ドモホルンリンクル 美活肌エキス(医薬部外品)
30ml 10,800円
年齢化粧品、高級化粧品の二大巨頭のひとつ、ドモホルンリンクルさんです。
もう片方はアレです。
桃井かおりさんと綾瀬はるかさんがコマーシャルされている…
アイデンティティーが確立されている…ッ!!
成分見て行きます。
有効成分 L-アスコルビン酸2-グルコシド
その他の成分
水溶性コラーゲン液-ST・オタネニンジンエキス・卸種人参発酵液・イレシネウェベルバウエリ花/葉/茎エキス・チューリップ花エキス・ピンピネラサキシフレイジエキス・海藻エキス-5・甘藷発酵エキス・党参抽出物加水分解液・ビサボロール・アルニカエキス・シーグラスエキス・エンドウ抽出液・イリス根エキス・ゲットウ葉エキス・アロエエキス-2・オウバクエキス・甘草フラボノイド・エリスリトール・アルギニン・天然ビタミンE・植物性スクワラン・フィトステロール・水添大豆リン脂質・水添大豆リゾリン脂質・ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチル・DL-PCA塩・ステアロイルグルタミン酸Na・親油型ステアリン酸グリセリル・アルカリゲネス産生多糖体・キサンタンガム・グァーガム・クエン酸・クエン酸Na・濃グリセリン・BG・精製水・カワラヨモギエキス・チョウジエキス・グリセリン脂肪酸エステル・ラウリン酸ポリグリセリル・ローマカミツレ油・ノバラ油・ラベンダー油
薬用表記なのはVC誘導体の一種、L-アスコルビン酸2-グルコシドが規定量入っているためですね。
L-アスコルビン酸2-グルコシドはアスコルビン酸(ビタミンC)にグルコースを結合させたビタミンC誘導体です。
安定性の悪さがネックなVCですが、こちらは表皮や真皮内で酵素によって徐々に分解されてアスコルビン酸になるため、安定性と浸透力が高まります。
…が、VC誘導体の中では特別に優れたタイプではないかと。ちょっと古いんです。
今はAPPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)やVC-IP(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)というVCの欠点をほとんど払拭したようなVC誘導体がいますからね。
この製品の最大の特徴は有効成分のVC誘導体ではなく、基材が「水溶性コラーゲン液-ST」であること、そして独創的な植物エキスが多数含まれていることだと思います。
その他の成分のトップが、「水溶性コラーゲン液-ST」です。
これは、多くの美容液や化粧水が基材(美容成分を混ぜるベース)が水であるのに対し、保湿剤そのものである水溶性コラーゲン液が基材となっているという証で、水ベースのものに比べると高い保水効果が期待できます。
これは本当に高級化粧品しかできないこと。
ちなみに、SK-ピーの化粧水は基材が「ガラクトミセス培養液」です。さすが二大巨頭。
植物エキスと植物由来成分は、
・オタネニンジンエキス
・卸種人参発酵液
・イレシネウェベルバウエリ花/葉/茎エキス
・チューリップ花エキス
・ピンピネラサキシフレイジエキス
・甘藷発酵エキス
・党参抽出物加水分解液
・ビサボロール(カミツレ由来の薬剤)
・シーグラスエキス
・アルニカエキス
・エンドウ抽出液
・イリス根エキス
・ゲットウ葉エキス
・アロエエキス
・オウバクエキス
・甘草フラボノイド
・植物性スクワラン
と、アロエエキス(保湿)、オウバクエキス(抗炎症)、ゲットウ葉エキス(コラーゲン、表皮ヒアルロン酸合成促進作用)のような一般的な成分から、データベースで検索をかけると、ドモホルンリンクルさんしか採用していないという、とんでもない独創的な成分も含んでいます。
正直に申し上げましょう。
お約束していたドモホルンリンクルさんの製品考察が遅れたのは、完全にこの植物エキスのせい です。
いくら資料をひっくり返しても、google先生に聞いてみてもよく分からん成分があるんです。
・イレシネウェベルバウエリ花/葉/茎エキス
・チューリップ花エキス
・ピンピネラサキシフレイジエキス
この辺が皆そうです。
一応Wikipediaという禁断の情報源から入手したものによると、
チューリップ花エキス=皮膚細胞でのコラーゲン合成促進効果※富山県産チューリップ限定
ピンピネラサキシフレイジエキス=抗酸化作用と美白作用
ということらしいのですが。
それじゃあ同じコラーゲンの産生促進効果をもつVCと比べてどうなの?
VCの125倍の抗酸化作用を持つフラーレンと比べてどうなの?
美白作用ってメラニンの生成抑制なのか還元作用なのか、排泄促進なのか、はたまたそれらの働きを持つ代表的な成分と比べて同濃度の場合どのくらいの働きなのよ?
