材が水ベースのものが多いので、油分過剰にはなりにくいはずです。

皮膚科学発想の対にきびスキンケア まとめ

AHA(フルーツ酸とグリコール酸がベスト)を3%から5%程度含む固形せっけんか、フォームタイプの洗顔料とVC誘導体を含む化粧水か美容液、そして、ヒアルロン酸やコラーゲン等の水をたくさん抱え込む性質の保湿剤を含むクリームなどを用意します。

夜だけ洗顔料でまぶたの上をさけて顔全体を泡パックするように泡をひろげ、30秒ほど置いたのちすすぎ流します。

パックが面倒な人は、ちょっとていねいな洗顔ぐらいでもかまいません。それでも全然効果ある。AHA使うだけで全然違う。

その後、化粧水か美容液で十分VC誘導体をとりいれ、保湿剤で保湿します。

朝はぬるま湯で流すだけでもいいし、皮脂量が多い人はビオレでもunoでも牛乳せっけんでもなんでもかまいません。むしろ、皮膜形成剤が入っている洗顔料なら、牛乳せっけんの方がいいくらいだ。

どの界面活性剤でも必ず皮脂は落ちます。ぶっちゃけ、ぬるま湯だけでもけっこう落ちます。

このスキンケアを最低2か月は続けてみてください。

マジでにきび出来にくくなるし、出来てもすぐ無くなるから…… 跡も残らないから……

以上、ガチ勢エステティシャンがお送りする、ガチで効果のある対にきびスキンケアでございました。

にきびに人生狂わされる若者がいなくなりますように。

***

化粧品の選び方をお伝えするのは簡単なんですけれど、実際の難しいところは星の数ほどある化粧品から、それを見つけ出すことなんですよね。成分表示はあっても、実際に使ってみないと濃度とかは分かりにくいことが多いです。

濃度がきちんと書かれているのはメーカーさんの自信の証拠。あとは医薬部外品は効能を謳うときに対象の成分の濃度規定があるので、それも手がかりになります。

ちなみに、この書いたとおりの対にきびケアを実践するための基礎化粧品を私の方でもご紹介しているのですが、なんせお値段が安いとは言えないので、若い方にお勧めするのは忍びないです。

大人の、自分で自分の責任を取れる人には自信を持ってお勧めいたしますけれど。

一応、リンク貼っておきましょうか。

毎週土曜更新を目標にして早々に脱落しました。

なんか、ネット、デジタル関係のトラブルが頻発しています。

光回線も開通日当日に急に落ちたし。本家ブログは急にAレコードの設定とやらが必要になって、しばらく落ちたままだったし。

昨日のドコモの通信障害も例外なく影響受けました。

デュアルSIMで2枚SIM入っているんですけど、どっちもドコモで、どっちも死んだという……。正式にはdocomo回線のMVNOですけど、なんにせよ昨日はスマフォーがただのヒンヤリした平べったい四角と化しておりました。

スキンケアにクリームを使った方が良い理由

ニベア 某超定番クリームは高級クリームばりに美容効果が高い、某超定番クリームに〇〇を混ぜるとしみが消えるなど、6~7年ほど前からザワザワしはじめ、一時より熱は冷めたものの、逆に定着した感のある、ニベア……いや、超定番クリームにまつわるあれこれ。

なぜこのような話が出てきたのでしょうか。そして、実際のところニベアを日常の顔の手入れに用いることによって、美容効果は得られるのでしょうか。

そもそもフェイスクリームってなんだろう

油分でフタをして水分蒸発をふせぐ、という考え方はすでに古いものになっており、うるおいを守る(増やす)という点では別にクリームというアイテムそのものが有効ということはありません。

参考:肌のうるおいが守られている仕組み

肌の一番うえの部分、角質層の水分のうち、約80%ほどが角質細胞間脂質に、残り20%弱がNMF(天然保湿因子)によって守られており、皮脂によって守られているのはたった2,3%ほどです。

https://skin-care.page/2020/03/01/473828073-html/(当ブログ内過去記事より)

皮脂(油分)が担っているのはたった2~3パーセントなのですよね。

はたらきの良い美容成分は油溶性(そのまま、油に溶けるという意味)のものが多いこと、クリームは基材が水と油性原料のため、油溶性の美容成分の濃度が高くなりやすこと。そのため、スキンケアに効果を求める場合は、要となる、最重要アイテムです。化粧水なんかよりはずっと大事だし、場合によっては美容液よりも大切です。

どんなクリームでもレスキューアイテムになりうる

年齢とともに肌のうるおいは基礎水準が落ちていくので、たいていの方が乾燥肌になっていきます。乾燥肌になってくると、肌をまもる仕組みであるバリア機能が弱くなっているので、些細なことでかゆくなったり、赤くなったりと肌荒れを起こしやすくなります。

このようなときは、化粧品がしみたりするのを怖がって何もつけなくなったり、肌への負担が少なそうなイメージのある化粧水だけをつけたりする人が多いようなのですが、実はそういう時にいちばん肌を労わってくれるのもクリーム。

クリームは基材に必ず油性原料も使われており、基材が水であることが大半の化粧水や美容液に比べると肌あたりが柔らかいので、傷んだ肌を守ってくれます。最近は基材(そのまま土台になるもの)に水がかなり使われているものも多いのですが、特に基材における油性原料の含有量が多いものはその傾向が強いのです。

ニベアの美肌効果の真相は

ズバリ、普段のスキンケアにクリームを使っていない人が多く、慢性的な乾燥肌とそれにともなう軽い肌荒れ状態にある人が多いから──ではないかと思います。

スキンケアアイテムにおける、クリームの役割、働きはご紹介したとおり。

毎日のスキンケアが化粧水だけだったり、化粧水と乳液だけだったりする人が、ニベアのようなこってりした油性原料たっぷりのクリームをつけると、びっくりするぐらい肌の調子が良くなることは十分にあり得ます。油性原料は肌の細かい傷をラップのように包んで守ってくれますので、その間に人間がもともと持っている恒常性によって肌の修復が進むというわけです。

みずみずしいものが肌によいとは限らない

化粧水はその90%超がただの水です。そのみずみずしさや、さっと肌になじむような感触が(実際は違うこともある)心地良いのは確かですが、残念ながら、必ずしも心地よい・気持ち良い=肌によいではないです。

年齢が若く、まだまだ肌そのもののポテンシャルが高い人は娯楽的位置づけで化粧品を選び、楽しむのも良いと思います。しかし、ある程度の年齢になってくると、心地よさも欲しいけれどそれ以上に肌にとって良いものを使いたくなるもの。

もし、肌の調子がすぐれない、気になることがあって、普段のスキンケアに化粧水のようなさらりとした液状のものや、ジェル状のもの、軽いテクスチャーの化粧品しか使っていないのなら、まずはこってりしたクリームを試してみてください。

しかも、冷房や汗のために隠れ乾燥が進行しがちな夏こそ、その効果を体感できるはず。

夜たっぷりとクリームを塗って、朝はしっかり洗顔すればアラ不思議。

普段と違う自分の肌に出会えるかもしません。


Amazonで1500円以下の日焼け止め、160点のなかから成分を確認し、「これは……!」と思ったものを取り寄せ、実際に試用したうえで厳選して3点の優れものを紹介しています。


PDF版
WEB版

ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム<クリーム>

高級クリームといえば、こちらを取り上げないわけにはいきません。

ひと昔前、お手頃価格の某超定番クリームが、こちらと成分が似ており、そのことから某定番クリームは実はスゴイ美容効果なのでは?! と話題になりました。

一時期よりも熱は冷めたような感じはしますが、ニベア神話が未だネットを中心に信仰されているのは感じます。2021年の今、実際のところどうなのか、いろんな側面から考えてみたいと思います。

ちなみに、大昔に本家ブログの方でニベア(おっと……!)の側から取り上げたことがありました。

当時の記事はこちら
「ニベア青缶=高級クリームに酷似」の真相(2015年1月)

きちんと成分表記等はしていなかったようなので、改めて詳細に見ていきます。

ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム

ドゥラメール(DE LA MER) ザ モイスチャライジング ソフト クリーム 60ml
価格:¥31,400
※2021年6月現在 amazonでの価格

全成分(公式サイトより引用)

水・シクロペンタシロキサン・アルゲエキス・ワセリン・ジステアリン酸グリセリル・フェニルトリメチコン・BG・水添野菜油・コレステロール・シア脂・ステアレス-10・ポリシリコーン-11・ステアリン酸グリセリル(SE)・ジメチコン・コハク酸ジオクチル・ステアロイルオキシステアリン酸イソセチル・グリセリン・セタノール・スクロース・ポリアクリルアミド・グルコース・(C13,14)イソパラフィン・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル・酢酸トコフェロール・テトラヘキシルデカン酸アスコルビル・カフェイン・PCA-Na・尿素・ジパルミトイルヒドロキシプロリン・ジステアリルジモニウムクロリド・ヒアルロン酸Na・ラミナリアディギタータエキス・ラウレス-7・ライム果汁・BHT・エタノール・レシチン・EDTA-2Na・ポリクオタニウム-51・トレハロース・クリスマムマリチマムエキス・加水分解アルギン・ミクロコッカス溶解液・アッケシソウエキス・アセチルヘキサペプチド-8・プランクトンエキス・海塩・クロレラエキス・グルコースオキシダーゼ・ラクトペルオキシダーゼ・ペンチレングリコール・クレアチン・アデノシンリン酸・アセチルカルニチンHCl・シアノコバラミン・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン・ダイズ種子エキス・ムコ多糖・フェノキシエタノール・ソルビン酸K・香料

https://www.delamer.jp/product/5834/22929/moisturizers/the-moisturizing-soft-cream/face-cream-for-dry-skin#/sku/44193

次に例の超定番クリームの成分を見ていきましょう。

ニベアクリーム 大缶 169g
価格:¥436
※2021年6月現在 amazonでの価格

全成分(製品裏面より)
水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料

あれ?