という疑問も残ります。はい。
ただ、まあ、逆説的になりますけど…
優れた美容効果を持つ成分は多くのメーカーが使いたがるので、そうならないってことはそういうことなんではないかと。
あとですね、この製品、30ml10,800円と市販品にしてはお値段が高めな製品ですが、その価格を押し上げている一因は
・オタネニンジンエキス
・卸種人参発酵液
植物(由来)エキスの中でも、この二つの成分の含有量が高いことかな、と思います。
オタネニンジンエキスは朝鮮人参(高麗人参)のエキスで、肌あれ、小じわ、ニキビ、脱毛、フケ防止などに効果があると言われています。
朝鮮人参が高価なものであるのは誰もが知っています。そら、原価が高いでしょうね。
ちなみに肌荒れ、小じわ、ニキビ、脱毛、フケ防止などに効果があると言われていますが、皮膚でどのようなプロセスを経てそのような作用を起こすのかは私の手持ちのどの資料にも書いていません。
皮膚科学的に考えると、肌あれと小じわは肌で起きていることが違うので、それを両方賄うとなると、けっこう大雑把な話だな…と思わなくもありません。それ以前に肌あれの定義ってなんだ、という疑問も浮かびます。
そう、何だかふわっとした話しなんですよね。植物エキス群はたいてい、こういうふわっとした話に着地しがちです。
他に着目すべきは、二大巨頭のもう片方もそうなんですけれど、割りと早い段階で「発酵液」というものをスキンケアに取り入れたことでしょうか。
発酵液や酵母は近年の化粧品ではかなり増えていますが、ドモホルンリンクルさんとSKピー はかなり早い段階で取り入れていたようなのですね。当時は、本当に前衛的な考え方だったんじゃないでしょうか。そういう意味では両ブランド共パイオニアなのですよね。
酵母とか発酵液に関していえば、アミノ酸類を多数含むため角質肥厚の予防、水分蒸発を防ぐという意味での保湿、という効果が分かっています。
…が、スキンケアという意味で広い視点で捉えると、角質肥厚を防ぐよりはできてしまったものをフルーツ酸やグリコール酸で溶かした方がよいし、保湿という意味でもがっつり水分を蓄えるヒアルロン酸や、蓄えた挙句逃さない角質細胞間脂質(セラミドやセラミド様物質)の方に分があるように思います。
ずいぶんまとまりがなくなってきていますので、そろそろまとめます。
こちらの製品、目指している場所もよく分かるし、しかも徹底されている。
そして、化粧品業界を牽引してきたパイオニアとして敬意を払いたいような気持ちにもなる。
ただやはり、美容効果、スキンケアアイテムとしての機能という意味では、30ml10,800円の価値があるかは疑問。
というのが正直な印象です。
30ml10,800円の美容液を毎日のスキンケアに採用できるのなら、もっと科学的に効果がよく分かっていて、多くのメーカーが採用している素晴らしい成分群を高濃度に含む製品を使えてしまうのですよね。
一番残念なのは、やっぱり角質細胞間脂質(類似成分を含む)を全く含んでいないことでしょうか。
そうですね、機能性云々とかって言うよりは、
植物の力を信じているッッ!!!
植物を愛し、植物とともに生きていく!!!!
という思想や哲学をお持ちの方には強くお勧めしたいです。
コラーゲンすら鱧由来のものを使っているようですし、スクワランに至ってはわざわざ植物性スクワランを採用している徹底ぶりです。
植物性スクワランはオリーブオイル等の植物油に微量含まれているものからわざわざ精製するので、ひどい手間のかかる成分です。
この辺は本当に素晴らしい突き詰め方だなと思います。
フィト偏重の化粧品は機能性がかなり低いものが多いですが、この製品は皮膚科学に忠実なタイプの製品と比べると多少見劣りはしますが、それでも機能性もそれなりに備えているので本当に珍しいし、唯一無二の製品かもしれません。
これが老舗のブランド力ということか。
敬服します。
ドモホルンリンクル 美活肌エキス(医薬部外品)
30ml 10,800円
主観的な評価
満点は★5つ
機能 ★★★
使用感の予想 ★★★★
コストパフォーマンス ★★
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総合 ★★★
ドモホルンリンクルは一体何歳くらいをターゲットにしている化粧品なのか、という話しをちらほら見たり聞いたりしますが、私が成分を見た印象としては40代半ば以降ぐらいの方かな、と思います。
シリーズ全てに油性原料を含んでいる反面、本文中でもちらっと触れましたが保水成分は控えめなのですよね。
なので、皮脂量はまだまだ十分だけど水分量の低下が目立つ30代の方が使うと、表面はぬらぬら肌そのものはしんなり、という状態になりやすいように思います。
ちなみに…ドモホルンリンクルシリーズの中ではこの美容液が一等良いです。
SKピー シリーズはシリーズ内に限っていえば、化粧水が良いですけれどね。
このあたりはまた後日詳しく。