あんまり似てないな。というか、全然違いますね。

2015年時に自分が書いた関連するものには成分表記がないのですが、「確かにかなり似ている」「ニベアの青缶に入っていて高級クリームに入っていないのはほんの何種類かの成分」とまで書いているので、当時は相当似ていたのかもしれません。化粧品のマイナーチェンジってけっこう短期間で繰り返されるので、5年以上経っていれば2回くらい変わっていてもおかしくないかも……。

ドゥラメールの表示3番目にアルゲエキスがあるのが印象的ですね。

アルゲエキスとは海藻エキスのことで、含まれるミネラルが保湿作用があると言われています。

タラソ発想が得意なフランスのスパ化粧品によく見られる成分です。有名どころだと、THALGO(タルゴ)とか。

関連記事:さらに別館完全に個人的なお楽しみだけに存在しているブログの過去記事です
THALGO(タルゴ)の入浴剤について

ドゥラメールが含む他の美容訴求成分もタラソやフィト発想の自然派成分が目立つのですが、かなり後半に強い作用の保湿剤であるポリクオタニウム-51や新しい抗老化剤アセチルヘキサペプチド-8などが見られます。このあたりの成分が市販品でもよく見られるようになったのはけっこう最近なので、やはりこれはリニューアルかかってますね。

全体的にはこれまでのブランドイメージそのままのナチュラルな思想に基づいていますが、一部このような科学的で高機能な成分を含んでいるようです。これは、ニベアのような数百円の製品には不可能なこと。

もはや、ニベアとこちらのクリームは別物ですが、だからといってドゥラメール ザ モイスチャライジング ソフト クリームがスキンケア効果の高いクリームということでもないと思います。

こちらはやはり、スキンケアやその時間を楽しむタイプの製品で、本当に肌を良くしたいとか、しみとかしわをどうこうしたいというニーズに対応するタイプの製品ではありませんし、それでいいのですよね。

皆が皆、化粧品に何らかの効果を切実に願っているわけではないし、そもそも化粧品の定義は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」(薬事法より)です。

ただ大事なのは、消費者が自分のニーズ(目的)を自分でちゃんとわかっていて、それを叶える製品を選ぶための情報がきちんとメーカーなりが誠実に出しているかどうかだと思います。これが、化粧品選びの難しいところなのですよね。

ちょっと脱線しつつあるので、話戻しますけれど。

同じ高級クリームカテゴリー(値段は3倍近く違うけど!)でも、前回取り上げたカネボウ ザ クリームとはずいぶん発想が違い、性能(効果)も違うクリームです。そして、ひと昔前に話題となったニベアとはすでに全く違うクリームでもあります。

なのに、なぜ未だニベア神話がそこここに息づいているのでしょうか?

成分マニアのエステティシャンとしては、そこにピンとくるものがあります。

次回、そのあたりを書いてみたいと思います。

***

美容ブログ(このブログ)の定期更新を再開するにあたって、あれこれいじったり、過去取り上げた化粧品の確認などもしてみたんですが、またなんかひと時代変わった気がします。

ニベアといえば、低価格のノンケミカルの日焼け止めが割りと良かったのですが、現在の商品ラインナップを見ると、その商品は廃番寸前か……? という風情で、わびしさを感じました。

当たり前っちゃ当たり前なんですけれど、化粧品は一般の方にはほとんど使用感で選ばれるので、科学的視点ではほんとうに肌に良かったり、すばらしいコストパフォーマンスの製品もどんどん無くなっていったりしてしまうんですよね。

日焼け止めはそれが露骨なカテゴリーで、肌のためには絶対ノンケミカルがお勧めなんですけれど、利便性やテクスチャー(質感の意味)の面でケミカルタイプに劣ることが多いうえ、価格も劣勢なのでどんどん無くなっていってしまいます。

一方で、10年超のエステティシャンの臨床経験からすると、日焼け止めの肌負担によるトラブルはほんとうに多くて、ですね。

何ともない人はそれ(ケミカルタイプ)でいいんですけれど、毎年夏から秋に肌荒れとか肌不調で悩んだり憂鬱になってしまう人には、「日焼け止めはノンケミカルにして!!!!」と、声を大にしてお伝えしたいのです。

あとね、それ以外の美容液でもクリームでも、スキンケアを楽しんでいる方には何を使ってもらってもいいんですけれど、肌に悩みがあって化粧品ジプシーを通り越して難民になっている方には、「俺のところに来いよ!」と両手を広げてお伝えしたいです。

ほんと、そんな高いお金出さなくっても良くなることって、いっぱいあるんすよ。

誠実に良い商品つくっている素晴らしいメーカーさんって、中小企業でいっぱいあるんすよーーーー(魂の叫び)